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【老人破産ホラー】介護だけでも平均553万円。定年後のお金、どうする?

定年後でもちゃっかり増えるお金術
(著:松崎 のり子)
2018.06.12
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現在の貯蓄額と平均寿命まで生きたときの生活費を計算して、全然、足りないことがわかり、愕然としたことがあります。なぜ、もっと早くから対策を練らなかったのだろうと後悔し、「貧乏老人」「老人破産」という言葉が頭をよぎりました。でも今からでも、できることがあるのです!

■介護にかかる平均金額は、約553万円

老後で、一番心配なのは、介護が必要になったときのこと。

介護に必要な初期費用は平均80万円。さらにひと月約8万円がかかる計算です。これが平均介護期間である4年11ヵ月続くとなると、約553万円ものお金が必要だというデータが本書に載っていました。これはあくまでも平均値なので、長く生きればもっともっとかかるのですが、初期費用ってこんなにかかるのかぁと驚きました。

少しでも、この介護費を減らすには、どうしたらいいのか?

本書で教えてくれたのは、介護保険の給付金です。つまり、「もらえるお金はきっちりもらおう」ということ。介護が必要と認定されると、その段階によって介護保険の支給限度額が決まり、1割の自己負担で、サービスが受けられるそうです。(※一定の所得がある人は2割)

たとえば、家の中の手すりやスロープの設置、洋式便器などへの取り替えなど、自宅改修費は20万円まで補助が受けられます。つまり、1割が自己負担なので、18万円の支給が受けられるということです。(※要支援1・2、要介護1~5と認定された方が、対象となる住宅改修を行い、必要と認められた場合)

こうした「補助金や助成金は、事前に申し込むのが原則」で、後から請求してももらえない場合があるので、必ず自治体に問い合わせの上、申請することが大事だといいます。税金や年金のように、知っている人が得をする制度が多いので、やはり事前に知識を得ておくことは大切ですね。

■銀行が勧める「外貨建ての貯蓄性保険」は要注意

次に気になるのは、現在の貯蓄をそのままにしていて良いのかということ。

「インフレになると預貯金は目減りする。増やしたければ投資をすること」という記事を目にし、焦った私は銀行の無料相談に行きました。

しかし、本書の中にこんな一文を見つけ、苦笑いしました。
銀行や保険ショップでやっている無料相談窓口に聞いてはいけない
というのです。

なぜなら、こうした窓口では「外貨は円に比べて金利が高いので増えますよ」とか「利息がほとんどない預金よりオトクです」といって、「外貨建ての保険」や「個人年金」や「投資信託」を勧められるからだとか。

ええ、実際、私が勧められたのも、まさにこの3つでした!

特に最近、流行りの「外貨建て貯蓄性保険商品」について著者は、「非常に仕組みがわかりにくく、かつ為替も絡むので、本当にお金が増えるのか誰にも保証できません」と言っています。実際、私が勧められたものも、シミュレーション図では儲かるようになっていますが、仕組は複雑で予想が立ちにくいものでした。

仕事柄、ついつい取材をしたくなるので「なぜ、銀行が保険商品を売るのですか?」と聞くと、「今は銀行も色々やらないと儲からない時代なんです」と率直に答えてくれました。
こうした商品は、保険会社から受け取る手数料率が高いので、銀行などが勧めてくるのだと金融庁のレポートを引用した説明が本書にあって納得。

著者は、無料相談など、無料とつくものにはウラがあり、投資をするならまだ多少の失敗もリカバリーもできる若いうちにと言っています。

■ 老後資金作りに向いているiDeCoとは?

では、老後資金に向いている金融商品は何かというと「金額を上乗せしやすく、引き出しの自由度が高く、目減りしないもの」だそうです。

最近、よく耳にするiDeCo(個人型確定拠出年金)。これは、毎月、掛け金を払い運用したお金を60歳になったら引き出せるというものです。メリットは、掛け金が所得から引かれるため、所得税が安くなり、運用の利率も非課税、受け取り金も所得控除の対象になるところ。ただし、口座管理手数料がかかったり、運用益が出なかったときは、元本割れになることもあるので注意が必要です。

また、50歳以降に始めると60歳の受け取りまでの期間が短いので、非課税というメリットを享受する期間も短く、この商品は若い人向きなのだとか。

まったく、この国は老人に冷たい……と思わずボヤいてしまいましたが、シニア世代はこれからどうすればいいのか? 

■定年を過ぎたら一労働者となる自覚を持つ

要は、歳をとってからも働き続け、預金の切り崩しを減らすことが、一番の貯蓄術。働けるうちは働け!ということですよね。

リタイアする前に取り組むべきは、まず「定年が過ぎたら、一労働者になる」という自覚を持つこと。「一労働者としてお金を稼げるスキルは現在の自分にあるのか」を考え、準備すること

この言葉は、定年がない私のようなフリーランスは、常に感じていることです。今までのキャリアなんて、雇うほうからしたら邪魔なんだろうな。歳を取ったら、どんな仕事でもやらなければいけないのだろうなと。

そんなどんよりとした気持ちを持っていたのですが、本書には「アクティブ就業支援センター」など、無料で相談やセミナーを行っている事業所が紹介されています。ハローワーク、シルバー人材センターだけでなく、こうした支援があるとわかっただけでも、漠然とした不安は消えました。

本書は、お金に関する専門的なことだけでなく、無駄な支出の減らし方やシニア割引の上手な使い方など、実生活に即したことも載っています。老後資金をどうしようと迷う前に、一度、自分に合う貯蓄術は何なのかを考えてみてはいかがでしょうか?

『定年後でもちゃっかり増えるお金術』書影
著:松崎 のり子

「定年前から」始めておける、「定年後だから」できる、リタイア後の賢い貯蓄術! 貧乏老人にならないためには必読の書!

●目次
【はじめに】
 老後のお金の不安を消すシンプルな方法など

【ウオーミングアップ  使いグセを棚卸しする】
 老後の支出はいまの7割、収入は5割?
 お金が漏れている、あなたの「使いグセ」の見つけ方 など

【ステップ1  勝手に貯まる生活に変える】
 4つの「減らす」でお金は貯まる  
  「出」を減らす処方箋/「不満」を減らす処方箋/「モノ」を減らす処方箋/「自己負担」を減らす処方箋

【ステップ2  もらえるお金はきっちりもらう】
 死ぬまでもらえるのが国の年金
 公的年金でもらえるのは5000万円以上? 
 介護のお金は誰が出す?  など

【ステップ3  お金持ちより“応”金持ちになる】
 いくら貯めればいいかはこう考える
 低金利時代の貯め方は、増やすより目減りさせないこと  
 金利より見るべきものは「非課税」のメリット  など

【ステップ4  稼ぎ力を積み立てる】 
 働くことが一番の貯蓄術 
 お金を生み出すスキルや人脈を積み立てる 
 老後のためには出世しないほうがいい!? 
 住まう場所でお金の価値は変わる  など

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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