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【次にくるマンガ大賞第1位】超極道な高校生SM愛に釘づけ!『来世は他人がいい』

来世は他人がいい(2)
(著:小西 明日翔)
2018.08.23
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多くの漫画を読んでいると、時折、「これは!」と思わせてくれる作品に出会うことがある。独特な空気を放ち、これまで世に出た作品にはない、“特別な何か”があると感じさせる面白さ。『来世は他人がいい』は、まさにそれだ。



女子高生・染井吉乃は、関西最大の指定暴力団直系の染井組組長の孫娘。極道の家に生まれ育ち、「梅田のホステス」と揶揄(やゆ)される美人でありながら平穏に生きてきた彼女は、ある日突然、関東最大の指定暴力団直系の深山一家総長の孫息子・深山霧島と婚約することになる。

西と東の2大勢力が和睦に向かうという名目のもと、吉乃は東京の深山一家に居候し、霧島と同じ高校に通うことになるが、やがて、彼の持つ異常性に気づく。爽やかで品行方正な男前、学校では女子生徒の憧れの存在。

しかし、優しげな笑顔の裏側には、人を殺す一歩手前まで殴ることに1ミリの罪悪感も感じない強暴性があり、「人のことなどどうでもいい」という冷徹さが隠されていたのだ。



吉乃に対してもそれは同じ。東京の生活に馴染(なじ)むために関西弁を使わず、学校でもおとなしく振る舞ってきた彼女に、霧島はこう言うのだ。
「女に嫌われている女に人権無視でめちゃくちゃに振り回されるのが好き」「思った以上に吉乃が普通すぎて何の価値もない」と。

そして、「吉乃の取り柄は顔と体しかない。それを売って金にしてきてくれない?」と笑顔で言い放つ。



吉乃は、「この世の中にあんな男がいるのか」とショックを受け、おまけに霧島に好意を抱く同級生からイジメのような嫌がらせまでされ、ずっしりと落ち込む。

「あれ? このまま引き下がるの? うじうじしたまま、この男に負けたまま大阪に帰るの?」と思わせる展開だが、どっこい、それでは終わらない!



なんと吉乃は、予想外の方法で400万円をつくり、それを手に教室に乗り込むのだ。関西弁で淡々と話しながらも霧島を「ドMクソ野郎」と蔑み、さらに同級生に向かって「人生メチャクチャにしたるからな」と啖呵を切るその姿は迫力満点! 実にカッコイイぜ、姐さん!



そして、さらなる急展開。そんな吉乃にゾクゾクしてしまった霧島は、「俺の人生メチャクチャにして」と迫り、突如、ベタ惚れモードにスイッチする。



普通じゃない2人の物語はここから一気に加速する。吉乃の持ち物にGPSを仕込んでつけ回したり、夜な夜な彼女が眠る部屋に忍び込み、こっそり髪を三つ編みしたり、霧島の愛情表現は常に想像の斜め上。



暴力的なヤクザの世界の描写と並行し、偏った愛の形を描くこの物語。うすら寒くなる怖さを感じる瞬間と、意外な展開に笑ってしまう瞬間が交互にやってくる。冷たくて温かい、なんとも独特な温度感に、思わず引きずり込まれてしまうこと間違いなし! 
今回発売された第2巻では、吉乃をめぐる三角関係も勃発。目が離せない新展開にさらなる期待が高まるばかりだ。

本日の一言:「スリル満点、虎の甘噛み」

  • 電子あり
『来世は他人がいい(2)』書影
著:小西 明日翔

話題沸騰の極道ラブストーリー! 大阪のヤクザの孫娘・吉乃は、東京のヤクザの孫息子・霧島と婚約を結ぶことになってしまった。いざ吉乃の東京生活は始まったが、早速ヤクザの揉め事に巻き込まれてゆく……しかし霧島は妙に楽しそう。この男、何をたくらんでいる? はみ出し者たちが織りなす、スリルと笑いが融合した極道エンタメ第2巻。関東各地のヤクザも続々登場! 『春の呪い』で鮮烈デビューを飾った小西明日翔の最新作。

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レビュアー

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ゆたかまり

貸本屋店主。都内某所で50年以上続く会員制貸本屋の3代目店主。毎月50~70冊の新刊漫画を読み続けている。趣味に偏りあり。

https://note.mu/mariyutaka

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