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戦争の記憶を語り継ぐ〈2〉戦争小説の名作『八月十五日に吹く風』ほか

1945年8月15日――多くの尊い命が犠牲になった第二次大戦の終結から70余年が経ちました。悲惨な戦争の歴史を振り返るとともに、あの悲劇を二度と繰り返さないよう、私たちはいま一度考えたいものです。
ノンフィクションから学術書、小説まで各カテゴリに分類しながら、講談社の「戦争を読み解く」書籍をご紹介します。
第2回目の今回は、文芸作品から私たちが読み取れる戦争について考えてみましょう。物語から垣間見える戦争の悲惨さ、波乱の時代を生きた人々の不安と絶望、命の重み……。物語を通じ、圧倒的な臨場感をもって胸に迫ってくるはずです。

2018.08.13
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フィクションで読み解く──小説で触れる太平洋戦争

『八月十五日に吹く風』書影
著:松岡 圭祐

太平洋戦争には、その悲惨な末路から南方戦線のイメージが強いのですが、北方でも人命を賭した作戦が展開されていました。1943年、キスカ島における5000人以上もの日本人の救出作戦です。
当時の日本人は、米国において「命を軽視し、玉砕に向かう」と報告されていました。太平洋戦争を扱う物語でも、極めて楽観的な愚策や理不尽な命令により、多くの若い兵士たちがその命を散らしていく様子が描かれています。しかしそうした日本人観を覆し、戦後のGHQの占領政策にも大いに影響を与えたといわれるのが、人道的見地から行われた大規模な撤退作戦と、それに関わった日本軍将兵の物語でした。
窮地にありながらも命を尊ぶことを貫き、知力・軍力を結集して不可能と思われた救出劇を成功させる。そうした人びとの生き様に、大きく心を揺さぶられる1冊です。

『戦争小説短篇名作選』書影
著:遠藤 周作/小松 左京/佐藤 泰志/野坂 昭如/林 京子/田中 小実昌/目取真 俊/吉村 昭/竹西 寛子/吉行 淳之介/講談社文芸文庫

刻まれ続ける消えない傷跡――。あの戦争を、原爆を、終戦を、作家たちは、どう小説に刻んだのか。いま読むべき10篇。

遠藤周作「あまりに碧い空」/小松左京「召集令状」/佐藤泰志「青春の記憶」/竹西寛子「儀式」/田中小実昌「北川はぼくに」/野坂昭如「八月の風船」/林京子「曇り日の行進」/目取真俊「伝令兵」/吉村昭「虹」/吉行淳之介「華麗な夕暮」

『出口のない海』書影
電子あり
著:横山 秀夫

甲子園優勝投手だった青年は、なぜ自ら人間魚雷「回天」への搭乗を決意したのか。2006年に映画化、コミカライズもされた戦争青春小説。

『ミッドウェイ』書影
電子あり
著:森村 誠一

太平洋戦争の分水嶺となったミッドウェイ海戦を軸に、さまざまな夢を持った若者たちが戦火に散っていく様を描いた戦記小説。

『新装版 小説太平洋戦争』書影
電子あり
著:山岡 荘八

従軍記者であった著者・山岡氏が、太平洋戦争の始まりから終わりまでの全貌を膨大な史料に基づいて構成した大河小説。

『異聞 太平洋戦記』書影
電子あり
著:柴田 哲孝

東京大空襲にも真珠湾攻撃にも史実ならざる真相があった!? 大藪春彦賞受賞作家である著者が長年の取材に基づき、太平洋戦争の闇を照射する。

『永遠の0』書影
著:百田 尚樹

零戦に乗り、命を落とした祖父を知る人物を訪ねていくうちに浮き彫りになる疑問。なぜ彼は特攻に志願したのか。過酷にして清冽な愛の物語。

『終戦のローレライ』書影
電子あり
著:福井 晴敏

第24回吉川英治文学新人賞受賞作品。戦争の形態を根本から変えてしまう秘密兵器「ローレライ」を搭載した潜水艦を巡り、日米の熾烈な戦闘が展開する。

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