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強盗も半グレも殺人者も、金さえ払えば助けてやる。【ネオ闇医者物語】

バカレイドッグス Loser(1)
(作:矢樹 純 漫画:青木 優)
2019.11.01
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心の中で何度も「うおぉぉ!」と叫びながら、一気読みしてしまいました。あちらこちらに散りばめられた謎に、どんどん引き込まれていったからです。
「バカレイ」とは裏路地という意味。舞台が横浜の裏路地ということもあるのですが、ここでは陽のあたる正道とは真逆の世界が描かれ、登場人物は全員怪しげで謎を秘めています。

主人公の犬堂辰次は、腕利きの天才外科医だけれど無免許の闇医者。東京を追われ、横浜の裏路地で開業することになったのは、病気の母親の転院が関係しているようです。
少年のように綺麗な顔立ちなのに、怒るとき以外は常に無表情。かなり不気味です。

弟の亥三(いぞう)は兄を助ける心強い存在ではあるものの、兄とは似ても似つかないルックスで、何か秘密がありそう。しかも臓器売買をするモグリの保険屋。
そして看護師の鈴(りん)は、父親が作った900万円もの借金を背負わされ、辰次に助けられたようなのですが、その謎は小出しにしか出て来ません。

この怪しげな3人で開業した犬堂医院に最初に飛び込んで来た患者は、札付きのホームレスでした。弟の亥三が止めるのも聞かず、患者の健全な臓器を売ることで緊急手術をする辰次。

この漫画は、臓器売買など闇の世界を扱った漫画なのかな? だから「バカレイ」なのかなと思ったら、全然違いました。
辰次は売買用の臓器も取らず、タダ同然でホームレスを救ったのです。
あれっ、辰次は本当はいい人なの?と、このとき思った私。
しかし、これも見当はずれでした。




なぜ、裏社会と繋がる必要があるのか? 一体、過去に何があったのか?
また1つ謎が加わり、先が気になって仕方ありません。

そんなとき犬堂医院にやって来たのは、出産間近の気の強い34歳の妊婦。
そして彼女を連れてきたのは、辰次と何やら深い因縁がありそうなヤクザの若頭。
見るからに厄介ごとに巻き込まれそうなのに、辰次は1千万円で妊婦を無事出産させると約束します。

サラッと書きましたが、出産費用が1千万ですよ、1千万。こんな大金を払ってまでも出産したいということは、命を狙われているということ。
しかもこのお金を払うのは妊婦なの? ヤクザの若頭なの? それとも違う誰かなの? どんな経緯で妊婦がここに来たのかも気になるけれど、わざわざ犬堂辰次を探し出してここに連れて来たヤクザの若頭も気になる……。

もうこれだけでも十分怪しいのに、元財務大臣の政治家、県会議員に立候補した元財務大臣の娘婿、弓状の小型ナイフを振り回す危ない男も出て来て、とにかくおどろおどろしいのです。

こんなふうに縦糸と横糸が複雑に絡まるストーリーと意味深なセリフに引っ張られ、きっとあれがこうで、これがこうなるだろうと予測するのですが、その予測は見事に覆されます。思わぬドンデン返しが待っているのです。
まさに「うおぉぉ!」です。

だから読み終わった後には、この伏線はどこにあったのかとか、あのセリフはどこに繋がるのかと読み返さずにはいられなくなります。
つまり、“2度読み必至”なわけです。
『バカレイドッグス Loser』は、電子書店でバカ売れしたため、再び単行本化され蘇ったというかなり稀有な漫画です。その面白さを是非、ご自分で確かめてみて下さい。

  • 電子あり
『バカレイドッグス Loser(1)』書影
作:矢樹 純 漫画:青木 優

電子書店でバカ売れのネオ闇医者物語、待望の復活! 社会のハミ出し者だけを救う闇医者兄弟がいた。金さえ払えば、どんな手術でも引き受ける無免許の天才外科医・犬童辰次、その弟、犬童亥三。そんな彼らが営む犬童医院は、とある理由で街から締め出されてしまう。そして、新天地として横浜の路地裏〈バカレイ〉を選びゼロからのスタートを余儀なくされるのだった。新犬童医院、開院です!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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