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はあちゅう処女小説「総選挙」結果発表! 本人も意外な作品が1位に?

通りすがりのあなた
(著:はあちゅう)
2017.12.07
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収録されている7作品の中から一番好きな作品に投票してもらうという趣旨の『通りすがりのあなた』総選挙を開催しました。ご協力くださった皆様、そして見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

読者と書店員さんの1位はばらけるのではないかと思っていましたが結果は一致して、「妖精がいた夜」が圧倒的な票数を集めました。この結果は自分としては予想外で、なぜならこの作品は「書けた」という気が最後までしなかった作品だからです。他の作品は、ぼんやりとでも自分の書きたい方向に作品を進めていけている実感がありましたが、この話だけは、あっちに行ったりこっちに行ったり、ゴールが定まらないままなんとか仕上げた作品です。そういった、自分の中で達成感の持てなかった作品が1位に選ばれるのは、嬉しくも複雑な気持ちです。



「書けた」という気持ちがないということは、つまりこの作品は偶然の産物で、執筆における再現性がないということです。「書けた」と思ったものが選ばれていたなら、これからの執筆生活の中で「書けた」と思った時と「書けているかどうか不安」と思った時の違いを丁寧に自分の中で分析して、「書けた」の回数を増やしていけばいいだけなのですが、「書けているかどうか不安」な作品のほうが読者に好まれるとなると、もはや何をどう手がかりにして書いていけばいいのかわかりません。

でも、それが創作の面白さなのかもしれません。尊敬する作家さんが、一緒にランチをさせて頂いた時に「小説を書くときはいつも初めてのような気持ち」とおっしゃっていました。私も次の作品を書くときは、また初めてのような気持ちで原稿に向かうのだと思います。

自分なりに「妖精がいた夜」が1位になった理由を考えてみると、もしかしたらこれが一番身近な話だったからかもしれません。失恋から立ち直れなかったり、深く関わりのない誰かの死がこたえたり、添い寝する人が欲しい気持ちになったりするのは、多くの人にとって身に覚えのある感情なのかもしれませんね。

2位以下は少しランキングにばらつきが出ました。読者投票では1位と僅差で「六本木のネバーランド」が2位に選ばれ、一方、書店員投票では「世界一周鬼ごっこ」が2位でした。「六本木のネバーランド」は身近な話ですが、「世界一周鬼ごっこ」は、自身も旅人だった経験のある人以外には、非日常の話だと思うので、もしかしたら一般読者の皆さんのほうが身近な話に共感するのかもしれない、と思いました。



読者投票、書店員投票、共に3位に2作品が並び、「あなたの国のわたし」がどちらも3位に入りました。日本語と英語の微妙なニュアンスのズレなどを面白いと感じてくれた人が多かったようです。そして七位(最下位)で再び、読者投票、書店員投票の結果が重なり「サンディエゴの38度線」という結果になりました。この作品が嫌われていたというわけではなく、もちろんこの作品に投票してくれた人も何人もいたのですが、これはなんででしょうね……。私にはよく理由がわかりません。一位が「妖精がいた夜」だったのと同じくらい、これが最下位だった理由は作者の私には分からず、「面白いなぁ、人の感想って」という心持になったのでした。

何はともあれ、この総選挙のおかげで自分の作品への感想を目にする機会が増えて、とても嬉しく楽しい投票期間でした。今後も、長くこの7作品を愛して頂ければ光栄です。

(文/はあちゅう)

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『通りすがりのあなた』書影
著:はあちゅう

切ない人間模様を描く、はあちゅう初の小説集!

香港に留学したサホはアメリカン・ボーン・チャイニーズのマイケルと出会う。彼は 奇妙な秘密を漏らすように──(「世界が終わる前に」)合コンで出会った森さんから出張中だけ家の留守番を頼まれた美幸。海を越えて彼から届くPCメールは不思議な感覚をもたらし……(「六本木のネバーランド」)言葉や距離を超えて築かれる、友達と も恋人とも名づけられない“あなた”との関係。

 

はあちゅう イメージ
はあちゅう

ブロガー、作家。1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。在学中に友人と企画した期間限定ブログが1日47万PVを記録し、ブログ本を出版。卒業旅行は企業からスポンサーを募り、タダで世界一周を敢行した。電通、トレンダーズを経てフリーに。著書に『さきっちょ&はあちゅう 恋の悪あが記』『わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?』『疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記』『半径5メートルの野望』『言葉を使いこなして人生を変える』などがある。

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