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「エース続投!」森金融庁長官の大改革で、銀行・証券・生保はどう変わる?

捨てられる銀行2 非産運用
(著:橋本 卓典)
2018.05.17
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現在、金融庁の森信親長官の下で進められている金融改革には、2本の柱がある。ひとつは、「企業・経済の持続的成長」であり、もうひとつが、本書で取り上げられているテーマ、「国民の資産形成」だ。前者の「企業・経済の持続的成長」というテーマは、著者の前著『捨てられる銀行』で扱われている。

タイトルに「2」とあるので、前著を読まなければ本書を読めないのではと思う読者もいらっしゃるかもしれない。だが、どちらを先に読んでも全く問題ないのでご安心されたい。

少子高齢化が進む日本に残された貴重な成長産業は、個人の金融資産を着実に資産運用で増やしていくことである。しかし、銀行窓口では、真に顧客の資産の成長を考えた運用提案はされていない、と著者は言う。系列会社や取引先企業に利益をもたらす投資信託や保険商品が、優先的に販売されているというのだ。個人資産の運用は、まったく「悲惨」で、「非産」な状況にある。

この現状にメスを入れるため、金融庁が打ち出しているキーワードが、「真に顧客本位の業務運営」という定義で使われる「フィデューシャリー・デューティー(Fiduciary Duty、受託者責任)」である。

本書は、日本の資産運用サービスのお粗末な現状を糺(ただ)しつつ、森長官の思想そのものに肉迫し、金融庁の方針に迫ってゆく。各国でフィデューシャリー・デューティーがどのように実現されているのかというレポートも豊富だ。ごく一般のビジネスパーソンも、金融関係者も、本書を読むことで最近の資産運用業界の動向をつかむことができるだろう。

目次

  1. 序章 「売られるあなた」 銀行、証券、生保に奪われ続けるあなたの金融資産
  2. 1章 動き出した資産運用改革
  3. 2章 ニッポンのヒサンな資産運用
  4. 3章 フィデューシャリー・デューティとは何か
  5. 4章 年金制度の変化と資産運用改革
  6. 5章 改革の挑戦者から何を学ぶか
  7. 終章 「売られないあなた」になるために

著者紹介:橋本 卓典

共同通信経済部記者。1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年共同通信社入社。経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当。09年から2年間、広島支局に勤務。金融を軸足に幅広い経済ニュースを追う。15年から二度目の金融庁担当、16年から資産運用業界も担当し金融を中心に取材。著書『捨てられる銀行』(講談社現代新書)は12万部超のベストセラーに。本書は著者渾身の第2作となる。

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『捨てられる銀行2 非産運用』書影
著:橋本 卓典

ベストセラー『捨てられる銀行』が明らかにした森信親・金融庁長官の金融大改革。第2弾は「資産運用の大改革」だ。キーワードは「フィデューシャリー・デューティ」。いま、銀行や生保、証券会社が売る金融商品の多くは高額手数料を取れる金融機関本位の商品ばかり。森長官の資産運用改革はここに厳しいメスを入れつつある。「愛される」のか「捨てられるのか」。森長官の真意をいち早く見抜くために全金融機関関係者必読の書。

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