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副業したい人、定年が気になる人必読! 会社を買ったサラリーマンの実例を紹介

2019.09.13
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「トランビ」と小さなM&A

本書の著者は、日本初のユーザー投稿型M&Aマッチングサイト「トランビ」の開発者にして経営者であります。
トランビとは会社を「売りたい」人と「買いたい」人の出会いを演出し、小さなM&Aの成功確率を高くする場所であると考えていただいていいでしょう。

M&Aというと、多くの人は大きなものをイメージしてしまいがちです。
たとえば、お金持ちで知られるソフトバンクの孫正義さんは、ボーダフォン日本法人の買収(M&A)を多大な負債を背負って成し遂げました。彼がこの買収劇に成功しなければ、あなたの手の中のスマートフォンは別会社のものだったかもしれませんし、テレビで毎日白い犬一家のCMを見ることもなかったでしょう。

しかし、M&Aすなわち企業の売買は、そんな大規模なものばかりではありません。むしろ、小さなものの方がずっと数が多いのです。本書は孫さんのような大金持ちでも大企業のトップではないあなたが、退職金やヘソクリなど小さなお金を原資として、「小さなM&A」をおこなうためのガイドです。

起業するより会社は買いなさい

かつて、サラリーマンの夢としてよく語られたのは、退職後に喫茶店やスナック、小料理屋などこぢんまりとした店を開き、ささやかな収益を得て老後を過ごすことでした。
何十年もつとめあげ、上司の理不尽な命令や生意気な若手の育成に関わってきた人が、小さくても一国一城の主でありたいと考えるのは、人情かもしれません。

しかし、飲食店を成功させることはことのほか難しいのです。場所や評判など、努力ではほとんどどうしようもない部分が、大きな成功のカギになっています。そこでは、サラリーマンが蓄積したノウハウは基本的に役に立ちません。

本書のメッセージ「起業するより会社は買いなさい」はそこから生まれています。業績も悪くない、常連客もある、黒字である。そんな店のオーナーが、「店を売りたい」と考えているのです。しかも、そんな「うまい話」は決して少なくはありません。
本書は、なぜそんな話があり得るのかについてていねいな解説をくわえるとともに、イチから起業するよりM&Aのほうが成功確率が断然高くなることを語っています。

M&A最大の目的

インターネットを介した商取引の大きな特徴は、「中間」がないことです。

以前なら、「売りたい人」と「買いたい人」が出会うためには、どうしても両者をよく知っている業者の力を借りることが必要でした。
しかし、インターネットなら「売りたい人」と「買いたい人」が直接に出会い、お互いの要望を交換することができます。必要とされるのはその「場」だけです。トランビはその「場」を提供するサイトとして注目を集めています。

もっとも、M&Aの最大の目的は、その一歩先にあります。
著者はこう語っています。

M&Aでもっとも重要なのは、「シナジー」です。シナジーとは相乗効果という意味ですが、シナジーをどう最大化できるのか、ここが経営者の腕の見せ所です。1+1が5にも10にも、あるいは100にもなる。M&Aの良さはここにあります。

著者はこの例として、クリニックが長野の温泉旅館を手に入れた例をあげていますが、そういう「うまい組み合わせ」は簡単に思いつけるものではありません。発想力、もっといえば妄想をたくましくする術が必要なのです。

これを、著者はたいへんに困難なことだと語っています。そりゃそうです。いいアイデアなんか、そうそう思いつけるもんじゃありません。

しかし、あなたの経験はむしろ、こういう場所でこそ役立てられるのかもしれません。お客が来ない場所に建った店にどうやって客を呼び込むかに腐心するよりも、その店を使ってなにをやるかのほうが重要です。ひょっとするとあなたは、それを考えられる人かもしれないのです。

その意味で、本書は「希望の書」です。
あなたは、誰も考えつかないシナジーを思いつき、実現できる人かもしれない。
そう思えることは人生を豊かにします。とても素晴らしいことです。

  • 電子あり
『起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ』書影
著:高橋 聡

ベストセラー『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』でも取り上げられたネットでM&Aを仲介するサイト・トランビ。
すでに会員数3万件を超え、続々と成約案件が増えている。自営業者やリタイヤしたサラリーマンだけでなく、現役のサラリーマンが副業として「会社を買う」ケースもある。大手企業での勤務経験や人脈は、中小企業の業態を伸ばすのにもプラス。政府も、新たな人材流動化、中小企業活性化策として後押ししている。銀行もいまや個人によるM&Aを後押しし、融資にも積極的だ。
実例満載、読むと元気になる「新しい仕事の本」。

レビュアー

草野真一 イメージ
草野真一

早稲田大学卒。元編集者。子ども向けプログラミングスクール「TENTO」前代表。著書に『メールはなぜ届くのか』『SNSって面白いの? 』(講談社)。2013年より身体障害者。
1000年以上前の日本文学を現代日本語に翻訳し同時にそれを英訳して世界に発信する「『今昔物語集』現代語訳プロジェクト」を主宰。https://hon-yak.net/

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