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2024.12.19

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義理の弟とキスしてしまった。今さら後戻りなんかできない【秘密の家庭内恋愛】

あなたには周りに隠している「本当の自分」がありますか?
好きな人には素直でいたい、けれどすべてをさらけ出すのは怖い――そんな葛藤を抱えたことがある人は多いはずです。日々の杏先生が描く『そして発火する惑星』は、理性と本能の狭間で揺れる心を丁寧に描いた物語。2024年11月13日に上下巻が同時発売された本作は、義理の姉弟の恋愛という背徳を中心に、人間の奥深い感情に迫ります。

義理の姉弟が織りなす秘密の恋愛

主人公の喜衣(きい)は、自分よりも相手の気持ちや状況を気遣ってしまう配慮深い性格。義理の弟・甘太朗(かんたろう)に密かに恋心を抱きつつも、その気持ちを周囲には隠してきました。そんな彼女に甘太朗が突然の告白。実は両思いだったことを知ります。
喜びと同時に、家族の関係を壊したくないという不安で揺れる喜衣。一方、甘太朗は彼女のすべてを知りたい、自分に正直に生きてほしいと願います。
少しずつ自分の感情を解放し始めた喜衣は、甘太朗との恋愛に幸せを感じるようになり、その関係を両親に打ち明けようとします。二人の恋が家族にどんな影響を及ぼすのか――その展開に目が離せません。

心を掴む「人間くささ」とリアルな葛藤

本作の最大の魅力は、その「人間くささ」です。
喜衣は甘太朗との関係について頭を悩ませ、何度も迷います。この答えの出ない混沌とした感情は、読者に共感を呼び起こすでしょう。恋愛に限らず、友人や家族との関係で感じる悩みや迷い――出口の見えない迷路をさまようような感覚を思い出させるのです。
一方、甘太朗は子どもの頃から長年抱いてきた恋が叶った喜びで、喜衣のすべてを知りたいと願います。
しかし、その思いが強すぎるあまり、相手を追い詰めているのではないかと葛藤します。友人に「脳みそフワフワすぎひん?」と軽く揶揄(やゆ)される場面も、彼の人間味あふれる悩みを象徴するエピソードです。

惑星になぞらえた「悩む自由」の優しさ

そして、作中で父親が甘太朗に語る言葉が印象的なので紹介させてください!
「たくさん悩んでいいんだよ」と、惑星の動きを例に出して諭す場面は、悩みを抱えた読者にもそっと寄り添います。本作には日々の迷いや葛藤に疲れたとき、ふと読み返したくなる優しさが、随所に散りばめられています。

悩みの果てに見える「両立」の答え

悩んでいるとき、人は物事を二項対立で捉えがちです。「どちらかを選ばなければならない」と思い詰めることも多いでしょう。しかし本作は、「どちらも受け入れる」新たな距離感が存在することを教えてくれます。義理の姉弟という関係性からくる切なさや葛藤を、発火するような情熱と温かさで包み込んだこの物語は、寒い冬に心を温める一冊としておすすめです。

『そして発火する惑星』は、愛とは何か、自分らしくいることとは何かを問いかける作品です。人間らしい弱さや迷いが心に響き、読後には自分自身の感情とも静かに向き合いたくなるでしょう。

レビュアー

Micha

ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!

X(旧Twitter):@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier

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