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第43回講談社漫画賞発表! 選評&受賞のことば全公開!!

2019.06.13
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講談社では、日本の漫画の質的向上をはかり、その発展に寄与するため、昭和52年から「講談社漫画賞」を設けて、毎年最も優れた作品を発表した漫画作家を顕彰いたしております。
本年度の選考委員会は5月10日に開かれ、「第43回講談社漫画賞」を決定いたしました。講談社漫画賞のシンボルとして山形博導氏制作のブロンズ像「MEMORY」が受賞者に贈呈されます。
さらに今年度は、小社の創業110周年を記念して、長きにわたり漫画界に多大なる功績を残した2作品を「講談社創業110周年特別賞」として顕彰いたします。

選評

赤松 健

選考会では、冒頭から少年部門で大激論。最終的に、ハーレム系ラブコメの最終完成形とも言えそうな『五等分の花嫁』と、圧倒的なネーム力と描線を誇る『不滅のあなたへ』の一騎打ちとなり、どうしても決着がつかず、全くタイプの違う作品であることから同時受賞となった。よかったよかった一安心。少女部門は、今回最も熱中して読んだ『パーフェクトワールド』が頭一つ抜けてトップ。難しいテーマをよく調べて描いており、しかもお似合いカップル同士が互い違いに結ばれる最終展開には脱帽&納得。『僕と君の大切な話』はとにかく絵が好きで、男女キャラどちらも愛しい。『0キス』の清潔な絵柄も好感。一般部門では藝大受験を描く『ブルーピリオド』を推した。しかし『きのう何食べた?』の永久に読み続けたくなる中毒性と登場キャラの魅力も捨てがたく、投票で後者に決定。特別賞は『はじめの一歩』と『島耕作』シリーズ。どちらも文句なしの受賞で今後も期待。

うえやまとち

まずは、日本のストーリーマンガを、長年にわたり引っ張ってこられた弘兼先生と森川先生の特別賞受賞に大拍手をおくります。 さて選考会は、初っ端の少年部門から激戦で、それぞれ素晴らしく一時保留となるほどでした。続いて少女部門も『凪のお暇』の語り口のうまさ、大人気の『0キス』、個人的に大大好きな『僕と君の大切な話』と、傑作ぞろい!! でも『パーフェクトワールド』の徹底した取材と誠実に描いた表現力を推しました。第1話からボロ泣きして読みました。
一般部門は意外とすんなり『きのう何食べた?』に票が集まりました。12年間、料理とゲイの世界を、優しく楽しく描いてきた力量はものすごいです。『昭和天皇物語』はよくぞここまで、というパーフェクトな作品、『ブルーピリオド』も着想、画力等、申し分ないけど、どちらもまだ巻が若く、これからに大いに期待したいです。
もめた少年部門はやはり甲乙つけがたく、『五等分の花嫁』と『不滅のあなたへ』の同時受賞となりました。受賞者のみなさんおめでとうございます!!

大暮維人

『五等分の花嫁』は主人公のキャラが秀逸。恋愛ものにありがちなグダグダ感が皆無の凝縮感はとても気持ちが良い。双璧となった『不滅のあなたへ』はさすが大今さん。細かな心情描写、ドラマの構築能力は凄いの一言。少年部門は双方とも受賞して然るべきとなった。
少女部門の『パーフェクトワールド』は真摯な取材の元に描かれていると感じた。筋立ての確かさやドラマの見せ方も抜きん出ており、ほぼ全員一致で受賞となった。個人的には『凪のお暇』のある種のリアルさが秀逸で全候補作の中で最も刺さった作品。
一般部門の『きのう何食べた?』はある時は軽妙である時は考えさせられる。審査員からはレシピの正確さにも驚きの声が上がっていた。賞を取るべくして取った作品。『昭和天皇物語』は序盤すぎる為に今回は見送られたという雰囲気が強く、選考会で出た「これは全ての日本人が読むべき作品です」という声がまさに正鵠を射た作品。『ブルーピリオド』は個人的に激推し。
特別賞の『島耕作』シリーズと『はじめの一歩』は漫画界を代表する作品であり傑作。おめでとうございます!

加瀬あつし

少年部門は毎回、話のメインヒロインが変わるたびに読者が浮気させられる、ラブコメ力の高い『五等分の花嫁』と独自の圧倒的世界観で死生観を描くSFファンタジーの『不滅のあなたへ』が議論の末、ダブル受賞に至りました。
少女部門はタブー視されがちな障害者との恋愛を正面から描いた『パーフェクトワード』が圧倒的支持を得ました。この漫画には涙腺がやられっぱなしで、やっぱり作家が真剣に向き合った作品からは本物の感動が伝わるものだと感服いたしました。他にリアルなキャラ達が中毒性を誘う『凪のお暇』や、独特のノリについくすぐられてしまう『僕と君の大切な話』も好評でした。
一般部門の『きのう何食べた?』は、ゲイカップルも一つの個性として扱っていて暗さがなく、癒されクセになりました。
繊細な題材の漫画化に踏み切った『昭和天皇物語』は巻が進む今後に期待、異色藝大受験漫画の『ブルーピリオド』も関心を集めました。
今回の候補作はタブーへのチャレンジや、漫画の多ジャンル化などこれからの業界の流れや、可能性を感じる作品が目立ちました。
皆様 おめでとうございます。

東村アキコ

初めての選考会でしたが、審査員の先生方の激論にこの賞の重みを感じました。『五等分の花嫁』と『不滅のあなたへ』、どちらも賞に値する傑作です。少女部門もレベルが高く、どの作品が取ってもおかしくない僅差でありましたが、重いテーマを描ききった『パーフェクトワールド』に軍配が上がりました。一般部門の『昭和天皇物語』は巻数がまだ浅いということで受賞はなりませんでしたが、日本人として今読むべき漫画一位だと思います。『きのう何食べた?』は長期連載で人気も高く、ほぼ満場一致でした。『私たちはどうかしている』、大変面白かったのですが少女部門なら賞を取っていたかもとの意見多数。『凪のお暇』と『ブルーピリオド』もものすごい傑作でした。新参者から見ても今年はかなり選考に難航したように見えました。

森高夕次

他の選考委員から出されたネガな意見に100%賛同しつつも、そのネガを飲み込んでも『不滅の~』を激推しした。確かに賛否両論あるのだ。が、連載中に異論があるくらいの作品の方が後世に残る。この作品の着地点に期待? いや着地しなくてもいいかもしれない。どこまでも突き進んで欲しい。
自分が男だから、毎年少女部門の感想は辛口になりがちなのだが今年は間違いなくこの部門が一番レベルが高かった。全作品に受賞のチャンスがあったと思う。
一般部門の候補作は、このエントリーだと帯に短しタスキに長し、と感じてしまった。評価するポイントをちょっと変えると1位の作品が変わってしまう。その中でストーリーのダイナミックさに引き込まれた『私たちは~』を推した。
12本の候補作、例年以上に楽しく読ませて貰ったのは事実だが、エントリーのカテゴライズの問題も考えさせられた。『凪のお暇』と『私たちは~』が逆の部門にエントリーされていたら全体の評価に影響を与えていたのではないか? と個人的には感じた。

大和和紀

今年も各分野、多くの優れた作品に触れ、楽しませて頂いた。ことに少女部門はどれも甲乙つけ難く、悩んだ。『午前0時、キスしに来てよ』はアイドルとJKの恋という、全少女の憧れ。少女漫画の王道をいく物語で、展開の楽しさ、画力、センスが素晴らしかった。『僕と君の大切な話』は、キャラクターのよさと男女の恋愛観の相違を理論的(?)コメディに仕上げている。思わず声を出して笑わせられた、作者のコメディセンスに脱帽。『凪のお暇』も好きな作品で、かつての「乙女チック路線」を思わせる絵に、大人の女性の辛口ストーリー。共感するところも多く、主人公の懸命で一途な姿は、やはり「乙女チック」であり、心惹かれた。
こうしてどれも優れた中で、やはり『パーフェクトワールド』の身体障害者との恋を真正面から描く姿勢。登場人物それぞれの主張するものを統合したストーリー展開。構成力、画力が、すべての点で優れていると評価。もう最初から泣かされた、という感想もあり、深い感動を呼ぶ作品として受賞となった。有賀リエさん、おめでとうございます。

受賞のことば

少年部門

五等分の花嫁

著:春場 ねぎ 【週刊少年マガジン/所載】

  • 電子あり
『五等分の花嫁』書影

春場 ねぎ

歴代受賞された名作や今回受賞された至極の作品一覧の中にこの漫画のタイトルが交ざっているという違和感や恥ずかしさの中、少しずつ喜びを感じ始めています。
最近は嬉しい報告を頂いてばかりで確実に人生のピークを迎えているという自覚があるのでここで目一杯喜んでおこうと思います。
漫画を描き続ける事ができた周りの環境に感謝しつつ、受賞作一覧に載っていても恥ずかしくないような作品になるよう今後も精進いたします。

少年部門

不滅のあなたへ

著:大今 良時 【週刊少年マガジン/所載】

  • 電子あり
『不滅のあなたへ』書影

大今 良時

講談社漫画賞という大変な賞をいただき光栄に思います。ありがとうございます。
この作品は死にゆく人と死にゆく自分に向けた作品です。
そしてその時まで何をすべきか、気付くか、答えじみたものを探していきたいという気持ちで描いています。
手段は漫画、正直、しんどいなぁ、めんどくさいなぁ、わからないよ、と愚痴を吐きながら描いていました。でもこの賞をきっかけに、たくさんの力に支えられていたことを改めて実感することができ、力がみなぎっています。
私にとっての漫画道はこの講談社から始まっていて、持たざる者だった私にきっかけや知恵やを与えてくださったのは講談社の方達でした。
私がこの場所に相応しい変化を遂げられているかはわかりません。
でもなんとか与えられたものを吸収、吸収して、良い形で作品に出来たらなぁとおもっています。
まだ作品は未完で、私も未完で、完成の見えない変化をしている段階です。
そのゆっくりとした歩みに付いてきてくださっている読者の皆様、アシスタントの皆様、編集者の皆様に感謝します。
そして今回、受賞というきっかけで皆様に感謝を伝えられる機会を与えてくださってありがとうございました。

少女部門

パーフェクトワールド

著:有賀 リエ 【Kiss/所載】

  • 電子あり
『パーフェクトワールド』書影

有賀 リエ

この度は大変素晴らしい賞にご選出くださり、本当にありがとうございます。
6年前、「障害者との恋愛」という企画を編集部から受けた時、正直自分にそのようなデリケートな題材が扱えるのかと不安になりました。一から手探りで調べていく中で、車椅子建築士の阿部一雄さんとの大きな出会いがあり、また他にも多くの当事者の方々にお話を聞かせていただくことで、自分の中で「障害」「車椅子生活」に対する考えをまとめていくことができました。
作品に対する批判もあるだろう、と怖い気持ちもありました。でも正直に、逃げずに、出来る限りの表現をしていこう、と担当さんに引っ張ってもらいながら描いてきました。
その結果、大変ありがたいことに『パーフェクトワールド』は私の想像を超えて大きな作品に育ってくれました。
「障害」を漫画という娯楽で扱うことに不安もありました。ですが漫画だからこそ、多くの人に物語を通じて伝えられることもあるのだと、ほんの少しですが自信を持つこともできました。
応援してくださる読者の皆様、快く取材を受けてくださった当事者・当事者家族の皆様、担当様、編集部の皆様、家族、メディア化関係の皆様、この作品に関わってくれた全ての方に感謝いたします。

一般部門

きのう何食べた?

著:よしなが ふみ 【モーニング/所載】

  • 電子あり
『きのう何食べた?』書影

よしなが ふみ

この度は、講談社漫画賞という素晴らしい賞をいただく事ができて、大変光栄に思っております。
『きのう何食べた?』は、中年男性二人の日々の暮らしと食卓の様子がひたすら積み重なっていく地味な物語です。ですので、1巻が出た時点では、まさかこの話に漫画賞がいただける日が来ようとは思ってもいませんでした。5巻が出た時点でも思っていなかったですし、10巻が出た時点でもやはり思ってはいませんでした。それが、こうして15巻まで刊行された今になって賞をいただけたということは、ひとえにこの物語を読み続けて下さった読者の皆様のおかげだと深く思っております。
また、今年の春から本当に素晴らしいキャストの皆様、スタッフの皆様により連続ドラマを制作していただきまして、私自身も一視聴者として、毎週心から楽しく幸せな時間を過ごす事ができました。この映像化の企画を何年も前から持ち込んで下さった方もまた、『きのう何食べた?』の長年の読者でいらっしゃいました。
そして、長い事この連載を担当して下さった担当編集者のお二人、作画時にお世話になっているアシスタントの方達も、皆さんずっとこの漫画を読んで下さっている大事な読者です。
この物語を12年間支え続けて下さった全ての読者の皆様方に厚く御礼を申し上げます。
皆様のおかげでここまでこの漫画を描き続ける事ができました。本当にありがとうございました。これからも筧と賢二をどうぞよろしくお願いいたします。

講談社創業110周年特別賞

島耕作シリーズ

著:弘兼 憲史 【モーニング・イブニング/所載】

  • 電子あり
『課長島耕作』書影

弘兼 憲史

『島耕作』シリーズは今年で36年目に突入しました。
これまで、『ハロー張りネズミ』『加治隆介の議』等、スパンの長い連載を続けてきましたが、『島耕作』シリーズは私の45年の漫画生活の中の代表作と言って間違いありません。
その作品に対して、講談社創業110周年特別賞を授与されることになり、大変光栄に思います。本当にありがとうございました。
『島耕作』シリーズは、私のたった3年間の電器メーカー勤務の経験を基に描いた作品ですが、36年間も続けられるとは夢にも思っていませんでした。自分としては読み切り作品として描いた『係長 島耕作』で終わりと思っていたのですが、編集部のご判断で『課長 島耕作』というタイトルでシリーズ連載となり、そして週刊連載になりました。10年続けたところで、描ききったという思いから終了させていただいたのですが、別の作品を描いている間も、読み切り連載として『部長 島耕作』を続けさせていただき、今日に至りました。そのご判断のおかげで弘兼憲史の代表作になることが出来ました。「週刊モーニング」初代編集長の栗原さんを始め、歴代の多くの編集者の方に対して心から御礼申し上げます。『島耕作』シリーズはこれで“一丁上がり”ではなくて、もう少し続けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

講談社創業110周年特別賞

はじめの一歩

著:森川 ジョージ 【週刊少年マガジン/所載】

  • 電子あり
『はじめの一歩』書影

森川 ジョージ

ありがとうございます。
『はじめの一歩』を30年間も続けられたのが、すでに自分にとって奇跡です。全て読者様と自分を取り巻く環境のおかげです。本当に感謝しています。
しかし長期の週刊連載は正直体力を削り取られます。いつまでやれるだろうかと不安がつきまとい精神が弱ることもしばしばです。
挫けそうになると「マンガはガマン」という憧れの先生の言葉を思い出し自分を鼓舞します。その回数が最近多くなっていました。そんな時、この朗報が届きました。
この上ないご褒美です。励みになります。
速度と破壊力の衰えた拳をまた握り直すことができます。
特別賞の重さはよく知っているつもりです。
その重みに負けないよう、毎週毎日、原稿にペンを打ち込んでいこうと思います。
ありがとうございました。

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