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ロマネ・コンティはなぜ高い?『世界の名酒事典』で40年前の価格を追跡

2018.11.16
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■40年間の価格を追跡! 世界最高級ワイン、ロマネ・コンティは、いつから高くなったのか?

講談社刊『世界の名酒事典』が、2018年のボージョレ・ヌーヴォー解禁日である11月15日(木)発売の最新号で、創刊40周年を迎えます。

ウイスキーからワインまで、世界中の名酒情報を網羅した国内唯一の事典として、プロフェッショナルをはじめ、酒を愛する多くの読者に愛されてきました。

日本の酒業界を40年にわたって追ってきた『世界の名酒事典』。その最新号では、記念特集として、創刊号の復刻記事を一部再録しています。

今となっては貴重な、創刊当時の酒事情から、本日は誰もが一度は耳にしたことのある、世界最高峰のワイン「ロマネ・コンティ」がどれくらいの価格だったのか、ご紹介します。

語る人多くして、飲む人稀なり。ロマネ・コンティはなぜ高い?

『世界の名酒事典』の熱心な読者の方には、まさに釈迦に説法ですが。ロマネ・コンティは、とてつもなく芳醇で長期の熟成能力をもつ傑出したワイン。

ぶどう畑の面積は1.8ヘクタール。年産本数は6000本ほど。たとえばシャトー・ラフィットの100ヘクタール、年産本数20万本と比べると、その生産量の少なさにあらためて驚かされます。

だけど、希少だから、傑出した「価値」があるから、というだけであの値段になるわけではありません。

「どんなに高くても、『世界一のワイン』を飲んでみたい」と考える人々が生産量を遙かに超えて存在すること。

要するに高い需要に対して、供給量が極端に少ないこと──それがロマネ・コンティの値段の秘密(というかモノの値段のごくありきたりな真実)。

40年前のお酒の世界。落差に愕然。値段に驚く!

さて、そのロマネ・コンティ、40年前はいったいいくらで買うことができたでしょう!? 創刊号の158ページに掲載。輸入元は高島屋。

『世界の名酒事典』創刊号より

今や、ネットショップでは最新ヴィンテージでも百ン十万円。それが当時はなんと5万円でした。

この71年ヴィンテージは、ブロードベント(クリスティーのオークショニア)の評価は5つ星……ああ、買っておけばよかった!

ちなみに、『世界の名酒事典』創刊の1978年と現在の物価を比べると約2倍だそうですが、ロマネ・コンティはなんと30倍にもなっています。

ロマネ・コンティはいつから高くなったのか?

それからしばらくは、10万円以下のヴィンテージが続きます。ブルゴーニュの70年代はおおむね不作で、例外が71年、76年、78年。なかでも78年物の評価は高く、それが「84-85年版」に登場します。これがはえある初の10万円越え物件で、13万円! それでもまだこの頃は、13万円でした。

『世界の名酒事典』1984-85年版より

ロマネ・コンティの正規代理店は、「高島屋」「サントリー」、サントリーのファインワイン部門の子会社「ファインズ」へと移っていきました。

そして「89年版」で正規代理店(当時は髙島屋)以外のインポーターのものが初めて登場します。値段も12万円台から21万円台とさまざま。

『世界の名酒事典』1989年版より

背景には、ECなどによる日本の酒類市場開放への圧力がありました。並行輸入品が急増していった時代でした。正規代理店が扱う最新ヴィンテージは、その後も10万~16万円で推移していきます。ただ、その価格が確認できるのは「2002年版」まで。「2003年版」から当時の正規代理店サントリーの価格表示が、「オープン価格」になってしまうからです。それ以降、最新ヴィンテージの価格推移は『世界の名酒事典』上でも追跡不可能になりました。

とはいえ、「いつからそんなに高くなったのか?」という観点でいえば、50万円越え、100万円超え物件の登場が一つの指標になるかと思います。50万円超えものは、1996年11月発行の「97年版」に初登場しています。

『世界の名酒事典』1997年版より

やがて時代は、21世紀へと進み、その21世紀最初の年、つまり2001年刊行の「2002年版」に、100万円超えのロマネ・コンティが初めて登場します。78・85年ヴィンテージがともに120万円でした。

『世界の名酒事典』2001年版より

『世界の名酒事典』のどの号を見ても、最も高価な赤ワインはロマネ・コンティ。こうして価格推移を見てくると、市場の拡大とともに希少性が高まっていったこともわかります。創刊当時は高嶺の花とはいえ、手が出ないわけではない価格。その高騰ぶりに驚くとともに、タイムマシンがあったなら……と誰もが思ってしまいますね。

出典元 https://kurashinohon.jp/810.html

『世界の名酒事典 2019年版』書影
著者 編:講談社

ウイスキーからワインまでを網羅した国内唯一の酒の事典。圧倒的な情報量と、クオリティの高い撮り下ろしボトル写真、国内随一の名酒カタログとして、プロフェッショナルから愛酒家まで、多くの読者に愛されてきました。2019年度版は創刊40周年記念号。

最強の酒のプロが厳選した2500本のカタログに、山本博、土屋守、葉山考太郎による「酒仙鼎談」や、創刊号再録で振り返る40年前の酒事情、日本酒&焼酎の最新事情など、記念特集も充実。

•『世界の名酒事典』Facebookページ
https://www.facebook.com/meishujiten/