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新衝撃『寄生獣リバーシ』新一とミギーの陰で、もう一つの生存競争が!

寄生獣リバーシ(1)
(原作:岩明 均 漫画:太田 モアレ)
2018.09.08
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『寄生獣』といえば、押しも押されもせぬ名作中の名作であり、漫画好きを自負する人間なら誰しも一度は読んだことがあるのではなかろうか。

容赦なく衝撃的な残酷な描写とともに、すべての生物が存在する意味についてまで深く問いかけるその内容。私自身も夢中になり、現在に至るまで何度も繰り返し読み返してきた作品でもある。



だからこそ、『寄生獣リバーシ』のタイトルを見た時、「いくらリメイクやスピンアウトがブームだからって、あの稀代の名作に手をつけるだとぉ!?」と、半分、憤りも感じつつ、チェックせずにはいられなかった。これがファンの性というものよ・・・。

しかし、手に取った瞬間、表紙に載っているクレジットを見てみると。


 

太田モアレ氏、ですって……? 斬新な角度で格闘技のダークヒロインを描いた『鉄風』の作者じゃないの! 大好きだったわ~、あの作品!

これ、もしかしたら「ナメたらいかん案件」じゃないですかっっ!?

そう、原作の『寄生獣』が好き過ぎるあまり、斜めに構えているファンの皆さんにも、ぜひに伝えたいこの面白さ。ただの後追いリメイクでも、設定だけ横取りの薄っぺらストーリーでもない。あの一連の事件の裏側を別視点から描き、ページを追うほどに続々と意外な展開が訪れる、まさにナメたらいかん面白さなのだ!!


物語は、殺人事件の現場に遭遇した少年が、警察の事情聴取を受けるところから始まる。

生きたまま人間がバラバラに切断され、「獣が餌を食らうがごとく」グチャグチャになった状態で発見される、通称“ミンチ殺人”事件。全国で無差別に発生しながらも、いまだ警察組織はその全容をつかめず、世間では都市伝説扱いされている状況だ。時間軸としては、原作『寄生獣』の物語の導入あたりとシンクロしていると言えるだろう。



ベテラン刑事は少年からの事情聴取を進める中、ただの目撃者と思えないほど肝の据わった様子に、「違和感」を覚えていた。そして、刑事が少年を尾行した後、実は、『寄生獣』に登場する意外な人物の息子であることが発覚するのだ!

ここで、「え~っ! あの人が出てくるの!?」と驚くこと必至の展開!
そして、彼の父親とともに現れた登場人物にも「おお~っ!」と驚かされるハズ。



本作の主人公である少年・タツキは、何らかの覚悟と決意を胸に秘めているようで、父親とも刑事とも敵対的な姿勢を見せる。「連続殺人の犯人、僕だと言ったら?」と刑事を翻弄する一方、「俺が絶対にアイツを許さない」と瞳に暗い焔を宿す。

果たしてタツキの立ち位置とは? 彼の目的とは一体……?






さらに殺人事件の捜査本部が立ち上がり、タツキの物語は、『寄生獣』の主人公・シンイチが住む東福山市で起きていることも見えてくる。もしやこれから先、タツキとシンイチがどこかでニアミスすることもあるのかも!?



タツキを軸に、ここから誰がどう絡み合い、どんなストーリーが展開していくのか、ワクドキが止まらないっ!! 本作のみを読んでも十分に面白い内容だが、『寄生獣』を読んだことがない人や、細かいストーリーを思い出せない人は、一度おさらいしてみるのもオススメだ。2つの物語の時間軸や背景に想像力を膨らませれば、面白さの奥行きもさらに広がるだろう。

  • 電子あり
『寄生獣リバーシ(1)』書影
原作:岩明 均 漫画:太田 モアレ

人類とパラサイトの生存競争は、終わる事無く世界中で続いている。新一とミギー、伝説の陰で繰り広げられた、もう1つの生存競争がここに明かされる。大量バラバラ殺人を捜査するベテラン刑事・深見。彼は、通報者の高校生・タツキの冷静さに、違和感を覚える。その違和感の源は、タツキの家族に在った……。不朽の名作『寄生獣』、その裏側を描く物語がここに開幕!

レビュアー

ゆたか まり イメージ
ゆたか まり

貸本屋店主。都内某所で50年以上続く会員制貸本屋の3代目店主。毎月50~70冊の新刊漫画を読み続けている。趣味に偏りあり。


https://note.mu/mariyutaka

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