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SNSで読ませる、リアルでは聞かせる。素敵な反応を促す表現の技術とは?

2018.08.14
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自分メモ
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誰でも気軽にSNSやブログで表現し、交流することが当たり前になった現代社会。みなさんもこんなことはありませんか?
「良いこと言ったつもりなんだけど、いまいち反応が薄い……」
「フォローしている人の中でも、読ませる文章を書く人と、どうも内容が頭に入ってこない人がいる。自分はどっち?」

そんなモヤモヤや疑問を抱き、この本のタイトルに惹かれレビューを開いてくださった方に言いたいです。
「どうぞご安心ください!!!」と。

この本に興味があるということは、「人の心を掴(つか)んでわかりやすく伝えたい!」という意志があるということ。それがあるとないとでは雲泥の差。

本書の悪い例として出てくるような、独り言のような話し方で誰にも伝わらない授業を行なっている先生。こういう人などは、たぶん、相手に伝えたいという意志も弱いし、問題意識も疑問も持っていない。現状維持でいいのでしょう。他人への思いやり成分が薄いというか。

一方この本のタイトルに惹かれ、レビューを読んでくださるあなたは、ちょっと気をつけて数をこなせば、あっという間に伝えるのが上手くなる素質がある人だと思うのです。うまくなりたい!という意志だけで、この学びの7割くらいが終わっている。そんな気がします……!

過去の若かった自分は、わかりやすく伝えたいなんて気にもしていなかったなあ……涙目。
「難しそうな専門用語を使った長いタイトルをつけておけば、ザ・論文って感じでかっこいいよね!」
「会社のプレゼンテーションでみんなをポカンとさせてしまったけれど、別にいい、終わりさえすればいい。」
……そんな過去の自分。わかりやすく伝えたい意志も読ませる技術も聞かせる技術も皆無だった若い時を思い出し、恥ずかしさに悶絶しました。

本書は世の中に数え切れないほど存在する「話し方の技術」「文章の書き方」といった本とはちょっと違います。

著者は、人の認知機能、すなわち見たり、覚えたり、考えたりする人間の頭の働きについて研究している。そこでは、「わかる」とはどういう頭の働きかが研究の一つの基本テーマとなっている。そこから得られた知見を最大限に活用してみると、これまでとは一味違った内容の本ができるのではないかとの思いから、本書を書いてみた。題して「認知表現学」。
(中略)類書では、「こうすればわかりやすくなります」ということは、ていねいに書かれている。しかし「なぜ」がない。そこが物足りない。それを、本書では克服する努力をしてみた。

さすがブルーバックス。「表現する」、そしてそれが相手に「わかる・わからない」といった時に、それぞれ脳内で何が起きているのか、そこから解剖しようと試みている。

人間を情報処理システムとみなし、「短期記憶貯蔵庫」「長期記憶貯蔵庫」で何が起こるから、「わかる」のか「わからない」のか。ひとつずつ納得しながら「わかる」の科学について知ることができます。

「わかるとは、入力情報が、人間の情報処理系統の中で適切に処理されて、頭の中に格納されている既有の知識に●●させることができたか、あるいは既有の知識をうまく■■できることである」

なるほど!! 「わかる」がわかった瞬間。

●●と■■に何が入るのかは、お楽しみのためにナイショにしておきます。これは楽しいクイズ。ぜひ考えてみてください。

そしてひとことで「わかる」と言っても、色々な種類があることに驚きます。

・論理的にわかる
・行動的にわかる
・直感的にわかる
・確信を持ってわかる
・気持ちよくわかる

「わかる」の質と深さの違いがわかれば、自分がその時目指す「わからせる」のアプローチ方法がわかります。

本書は理論だけではなく、読者が容易に「わからせる」アプローチを実践できるような工夫もたくさん!

──

本書の工夫1
全編にわたって具体的事例が盛りだくさん。ところどころそれが読者への「問い」の形になっているのも知的好奇心を刺激されます。

本書の工夫2
章末には面白いコラムが掲載されています。

本書の工夫3
認知表現学の実践の章には、当たり前のようでできていない25個の「表現の工夫」が書かれ、解説されています。
例「導入部では、アレッ、どうしたんだろう、と思わせる素材を用意する」「少しずつむずかしくしていく」「随所で、まとめと、あと何をどれだけかをはっきりさせる」「一つの問いで一つのことを問う」など

本書の工夫4
本書に親しみを持ってほしい、また、あのイラストがあったところに書いてあったと検索機能にするためにイラストが入っています。

──

表現の実践方法がわかれば、さあ、あとはどんどん実践あるのみ! SNSなんて気軽に色んな表現手法を試すことができ、また反応もすぐにわかるという、練習・実践には恰好なツールですよね!

豊かで楽しい表現ライフを送りたいものです。わかりやすい表現をすることで、相手も気持ちよくわかってくれて、みんなハッピー!!

最後に本書の扉にあった言葉がとても胸に響いたので、それで締めることにします。

「わかりやすさ」とは、
なんであろうか?
書き手と読み手
話し手と聞き手
──表現する心とわかる心が
共振するところに
発生するものなのである。

  • 電子あり
『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術 心を動かす、わかりやすい表現のコツ』書影
著:海保 博之

誰もがブログやSNSで表現者となっている時代。表現することの大切さと難しさを痛感している人も多いはずです。本書では、表現することを、どうしたらわかりやすく伝えられるのか、著者みずから名付けた「認知表現学」をもとに系統立てて解説します。あふれる情報のなか、自分の発信するものをどうしたら読んでもらえるか、聞いてもらえるかが見えてきます。1988年刊の著書『こうすればわかりやすい表現になる』新装版。

レビュアー

野本紗紀恵 イメージ
野本紗紀恵

一級建築士でありながらイラストレーター・占い師・芸能・各種バイトなど、職歴がおかしい1978年千葉県生まれ。趣味は音楽・絵画・書道・舞台などの芸術全般。某高IQ団体会員。今一番面白いことは子育て。

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