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夏アニメの『異世界魔王』と『はねバド!』のノベライズが登場! 読めばアニメも100倍楽しい!?

講談社ラノベ文庫7月刊のラインナップを一挙ご紹介! 校了を担当する2人の秘密コメント付きをチェックしよう!!

イノヤス

講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」

大ちゃん

講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)

2018.07.14
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魂の慟哭を聞け! そして泣け!! わははのは

『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術10』書影
著:むらさき ゆきや イラスト:鶴崎 貴大
大ちゃんコメント

大ちゃん、校了紙の束を持ってトイレに駆け込もうか、大ちゃんしか知らない社内の謎の倉庫に閉じこもろうか、本気で悩みました。”本気”って書いて”ガチ”。 校了者が校了紙読んでガチ泣きしてたらカッチョ悪いでしょうがぁ!! ……大声出すこたぁない。

まあ、すっげえわ、これ。無敵無双のディアヴロくん、前巻でどうにもならんくらい強い大魔王モディナラームをグッチョグチョのガッキンガキンで消滅させたわけだが、その根幹の人格や性格に一点のぶれもなし!!

〈人と話すのは苦手だ。相手にどう思われるか、と考えると身がすくむ。〉
〈恋人どころか、休日に一緒に出かける女友達もいなかったのに……いや、同性の友達もいなかったわけだが。〉
〈偉い人を上手にお接待できるなら、コミュ障など患っていない!〉
〈なんだその“コレのドコがいいの”みたいな訊き方は? この魔王のメンタルが豆腐だと知っての所業か? 俺が泣いたらどうする?〉
〈「恋愛などという下らぬ感情を持ちこむ愚か者は。爆発させねばならんだろう?」
「ディアヴロさんの過去に……いったい何があったの?」
──何もなかったんだ! 魂の慟哭だった。〉

だははははははははははははははははは、といつもなら大笑いして、さあ次ってなるとこなんだけど、このへんを踏まえての47~48ページ!!!! もうね、この2ページ分まるまる引用しようかと思った。大ちゃん、ここで泣けない輩に生ビールなんかぜってえおごらねえから。
今回は、ゲーム内のくそイベントをたたきつぶしちゃるけん、という展開なんですけど、ミステリ-要素も込みでグイグイ来ます。まともなことを書こうとして、とってつけたようになってますが、あっ、あれだ!! TVアニメがスタートしましたっ!!! テンション上がることしかねえんですよ。

麗華さん、怖わ可愛い!?

『小説 はねバド!』書影
著:望月 唯一 イラスト・原作:濱田 浩輔
イノヤスコメント

本作品は、『good! アフタヌーン』連載中の大人気バドミントン漫画『はねバド!』の初めての公式外伝作品であります。TVアニメもただいま放送中、原作の凄さについてここで語るのはむしろ失礼になるかなーと思うくらいの作品なんですが、やっぱりなんといってもスポーツを題材とした漫画にとって必要なことがすべて網羅されて凝縮されているうえに、闘っている女子のみなさんも好きになっちゃうんだよなーというところがとても凄いなーと改めて感じているのです。銃を手にして弾をとめどなく撃ち合い、しかもその弾が撃つのは相手の体と精神。美少女同士の、美しくも過酷な決闘の物語なんだなと。

さて、こちらの小説版のお話に戻るのですが、舞台はあやのや渚のいる北小町ではなく「フレ女」ことフレゼリシア女子短大付属高校。高校バドミントン界ビッグ3・志波姫麗華さんの学校です。本編中でも当初から登場している彼女の、意外な?というべきかあまり表に出てこなかった可愛い(という言葉以外にないんだよなー)部分がたくさん描かれております。(それでも麗華さんのバドミントンに懸ける怖さみたいなものもきちっと描かれているのです)──こういった形の、キャラをもっと好きにならざるを得ない「外伝」って大好きです!! ぜひ漫画本編、アニメ同様、著者の望月先生もラノベ文庫新人賞出身でもありますゆえ、当作もごひいきください!

なんでもエロい絵になってしまうなんてすんごい才能です!

『絵師殺しの戌亥さんとエロい絵に定評のある俺』書影
著:猫又 ぬこ イラスト:ぱん
イノヤスコメント

今期のNHK朝の連続TV小説『半分、青い。』ですが、つい最近まで舞台が「漫画」の世界でした。ヒロインの鈴愛が漫画家修業を始めてデビューしつつ描けなくて苦しむといった流れのリアルさとか、時系列的に自分の駆け出しのころと全く重なっているということや自分がかつて大変お世話になった大先輩のあまり公にされてなかったエピソードとかが使われていてそのあたりも気になっていました。でも一番ビックリしたのは「ネーム」という言葉だけでなくその実体が朝ドラの画面に登場したことです。ネームってもしかしてもう説明いらなくなったのでは?というくらいの気分です。

もうひとつ、ヒロインの鈴愛ちゃんが、ネームができなくて、つまりは漫画の構成ができなくて悩む→結局漫画家をやめる、というところが結構印象に残ってます。個人的には超絶素晴らしい絵が描ければ絶対漫画界でやっていけるとは思うし、構成の部分とかはもっと人に相談するしかない、あるいは任せることで切り抜けられるんだけどなあという感じなのです。絵でもお話でも、絶対これってとこがあれば必ずなんとかなると思ってます。

さて、当作は「絵が超絶素晴らしい、というかどんな絵を描いても絶対エロくなってしまう(本人がそう思わなくても)漫画家の主人公が、美少女ラノベ作家とイラストで組んでいくお話」であるのです。主人公の虎鉄くん、何を描いても絶対エロくて(説得力あるエロさ、シチュエーションに頼らない滲み出てくるエロさなんだな)そのエロさが凄い評判、よく考えてみなくてもそれだけでとんでもない才能だと思うのですよ――才能のある人には、「どんな形であっても構わない」から、自分のできることを突き詰めていって欲しいな、と思うのです。……とマジレスしてしまいましたが、当作品はそんな虎鉄くんと美少女ラノベ作家ふたりとのあれやこれやの楽しくも大変な日常のお話です。ラノベのイラストがどのように出来ていくのか、みたいなところもきちんと描かれていて納得だなあと。 楽しくも苦しい、ものづくりの毎日を当作品にてぜひ堪能してみてください!

学問に王道なくとも、おたマインドにロイヤル・ロード! なによそれ

『それでも僕は、モブキャラが好き』書影
著:氷高 悠 イラスト:師走 ほりお
大ちゃんコメント

たいへんですっ。王道ラノベの復活です。当レーベル初登場、氷高悠&師走ほりおタッグによる学園ラブコメです。もうねえ、読んでてホクホクする感じ。熱すぎず、冷めてもいない、いい湯加減。ざっくりご説明いたしますと、廃部寸前、新人が入ってこないおたくサークルの人集め。スクール・カースト(合ってます?)の棲み分けと抗争。あてくし、マンガもアニメも見たこたぁござんせんのよという美少女や、すでにおっかけもいそうな現役女子高生声優やら、きれいどころが右往左往してる後ろのその他大勢にキラリンコと光るヒロインあり。名前が佐藤さん。わはは、“金剛寺”みてえなインチキくさい名前じゃありませんよ悪かったな。この心地よさは、いうたら基本のオールド・スクールこそ、おたマインドの神髄、みたいな。とりあえず読んどけ。おながいします。

それはそうとさあ、本作の舞台となるサークル”すみマン”は実在する組織というか、モデルとなった部活動みたいなのがあったんだそうです(作者あとがき参照)。ちなみに当ラノベ文庫編集部にはアルバイトの女子大生さまが来てるんですが、これが早稲田のショーマンドウだかショーマンケンだかショタマンブーだかから派遣されているそうです。少林寺漫画道? 翔万拳? なんか強そうだなおい。これを取り仕切ってるのが当編集部のおなじみ栗キチくん(仮名/最近モコモコ度アップ)で、実は同サークルの第25代主将(適当)らしいです。いま来てるM山さんというのが先代のキャプテンらしくて、“うっかりMやん”と呼ばれてるみたいです。ウソです。その前のK高くんはフリーランスとして当編集部スタッフになりましたあ。パチパチパチ。…………この話、もっと聞きたい?

改めて断言しておきましょう。この作品にはライトノベル勃興期のあのワクワク感がぴちぴちして詰まってます。結果的に主人公がモテまくりのおたくパラダイス(ねえ、合ってる?)、この感じがたいへんですよ。うん、たいへん。

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