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錦糸町のキャバ嬢面接、ロリは不採用かよ! やむなく夜間歯科でナイトサバイブ

錦糸町ナイトサバイブ(1)
(著:松田 舞)
2018.10.07
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錦糸町駅からスカイツリーが見えると、いつも感動します。意外に近くて。それなのにそれなのに、この漫画の表紙にはデカデカと「東京っていうのは東の端に行くほど残念になるから覚えときな」のセリフが。

総武線沿線で生まれ育った身からすると、随分ハッキリ言ってくれるじゃない、喧嘩売ってんのか!と思うのですが、確かに錦糸町は単なる通過駅でしかなく。

そんな錦糸町の夜間診療歯科を舞台に、キャバ嬢を夢見て秋田から上京してきた少女・小夏が奮闘する『錦糸町ナイトサバイブ』。ベタな笑いがクセになる漫画です。

西本小夏(20)は、高校生の時に観たドラマ『ナイトコロシアム キャバ☆ウォーズ』の主人公リナちゃんに憧れ、夜の女王になるべく、錦糸町でキャバクラの面接を受けます。ところが、どう見ても中学生にしか見えないため雇ってもらえません。しかも面接で、シャンパンやらグラスやらを派手に壊し、いきなり300万円の借金を背負うことに。返済期限は、わずか1年。仕方なく、子供のころからの知り合いであるジジイ先生が営む錦糸町の「よなか歯科」に住み込みで働くことになる小夏。

先輩歯科助手の奈緒子に色々と教えてもらう小夏ですが、実はこの奈緒子が私のツボです。久々に治療に来た患者さんに対しては、「治療途中でバックレてんじゃねーよ。まったくよ~」と言い放ち、キャバクラに行くため新調した服についてはこんな感じ。

  

新規の患者をどう増やしたらいいのかという打ち合わせでは、



  

こんな錦糸町ならではの、毒舌ピンポイント小ネタが満載です。

夜になると「ぼったくりイヤイヤ音頭」という歌が駅前で流れ(どうやら新宿駅でも聞けるらしい)、歌っている嘉門達夫は、「最近、タツオに改名したらしいよ」「今年イチどうでもいい話題」というセリフに、ほんとどうでもいいと思いながらも、クスクスが止まりません。

歯医者ならではの小ネタもあって、小夏が唾液や削りカスを吸い取るバキュームをいきなりジジイ先生のあご髭に当ててズゴーっと吸い取るとか、ライトを先生の頭にゴンゴンぶつけるとか、もう本当にしょーもない小ネタが一杯なのですが、こういうベタな感じ、嫌いじゃないです。いやむしろ、このベタな笑いが心地いい。

ほかにも歯型を採ることを「印象」ということや、印象材の作り方、歯列矯正の種類といった積極的に知りたいわけじゃないけれど、確かに気になっていた歯科情報のさじ加減もニクいです。


 

一方、ストーリーは、小夏が一目惚れした賢ちゃん(19)との仲も同時進行していきます。実はこの賢ちゃん、キャバクラでバイトをしている大学生なのですが、『キャバ☆ウォーズ』に出て来るタケル君にそっくり。

万事フツーで凡庸なメガネ男子賢ちゃんと、元キャバ嬢の賢ちゃんのお姉ちゃん、いかにも水商売風なキャバクラオーナーと、もう一癖も二癖もある様々なキャラが出て来て、中身もてんこ盛り。こんな人、絶対にいない、こんなこと絶対にあり得ないと思うのに、妙に親近感があり愛おしくなるのです。

今までは通過するだけの街だった錦糸町。でも次は絶対、錦糸町で降りるぞ、漫画に出て来た店も探すぞ、嘉門タツオの歌も聴きに行くぞ! と、いつの間にか、錦糸町フリークにさせられてしまう漫画でした。

  • 電子あり
『錦糸町ナイトサバイブ(1)』書影
著:松田 舞

ここは墨田区錦糸町。キャバクラ勤務を目指して秋田から上京してきたロリロリ娘の小夏だったが、面接で連戦連敗。失意の果てに迷い込んだ歯科医院で幼なじみ(?)のジジイと再会する。その後、面接に行ったキャバクラの備品を破壊しまくって300万円の借金をこしらえてしまった、大変だ。繁華街ゆえ深夜診療を営むジジイのもと、キャバ嬢への夢を諦められないまま新人歯科助手の奮闘が始まった。レッツ・デンタル!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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