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“時間の逆走”は可能ってほんと? 「時間」の正体を見る最新研究まとめ

2017.10.14
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「時間」はさかのぼれるか?

──どうか驚かないで下さい。ニュートンの運動法則や、後の章で登場する相対性理論や量子力学、場の量子論も、時間の逆行を禁止しません。──

昔からよく話題にのぼる「時間の逆再生」問題。
私たちは過去へ戻れるのか?
子どもの頃に戻ったら何したい?
タイムマシンで歴史上の人物に会いに行きたい!
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に憧れる世代としては、タイムマシンは生きているうちになんとしてでも拝みたいIoT(なのか?)です。

さてさて、かつて永遠の謎のように思われていた、この問題。なんとすでに理論上では解き明かされているのです。「可能である」という方向に……!


そもそも「時間」とはなんなのか

「もう締め切りまで時間がない!」
「今日は時間あるからお茶でもしない?」
私たちは普段、当たり前のように「時間」を「ある」「ない」で語ります。でもその「時間」とは一体何なのか、きちんと説明できる人は果たしてどのくらいいるでしょうか?

なんだかわからないけど、いつも体感しているもの。常に一定の速さで流れていて、私たちはその流れに乗って移り変わっていく。多くの人にとって「時間」とは、そういったぼんやりした存在だと思います。

しかし本書では、冒頭からその思い込みを覆されます。

──現代を生きる私たちは、ほとんど無意識に「時間が流れているからものが動く」と考えてしまいますが、自然な発展の順序から言えばこれは逆です。ものが動くから時間を認識できるのです。──

例えば、宇宙のすべての物質が10年間動きを止めたとします。天体の動きや細胞のひとつひとつまで止まり、歳を取らないしその間の記憶もない。果たしてその10年間は、時間が流れたと言うでしょうか?

答えはノー。時間というものは、私たち自身を含む「もの」が動くからこそ認識ができるものであり、言ってしまえば時間という何かが元から存在するわけではないらしい!

では私たちが、絶対的な一定の流れとして「時間」があるように感じてしまうのはなぜなのでしょうか? それは私たちの暮らしている世界では、全てものが同じ速さで動いているから。あっちの時計とこっちの時計で進むスピードが違うなんてことはありえませんよね?

でも実は、私たちが直接見たり感じたりできないミクロや光速の世界では、全く異なることが起きているのです……!

「時間」を切り口に物理学の概要を解き明かしていく本書は、私たちが普段目にする「ものの動き」のルールであるニュートンの運動法則から、光の動きを解き明かした相対性理論、さらにミクロな世界への入り口となる量子力学についても触れていきます。


GPSにも活用されている相対性理論の「時間のゆがみ」

上から下に落ちるとき、ものはどんどん加速する。ボールを投げると弧を描いて落ちていく。私たちが生まれた頃から馴染みのある、ものの動き。この当たり前に思う動きの法則が、光や原子より小さいミクロの世界では通用しないそうなのです。

ものの動きが一定ではなく、時と場合によっては時間の流れが変わるということ。つまり「時間がゆがむ」ということ。

なんだかわけがわからなくなりますが、アインシュタインが発見したこの事実は、今や衛星を利用したGPSでも活用されていて、私たちの暮らしになくてはならないものなのです。

それほどまでに定着している相対性理論。物理学の世界ではすでに古典とされています。それもそのはず、彼が活躍していたのはもう50年以上も前なのですから。


粒なのに波!? 私たちの想像を超える光の性質

最新の物理学研究は、すでに私たちの目には見えない領域の、奥の奥まで進んでいます。その入り口である光の性質についてすら、一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか。

みなさんご存知の通り、「音波」というように音は波のようなものです。海水が揺れて伝わっていく波と同じで、空気の中を伝わっていく波を私たちが「音」として感じています。では、光はどうでしょう? 私たちが目で感じる光も、何かの波なのでしょうか? それとも物質である原子や分子と同じように粒状の何かなのか? そういえば、知りませんよね。

なんと驚くべきことに、そのどちらでもあるというのです。

光は波でもあり、粒子でもある……。いまいち想像ができませんが、あらゆる実験の結果、そういう性質をもったものだということがわかりました。そうするとどんどん気になってくる、電子は……? 量子は……?


スラスラ読める物理学の最新事情

本書では光や量子の動きの謎や、今まさに解き明かされようとしている最新の仮説が、難解な単語や数式を使わずに紹介されており、少しずつ理解を深めながら読み進めていくことができます。

【第1章】時を数えるということ
【第2章】古典的時間観──ガリレオとニュートンが生み出したもの
【第3章】時間の方向を決めるもの──「時間の矢」の問題
【第4章】光が導く新しい時間観の夜明け── 特殊相対性理論
【第5章】揺れ動く時空と重力の正体── 一般相対性理論
【第6章】時空を満たす「場」の働き──マクスウェルの理論と量子としての光
【第7章】ミクロ世界の力と物質──全ては量子場でできている
【第8章】量子重力という名の大統一 ── 時間とはなんだろう?

宇宙開発のニュースを見かけたときや、夜ぼんやりと星空を眺めるとき。本書を読み終えてからは、新しいものが見えてくるかもしれません。

  • 電子あり
『時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体』書影
著:松浦 壮

「実感はあるのに実体がない」。不思議な「時間」の本質を捉える旅へ!

誰にでも同じように流れて、逆回しにできないもの。
──普段思い描く時間の姿は、実はごく限られた一面。
最先端の物理学では、時間は、〈空間・物質・力を含む巨大な構造の一部〉と考えられはじめています。
ニュートン力学、カオス、特殊相対性理論、一般相対性理論、電磁気学、場の量子論、超弦理論……。物理学の歴史を辿っていくと、美しく壮大な、時間の真の姿が見えてくる!
なぜ「時間」が存在するのか? 時間はいつ生まれたのか? 時間は逆方向に進まないのか? 本当に時間は「流れて」いるのか? 
──科学が示す驚きの“時間観”とは!?

レビュアー

保手濱歌織 イメージ
保手濱歌織
mazecoze研究所所長。時短研究家、PTA研究家。日々のあれこれをいかに「時短」するかに命を賭けるワーキングマザー。新しいPTAのあり方についても日々リサーチ中。7歳男児&2歳女児&0歳男児を育成しています。
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