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戦争の記憶を語り継ぐ〈2〉戦争小説の名作『八月十五日に吹く風』ほか
1945年8月15日――多くの尊い命が犠牲になった第二次大戦の終結から70余年が経ちました。悲惨な戦争の歴史を振り返るとともに、あの悲劇を二度と繰り返さないよう、私たちはいま一度考えたいものです。
ノンフィクションから学術書、小説まで各カテゴリに分類しながら、講談社の「戦争を読み解く」書籍をご紹介します。
第2回目の今回は、文芸作品から私たちが読み取れる戦争について考えてみましょう。物語から垣間見える戦争の悲惨さ、波乱の時代を生きた人々の不安と絶望、命の重み……。物語を通じ、圧倒的な臨場感をもって胸に迫ってくるはずです。
- 〈1〉貴重なノンフィクション『不死身の特攻兵』ほか
- 〈2〉戦争小説の名作『八月十五日に吹く風』ほか
- 〈3〉史料で読み解く『昭和の戦争 日記で読む戦前日本』ほか
- 〈4〉評伝や日記から人物像に迫る『昭和の怪物 七つの謎』ほか
フィクションで読み解く──小説で触れる太平洋戦争
太平洋戦争には、その悲惨な末路から南方戦線のイメージが強いのですが、北方でも人命を賭した作戦が展開されていました。1943年、キスカ島における5000人以上もの日本人の救出作戦です。
当時の日本人は、米国において「命を軽視し、玉砕に向かう」と報告されていました。太平洋戦争を扱う物語でも、極めて楽観的な愚策や理不尽な命令により、多くの若い兵士たちがその命を散らしていく様子が描かれています。しかしそうした日本人観を覆し、戦後のGHQの占領政策にも大いに影響を与えたといわれるのが、人道的見地から行われた大規模な撤退作戦と、それに関わった日本軍将兵の物語でした。
窮地にありながらも命を尊ぶことを貫き、知力・軍力を結集して不可能と思われた救出劇を成功させる。そうした人びとの生き様に、大きく心を揺さぶられる1冊です。
従軍記者であった著者・山岡氏が、太平洋戦争の始まりから終わりまでの全貌を膨大な史料に基づいて構成した大河小説。
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