今日のおすすめ
講談社社員 人生の1冊【60】バカになりきれ!『魁!!クロマティ高校』
(著:野中 英次)
齋木淳史 別フレ・デザート編集部 20代 男

「よく飽きないねぇ……」
高校時代、勉強もしないで何度も読み返し、親を呆れさせていました。ケラケラ笑っているだけのように見えたのかもしれませんが、実際には多大な影響を受けたように思います。
当時、私は中高一貫の進学校に通っていました。「勉強のできるやつが一番偉い!」「絶対に医者になるんだ!」、そんな雰囲気があほらしく、息の詰まる日々。かといってモテないし、スポーツもできないので、なかなか突破口が見えない。そんな閉塞感を打ち破ったのが、『魁‼クロマティ高校』だったのです。
『魁‼クロマティ高校』は、日本一の不良校・クロマティ高校に入学してしまった優等生・神山高志と愉快な仲間たちによる学園ギャグマンガです。
某世界的シンガーにそっくりなフレディ、どう見てもロボットなメカ沢、ハイジャック犯・マスクド竹ノ内、そしてゴリラ。正直、どれもこれも意味がわからない! 出てくる必然性はゼロだけど、なぜか憎めないキャラクターたちが大好きでした。
主人公の神山は、何となく私と似ていたような気がします。不良校の優等生・神山と、進学校の劣等生である私。共に校内のマイノリティーだということに、勝手ながらシンパシーを感じてしまったわけです。
しかしながら、両者には決定的な違いがありました。私がウジウジと文句を言う一方で、神山は逆境をものともしません。彼は不良たちの中で自分を殺すのではなく、むしろ一番ぶっとんだバカをやってのけるのです。
神山は強引なボケを連発し、不良たちを翻弄することによって、いつのまにか彼ら(ついでにロボットとゴリラ)を手なずけてしまいます。そして、いつのまにかクラスを取り仕切るバカの急先鋒のような存在に成り上がりました。
クラス内カーストの低さゆえ白い目で見られても、そんなことはどうだっていい! 神山のように自分を曝け出せば、道が開けるんだ!
そう思うと、窮屈だった毎日から少し解放され、ダメな自分に自信を持つことができました。世間的な「輝かしい青春」を送ったとは言い難いですが、自分なりに楽しく生きてやったつもりです。
今の私がいるのは、神山のおかげだと思っています。そのせいで相当なテキトー人間になってしまいましたが、「まあいっか」などと思う今日この頃です。
- 電子あり
普通に暮らしていた優等生・神山高志は、なんの因果か日本一の不良校・クロマティ高校に入学してしまった。しかし、そこは「どこが不良(ワル)?っていうか何?」という高校生の巣窟だった。
既刊・関連作品
執筆した社員

齋木淳史【別フレ・デザート編集部 20代 男】
※所属部署・年代は執筆当時のものです
関連記事
-
2018.03.31 レビュー
講談社社員 人生の1冊【59】ぼろぼろになっても家族で読み返した『花田少年史』
『花田少年史(5)番外編』著:一色 まこと
-
2018.01.20 レビュー
講談社社員 人生の1冊【50】『きんぎょ注意報!』空飛ぶピンクの金魚と才能
『きんぎょ注意報! 』著:猫部 ねこ
-
2017.12.02 レビュー
講談社社員 人生の1冊【47】『寄生獣』右腕に寄生したパラサイト・ミギー
『寄生獣 』著:岩明 均
-
2017.11.11 レビュー
講談社社員 人生の1冊【45】劇場版アニメ公開!『はいからさんが通る』
『はいからさんが通る 』著:大和 和紀
-
2017.09.30 レビュー
講談社社員 人生の1冊【42】『花とみつばち』マジかよ、女の子ってこんなに不安定で浮気性
『新装版 花とみつばち(1)』著:安野 モヨコ
人気記事
-
2018.04.11 試し読み
金田一と犯人視点読み比べ!『金田一少年の事件簿』オペラ座館殺人事件〈1〉
『金田一少年の事件簿File(1)』漫画:さとう ふみや 原作:天樹 征丸 原作:金成 陽三郎
-
2018.04.07 レビュー
「親にも言えない」タイトルだけど、ゲスでナイスな智也くんの最高の恋愛話!?
『ブスな彼女は練習台(1)』著:倉本 たけみ
-
2018.04.07 レビュー
1枚の絵が八虎を美術の世界へ誘った。藝大目指し一直線、“スポ根”受験物語
『ブルーピリオド(1)』著:山口 つばさ
-
2018.04.09 レビュー
罪を犯した日から嘘を重ね続ける5人。今、真実の光が彼らの過去を浮かびあがらせる。
『骨が腐るまで(6)』著:内海 八重
-
2018.04.11 試し読み
【手に負えない対決!】本物の超能力少女 vs. 自分を超能力者と勘違いした少年
『超能力少女も手に負えない!』著: 中村 力斗