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サラマンダーを召喚したらストーカー扱いされました。ポンコツ現代魔法生活!

キャンパスの魔法使い(1)
(著:さねすえ)
2019.06.02
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「高度に発展した科学は魔術と見分けがつかない」とかつてアーサー・C・クラークが言ったように、科学が発達してまるで魔法のようなテクノロジーが世の中に浸透している現代において、たしかに魔法は時代遅れなものになるのかもしれません。

この作品は異世界での出来事ではなく、現代の日本で「科学と一緒に魔法が残っている」社会のお話。だけど魔法は廃れつつあって、時代遅れで役立たずのそしりを受けている、そんな存在。科学と同様に大学での研究対象ではあるけれど、研究費もままならない……。
そんな大学を舞台にした師弟コメディがコミックDAYSで連載中の本作『キャンパスの魔法使い』です。

たとえばひとつ火をおこすにしたって、いちいち魔法陣を描いて、大仰な呪文を唱えなければならない魔法よりも、100円ライターで済んじゃう現代社会。
魔法陣もプリンタで印刷したものではだめで、一つ一つ手書きで描かなければうまくいかないという、なんというか手作りのぬくもりを大切にするようなモノなのです。ダサいし、時代遅れ。だからというかなんというか、学長からはにらまれていて研究室の存続も危ぶまれている状況です。

と、まあ、普通だったら大学でそんなゼミがあっても入室の検討すらされないような分野なのですが、それでも入室したのが本作の主人公・コタロー。
研究に必要な魔力をまかなうだけの予算すら得られなかった「魔法開発研究室」の准教授ありすが、キャンパスに集う学生を相手に献魔力を募っていたところ、「困っているみたいだから」とお人好しのコタローは協力を申し出ます。


彼は大学生なのにいつも小学生に間違われる身長の低さに悩む青年でしたが、献魔力の過程で常人の何倍もの魔力を持つことが判明します。
ありすによると「MP分泌亢進症」という、魔力によって成長ホルモンが阻害されて身長が伸び悩んでしまう体質の持ち主だということ。魔力を日常的に使わないと症状はもっと悪化するとありすに脅された(?)コタローは即決で入室を決意し、ありすの弟子になります。


とはいえ研究室は存続が危ぶまれている状態です。崖っぷちな状況にある研究室の存続のために学長が出した条件は、「サラマンダーを魔法で召喚すること」。

召喚魔法といえば、悪魔やモンスターを喚びだして使役するイメージですが、モダンな常識に照らし合わせると、召喚前には召喚対象のところに菓子折りを持って召喚に応じるよう面会してネゴらなければならないのです。何という現代的なことか……!
横須賀に居るというサラマンダーにありすが会いに行っても面会してもらえません。すわ万事休すか……?



そこを解決するのがもともと情報工学を専攻していたコタローのプログラミングの技術です。
魔法陣を数式に変換し、リアルタイムで描画するようプログラムして、繰り返し召喚魔法を発動し続けるという力業を以て臨むと、


毎秒呼び出されることにしびれを切らしたサラマンダーが召喚されるわけですよ。



現代技術と魔法のミックス、最高じゃないですか。
何度も何度も呼び出しやがってストーカー扱いされるものの、召喚した証拠写真を撮ってさっさと追い返す現代的ドライさもまたフフっとなるポイントです。

黒髪の准教授「ありす」や、その使い魔のフクロウ「あやめさん」など、個性的なキャラクターがまたイキイキと動くので目が離せず、あっという間に読み進められること請け合いです。
いわゆるラボものでもあるし、ベスト・キッドのような師弟ものでもあります。師弟ものはアツいんです。

そしてありすさん。見るからに年齢不詳な文字通りの美魔女なわけですけど、どうもいろいろな過去を背負っていることが見え隠れします。始まりの魔女とは何なのでしょうか。 

少しずつピリッとしたシリアス風味もメリハリがあってオススメです。
魔法とプログラミングの掛け合わせパートは久々に読みたいシーンを見た! という感じでワクワクしたので、コタローとありすのゆるゆるとした日常を末永く見守りたいと思う優しい作品です。
5月病で憂鬱な気持ちが魔法のようにふわっと解消されますよ、きっと。

  • 電子あり
『キャンパスの魔法使い(1)』書影
著:さねすえ

魔法が便利だなんて、フィクションです! 伸び悩む身長にコンプレックスを抱える大学生のコタローは、ひょんなことから魔法開発研究室に籍を置く魔女、ありす先生の薫陶を受けることに。平成が終わりを迎え、AIがどうとか言ってる2019年、どう考えても魔法はダサい! ポンコツ師弟の庶民派魔法コメディ。

レビュアー

宮本夏樹 イメージ
宮本夏樹

静岡育ち、東京在住のプランナー1980年生まれ。電子書籍関連サービスのプロデュースや、オンラインメディアのプランニングとマネタイズで生計を立てる。マンガ好きが昂じ壁一面の本棚を作るものの、日々増え続けるコミックスによる収納限界の訪れは間近に迫っている。

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