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講談社ラノベ文庫2月刊のラインナップを一挙ご紹介! 校了を担当する2人の秘密コメント付きをチェックしよう!!
講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」
講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)
勇者の旅はどこまで続く?
年に何回か、なぜかコミケの会期中に重なることが多いのですが、高校の同級生たちと飲み会をします。自分の出身は北関東の某市なので、距離は遠くないし最近はSNSの発達によって今までなら行方不明だったかつての仲間とも連絡を取り合えるという点ではとてもいい時代になったもんだなあと思うのです。よく言われるように、会ってしまえばかつて毎日顔をあわせていた頃にみんなであっという間に戻ってしまい、とても心地よい空間と時間がそこに出来上がるのですが……。
でもまてよ、その昔は田舎の町がいやで(今思えばとてもいい)、自分が何が出来るのか試したくて育った場所を離れたんじゃなかったか。それこそ「勇者」にはなれなくても、何のために自分がいるのか、ということを知りたくて、今も変わらず迎えてくれる温かい故郷を離れたんじゃないのか……そんな想いがちょっとだけ、お酒によってセンチメンタリズムに侵食された脳裏によぎることが、友人達との集いの最中にもありました。
そもそも、「その昔」は「何かすること」「何者かになること」しか頭になくて、何かに挑んだその後のことなんてさっぱり考えていなかった。仮に何かを成し遂げたとして、その後の生き様、暮らしの方がずっと大切なのでは……ということがぼんやりと思い浮かぶ今日この頃、バブル世代のこころ模様なのです。
さて、「神の目」という鑑定スキルによって勇者となったメルくんとその仲間の旅もいよいよこの3巻にてクライマックスを迎えています。世界を滅ぼそうとする悪竜の復活にどう挑むのか、というところは是非本編にてお楽しみいただければと思います。そもそも勇者の戦いも、小学生の遠足と同様に、何かを成し遂げて「家に帰る」までが戦いだと思います。悪竜を屠ったとしてもその後の人生がダメダメだったらメルくんの人生の意味ってなんだったんだろな……と思ってしまうのですが、なんとなく彼とヒロインのシルフィだったら戦いの後の長い長い時間も、懐かしい場所での暮らしもきっと楽しく貫いてくれるんだろうなあ、と読後にしんみりと思っておりました、はい。
孤高の男は、生まれてしまったことにすら闘いを挑むのだ
《傷口から、血が噴き出した。視界すら霞む。
「大魔王ぉぉぉぉッ!!」
エミールは叫ぶ。
「俺は! ぜっっったいに! 倒れないッ!!」
倒れながらも、敵に一撃を!
しかし、突き出した剣の勢いは、あまりに弱々しく……相手に届くこともなかった。
──どうして! 俺は、弱いんだ!!
ごつい手に、肩を抱き留められた。大きくて力強くて、それでいて堂々としている。味方!? そいつが、戦場に不釣り合いなほど落ち着いた口調で問うてくる。
「あの山羊(ヤギ)ゴリラが、モディナラームなのか……?」 》
エミールはかすれた声で言う。
「待っていたぞ、親友(とも)よ」 》
か──────────────────ちょええええええええええええええええ!!!!
もうね、「よっしゃ来たあ!! ぢゃらほんげゃあ!」とかヘンな声出た。ガチで。
これ、2ページ分のシーンを半分以下にハショってるので申し訳ないんですが、『異世界魔王』9巻トータル2500ページは、このシーンが描かれるために積み重ねられてきたのではないのか、くらいのことは思いましたよ。涙目んなった。ティッシュよこせ。
今回は、冒険者エミールと領主ガルフォードのいわば『異世界魔王・外伝~バトル篇』みたく展開してくんですけど、大ちゃんはほれ、マンガとか映画とかのインフレ・バトル垂れ流しに辛口でしょ。知らんがな。でもね、こんなに読んでて前のめりになったバトルって記憶にありません。……なんだよ、ディアヴロくん、ただの最強バトルマンになっちゃったの? なんて思いましたか? ノンノンノン、てって的にノン!!!
《──俺が悪い!? なにが悪かったのか考える。心当たりが多すぎた。もともと、自信がないからコミュ障などやっているのだ。悪いと言われたら、生まれてきたことから詫びるべきか、と思ってしまう。これまでの人生を振り返ると、失敗と後悔と挫折と……逃避……
「ううぅ……」 》
決めた。大ちゃん、ディアヴロくんに抱かれる。いやん。そうそう、本作のコミカライズ第6巻も同時発売。そしてっ、ついにTVアニメ化決定!!!! TVアニメ化決定!!!! 大事なことだから2回言った。も1回いい? TVアニメ化決定!!!! ぢゃらほんげゃあ!
戦いはまだまだ続いていきます
才能とか能力とかチートとか、とかくラノベ界隈では当たり前の言葉で、これがなかったらお話が成立しないくらい重要な言葉であるのですが、実際に人もうらやむようなチート能力があったら使わざるを得ないですよね。でも他者を軽く凌駕(りょうが)できるような巨大な才能があったら、どんなにいやでも面倒事が次から次へと舞い込んでくるんだろうな……当作の主人公のヴェルナーはまさに「面倒事がいやでも列をなしてやってくる」そんな状態で今回の2巻を迎えております。
プラスチック爆弾を任意に発生させるスキルで国を奪ったのはいいけど、ただ単に戦いをすればいいってもんではなくて、国王になったところでついてくる「よけいな」(だけど国家には必要な)お仕事にまで従事させられるヴェルナーくん……遠征先まで国事行為の承認作業をし続けなくてはならないのはホント大変だろうなあ。文官と武官だと才能の方向性が違うわけだし、専制君主になって日が浅いので誰にも仕事を任せられないということのきつさはある意味創業者の苦労と同じなのかなと思います。
その日頃のストレスを発散しているというべきなのかはさておき、爆弾を自在に扱うというチート能力は今回も痛快に物語を彩っております。圧倒的な無敵感みたいな、チートものなればこその爽快さは1巻同様、それでもって思うように物事が進まずともヤレヤレっぽく受け入れていく彼に、なんとなく会社員的な共感が生まれてしまうところもいいなあと……。その不思議なつづら折りの読後感をぜひ味わっていただきたいと思うのです。
固くなった頭をほぐし、柔らかかった〇〇〇を固くするサプリ・ノベルと呼ぶ
先日、編集部でお行儀よく校了とかクッソ難しい法律~権利上の実務とかを、ごっほん、こなしておりましたら、あっ、大ちゃん、こう見えても頭つかう仕事だってしてんだよ。校了だって頭つかうよ!? ゲラゲラ笑ってるだけの場合もありますが。ゲラだけに。何の話だっけ。そうそう、編集部に局のエラい人が来やがって、いきなり「おい、栗キチくん(仮名)、太ったんじゃないの? 後ろから見たらふくらんでるよ!?」なんつって暴言かましてよかばってん。そしたら栗キチくん(仮名)が「いや、体重は減ってないです。これは脂肪の燃焼がですね、筋繊維と細胞転移で市場動向が」とかわけのわかんないこといってまして、なぜにこの話を思い出したかというと、本作のキャラ立ちのあまりの素晴らしさ!!
《「──なんで俺の股間が象さんになってるんだよ!──」
「ふふふ、驚くことはないぜ。──パオ吉様が登場したからにはな!」》
がははは。パオ吉ですよパオ吉! なので栗キチくん(仮名)の件を思い出したんですが、本作の登場人物のキャラが立ちまくりで、楽しいからぜひ読んで! ヘンなとこは立てんでよろしい。
《「エネルギー充填百二十パーセント! 発射アアアアアアアア!」
「うおお! 俺の股間がエクスカリバー!」
ヴァンはわけも分からぬままに股間からビームを放つことになった。
「くっ。こんなふざけた攻撃に、我が負けるものか。ふん!」》
がははははははは。もうこれ、読むしかねえですよ。主役のヴァンさん、パオ吉くん、にゃんこキャラのミーシャちゃんとか、「おぱんつが……だめえ」とか。ちなみに講談社にもヴァンさん(仮名)という人がいて、大ちゃんもよく知ってるんだけど、小林まことさんの大ヒット作品中にときどき出てきてました。微妙な情報だな。現在の消息が気になります。
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