今日のおすすめ

【鉄板ネタ】1つ屋根の下ラブストーリー『絶対にときめいてはいけない!』

2018.08.30
  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます

夏になると少女漫画が読みたくなる! 学生時代、漫画を読む習慣が全くなかった私でも、夏になるとなぜか、少女漫画を買っていました。恐らくそれは、夏休みという自分だけの時間の中で、現実離れしたイケメンが出てくる、現実離れしたラブストーリーに胸キュンしたかったからだと思います。

『絶対にときめいてはいけない!』は、そのころ読んだ少女漫画を彷彿とさせる、ちょっとドジでお茶目な女の子とツンデレ・イケメンが出て来る王道ラブストーリーです。

主人公は、親の再婚で誕生日が1日違いの弟ができ、「いいお姉ちゃんにならなくては」と張り切る西山さくら。

そんなさくらと弟の楓が初めて出会ったのは、夏休み直前の学校でした。さくらは学年で一番人気の波多野涼に告白して振られるのですが、その様子を楓に見られてしまいます。

ところが家に帰ると楓がいて、今日から一緒に暮らす弟として紹介されるという具合です。


いやいや、ないない。いくらなんでも、一緒に暮らす前に顔合わせするでしょ、とツッコミを入れてしまいましたが、さくらは腹痛で毎回、パスしていたとか。

失恋で落ち込んでいるさくらを慰めるために開かれた合コンにも、偶然、楓が居て、最初は他人のふりをするものの、さくらが他の男にちょっかいをかけられると、さくらの肩を抱き寄せ、「俺とあいつ、どっちがいい?」とみんなの前で言う楓。しかも、2人が学校に行くと、まさかの同級生に!

さらにさらに、両親が旅行に行った2人きりの夜、風呂場でさくらが倒れるという展開、ベタすぎるでしょ!と、またまたツッコミを入れてしまいました。

このあとも、かなり力技的な展開が続くのですが、作者である築島治(つきしまはる)先生自ら「少女漫画の鉄板ネタを全部やるつもりで描いてます」と公言しているのを見て、納得。

そうなんです、これらは全部、少女マンガの鉄板中の鉄板、王道中の王道なんですよね。

そして、それらがすんなりハマるのは、オシャレでゆるふわ髪の可愛い主人公と、長身で引き締まった肉体を持つ超イケメン君たちが出て来るから。

今から三角関係の匂いがプンプンする楓と波多野の二枚看板が、もう甲乙つけがたいイケメンというのは、この漫画の大きな魅力でもあります。

そのイケメン君たちが、「壁ドン」ならぬ、こんなふうにされたらキュンキュンしちゃうよね、という思わせぶりな美しいシーンが一杯出てくるところも鉄板かつ王道です。
        

   
    

「弟にどきどきする姉って変態みたいじゃん???」とさくらは悩むのですが、こんなことされたら、誰だって好きになっちゃうよねというシーンが、まだまだ出て来ます。

例えば、2人で部屋にいたことを母親に見つからないようにと、抱き合って布団に隠れるのですが、楓は上半身裸。(楓は、なぜかいつも脱いでいる!)。
そして、波多野からさくらを引き離すために、中2階にいたさくらに「飛び降りろ」と言う楓。こんな絵になる抱きかかえ方、少女漫画でなければ絶対にできません。

      


でも、私の中の極めつけは、ケガをしたさくらの指を楓が舐めて、「おまえの指って忘れてた」というセリフ。思わず楓に、「おまえ、絶対、確信犯だろ!」と言いたくなりました(笑)。

こんな思わせぶりなことをする楓ですが、本人は無自覚で、さくらの「楓のこと好きになったらどうする?」の一言で、今度は楓がさくらを意識するようになります。そして、さくらを振った波多野が、さくらに急接近。ライバルが現れた途端、さくらに対して違う感情が芽生える楓。いよいよ三角関係に突入です。

このあと、どれだけさくらと楓が接近するのか、そしてどれだけ“少女漫画の鉄板ネタ”が出て来るのかを想像しつつ、現実離れしたラブストーリーにときめいて欲しい漫画だと思います。

  • 電子あり
『絶対にときめいてはいけない!(2)』書影
著:築島 治

「俺だってこういうの誰にでもするわけじゃないから」
親の再婚で同い年なのに「きょうだい」になった西山さくらと楓。ちゃんと家族になりたいのに、何気ない楓の優しさにさくらはドキドキしてしまう。一方、学校でさくらが波多野と一緒にいるのを見た楓が意外な行動に出て……? 義理のきょうだいの1つ屋根の下ラブストーリー第2巻! 累計120万部突破(電子含む)『私たちには壁がある。』の築島治、最新連載作。

既刊・関連作品

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

  • facebook
  • X(旧Twitter)
  • 自分メモ
自分メモ
気になった本やコミックの情報を自分に送れます