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講談社社員 人生の1冊【56】『PRAY FOR JAPAN 3.11 世界中が祈りはじめた日』

2018.03.11
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舟橋美和子 新企画出版部 30代 女

世界中が祈りはじめた日

この(プロフィールの写真)福島県会津地方の工芸品、赤べこは、夫が実家から持ってきたものです。2011年3月11日、東日本大震災が起きたとき、一番最初に頭をよぎったのが福島に住む夫の両親のことでした。深夜に無事が確認でき、心からほっとしました。

何か出来る事はないのかと考えていたら、twitterで「prayforjapan.jp」というwebサイトが注目されていることを知ったのです。

prayforjapan.jpは、東日本大震災発生のわずか12分後から届き始めた、海外・国内からの<祈り>のメッセージ、エピソードを集めたWebサイトです。震災当夜、停電中の一時避難所にいた20歳の大学生、鶴田浩之さんが立ち上げました。

鶴田さんは、世界中から寄せられたメッセージを見たときに「これは、きっと日本の財産になる」と思ったそうです。

私はメッセージを読んで、「このメッセージを10年後も20年後も、親から子どもに語り継ぐためにも本にして届けたい」と思いました。人を思いやり、慈しむ気持ちが溢れているこの祈りの言葉は普遍的に伝えていくべきだと強く感じました。

このサイトを見て「翻訳させてほしい」と申し出てこられた世界各地の30名を超えるボランティアの方々も同じ気持ちだったのではと思っています。(今では12言語に翻訳されています)

そして、鶴田さんや多くの人の協力を得て、アミューズメント出版部の桜井紀美子さんと一緒に、10年後も20年後も、子供や孫にあのとき「世界中の人が日本を見守ってくれたんだよ」と語り継がれる本をつくりたいという気持ち一つで制作を進め、4月25日に本が発売されました。

本をつくるときは、いつも緊張します。でも、この本ほど緊張した本はありませんでした。

その後、全客室にこの本を設置して下さった旅館や、英語の勉強も兼ねて全生徒に配布して下さった塾の経営者の方から連絡を頂きました。

また、学校の授業やチャリティコンサート、朗読会で使用されるなど、想像以上にこの本は広がっていきました。 読者の皆様からは、「家族で大切に読み続けたいと思います」「本屋のなくなった町に住む夫婦に届けました」「英訳併記なので留学生の友達に渡しました」「嫁いだ娘に、いつかできるであろう孫に読んで聞かせてと渡しました」といった声を頂きました。

この本に言葉や写真の掲載のご許可を下さった皆様、翻訳して下さった皆様、寄贈の許可を下さった教育委員会をはじめご支援下さった皆様に、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

  • 電子あり
『PRAY FOR JAPAN 3.11世界中が祈りはじめた日』書影
編者:prayforjapan.jp

■「世界中が胸をうたれた」写真と言葉
震災の夜、避難所で20歳の大学生が一晩で作ったサイト。
http://prayforjapan.jpには48時間で300万人がアクセスし、ニッポンへの心揺さぶられる PRAY<祈り>のメッセージが世界中から届きました

■prayforjapan.jpとは?
2011年3月11日の東日本大震災発生の12分後から届き始めた、海外・国内からの祈り(prayforjapan)のメッセージ、エピソードを集めたWebサイト。 震災当夜、停電中の一時避難所にいた20歳の大学生によって立ち上げられました。 多いときは、1秒に1回以上のペースで、地震発生時から現在まで地球上のあらゆる地域からツイッターやフェイスブック、画像投稿サイトを通じて、多くの写真や言葉が寄せられています。

■「人間というのは言葉を食べて生きているのだと改めて思った」坂本龍一

執筆した社員

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講談社社員 人生の1冊

舟橋美和子【新企画出版部 30代 女】

※所属部署・年代は執筆当時のものです