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アスリートフードマイスターが原作者! 父娘のスポーツフードドラマ【レシピ付】

アスメシ(1)
(原作:見原 由真 漫画:小川 錦)
2020.06.05
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オリンピック出場権を賭けた国際大会の前日、ホテルの1室で1人夕飯を食べる女子レスリングの浜口京子さんを取材させてもらったことがあります。
浜口さんの食事は、栄養士さんが日本から10キロのお米と炊飯器を持ち込み、ホテルの狭い洗面台で作ったものでした。
翌日、浜口さんは見事3回目のオリンピック出場権を勝ち取ったのですが、アスリートにとっての食事『アスメシ』が、いかに大切なものであるかを感じた瞬間でした。

保志まひろは、テレビ中継の入った大会で注目を集め、「期待の超新星」と言われるだけでなく、「可愛いすぎる柔道家」としても有名な女の子。
高校進学と同時に寮生活から自宅へ戻り、義理の父である保志太一(37)と同居を始めます。
太一は「スポ魂レシピ」という本を出したことがある料理ブロガーで、まひろの母親が編集者だったことから2人は結婚。
しかし、まひろの母親は1年前に亡くなってしまったのです。

太一は得意の料理で、「勝負にも怪我にも打ち勝つアスリートになってもらいたい!」と、まひろをサポートするのですが、いつも空回り。

確かに太一は、ウザいです。
もてはやされることを快く思っていないまひろの気持ちを逆撫でする発言をしたり、高校の広報部員たちを勝手に家に呼んだりして、まひろが怒るのも無理ないなぁと。

こうした日常の中で父娘が徐々に心を通わせていくのですが、その架け橋となるのが太一の料理なのです。

毎回1つずつレシピが紹介される中で、私のオススメは「アスパラガスとそら豆のポタージュ味噌汁」。
なんたって簡単に作れるところがいい!!



最初は、えっ、味噌汁と合わせるの? そら豆の薄皮って結構硬いよ、と思いましたが、ポタージュを飲んでみると違和感はありませんでした。

それにコンソメより発酵食品である味噌の方が体に良いし、薄皮からは食物繊維も取れるので、『アスメシ』としては理にかなっています。

鮮やかな緑と若干残る粒々も、しっかりと野菜を食べている感じがして私は好きです。特に冷たく冷やすと、アスパラとそら豆の風味がより際立ち、夏の暑い朝にはピッタリだと思いました。

もう1つ、キャベツが入った「アサリと野菜のリラックスミルクスープ」も作ってみましたが、これは文句なしで美味しいです。早速、私のレパートリー入りです。



オリンピックに出場するような一流アスリートは、ガッツリと肉を食べ、高カロリーの特別な食事をしているように思われがちですが、彼らが合宿所で食べているものは、私たちが食べているものとさほど変わりません。
むしろ、練習で使った筋肉を回復させるために、理にかなったバランスのいい食事をしています。
太一が作る料理も、この理にかなったアスリートメシ。
必要な栄養素を摂るためのレシピや、怪我の回復に効果的なレシピも紹介されているので、私たちの食生活にも役立ちそうです。

今日の食事が明日からの自分を変える

「期待の超新星」と言われるまひろは、この先、柔道の大きな大会にも出場することでしょう。そのとき太一は、どんな勝負メシを作るのか、期待しながら読み進めたいです。

  • 電子あり
『アスメシ(1)』書影
原作:見原 由真 漫画:小川 錦

日本柔道界期待の新星として話題沸騰中の女子高生アスリート・保志まひろ。
彼女の勝負にも怪我にも打ち勝つ体作りをサポートするのは、亡き母の再婚相手で料理ブロガーの義父・保志太一がふるまうスポーツ栄養学に基づいた毎日の食事で……。

血の繋がらない父娘が“食”を通じて繋がっていくスポーツフードドラマ、優しさと美味しさのあふれる第1巻!!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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