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【名作発見】異界が近かった時代、明治の葬式。謎の儀式「放鳥」とは?
父親や親族のさまざまな死について回想する。そしてトンボ、カエル、フナ、カニ、ヘビなどの動物の想い出を描く。この両方が織り混ざることで、えもいわれない、現代になる前の人の死生観というものが感じられる気がします。四季を通じてくり返される動物たちの死と誕生、その中に少しずつ溶け込んでいくような人間の死。幻想や異界がすぐそこに共存しているような、かつてあった日常。(カラスヤ)
老境の童話作家が、過ぎ去った起伏の多い人生と、なつかしい人々への愛情こもごもを、昔語りにも似た闊達自在さで描いた10篇。幼少期の思い出、肉親との葛藤、師の三重吉、未明のこと等、<童心の文学>といわれた譲治の心の陰影がユーモアに包まれて独得の味わいを醸し出す。
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:胆石ができました、胆嚢とってきます。手術よりも、尿道にさすやつの方が憂鬱です。
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