今日のおすすめ
講談社社員 人生の1冊【42】『花とみつばち』マジかよ、女の子ってこんなに不安定で浮気性
(著:安野 モヨコ)
小林伸裕 ヤングマガジン編集部 20代 男
青春の恋愛指南書
この漫画を読んでみたきっかけは覚えてないが、ハマったのは主人公・小松と同じ高校生の頃でした。
田舎の男子校に通っていた僕はとにかく女性に対する情報に飢えていて、女性誌、少女漫画、携帯小説など何にでも手を出していました。
そんな中出会ったこの漫画はまさに色んな事がドンピシャ過ぎて、高校3年間僕の恋愛バイブルとなっていた。
学校で一番人気の派手系女子・太田サクラを身分不相応にも好きになってしまい奮闘する小松。
当時、僕も近くの女子高で一番可愛いと言われている女子に恋をしていたので、とても他人とは思えなかった。
そして、読み進めていくうちに当然のように小松と自分は重なり、めまぐるしく変わる恋愛情勢に一喜一憂。
なぜか漫画を読んだ後とても落ち込んだりニヤけたりしている僕を見て、友人たちも興味を示し、一時期クラスの中に『花とみつばち』旋風が吹き荒れたものです。
この漫画に載っている恋は残酷なくらいリアルで、純愛ブームとは一線を画する。
小松が恋する太田サクラは数多の恋愛経験を持ち、良い男がいつも周りを取り囲んでいるし、その周囲の女子高生たちも打算や妥協、性欲、外見であっさりと心変わりをしていく。
マジかよ、女の子ってこんなに不安定で浮気性な生き物なの。
と、当時の僕を含め純朴なクラスメイトたちは絶望したものです。
しかし、この漫画に出てくるモテ男たちは基本的にそういう事をすべて許す器量を持っていて、自分のところに戻ってくればそれでいいらしい。そして小松もそんな男に成長していきます。
モテる女子をゲットする良い男になるためには、過去の男性経験や交友関係にいちいち嫉妬してはならない。
『花とみつばち』の教訓が、まだまだ恋愛に疎かった高校生の僕を一段階上のステージに引き上げてくれたようにも思う。
結局、僕の恋は実らなかった。
共学で普段の何気ないイベントから徐々に好感度をあげていった小松に対して、僕は、女子校のあの子に会う事すらままならなかったのだから……しょうがない。
でも実家に帰って『花とみつばち』を読むとあの子に恋していた当時を思い出し、小松の中に入り込む。
しかし実らなかった言い訳が、別学だったから、という何とも情けないものである時点で今の僕の器量はまだまだ小松以下のようです。
花には蜜と、毒がある。モテない男・小松がモテ男に変わるために、奮闘! しかし、彼の周りの女たちは一筋縄では行かない連中ばっかりで……。男の愚かさ、女の怖さ満載! 安野モヨコの傑作コメディ!
既刊・関連作品
執筆した社員
小林伸裕【ヤングマガジン編集部 20代 男】
※所属部署・年代は執筆当時のものです
関連記事
-
2017.08.19 レビュー
講談社社員 人生の1冊【36】月にかわっておしおきよ!『セーラームーン』
『美少女戦士セーラームーン』著:武内 直子
-
2017.06.11 レビュー
講談社社員 人生の1冊【21】『スクールランブル』 「好き」を言葉にした瞬間、本当に世界が変わった!
『School Rumble』著:小林尽
-
2017.05.26 レビュー
講談社社員 人生の1冊【16】週刊誌編集者のリアル『働きマン』
『働きマン』著:安野 モヨコ
-
2017.04.30 レビュー
講談社社員 人生の1冊【9】“非モテ男子のバイブル”『モテキ』
『モテキ』著:久保ミツロウ
-
2017.04.05 レビュー
講談社社員 人生の1冊【4】「高校デビュー」の私がクラシックに引き込まれたワケ
『のだめカンタービレ』著:二ノ宮知子
人気記事
-
2024.03.10 レビュー
死んだ人たちがゾンビになったら……!? withゾンビ社会の蘇生課お仕事コメディー
『役所の下にはゾンビが埋まっている(1)』原作:中野 ユウスケ 漫画:伊崎 元
-
2024.03.03 レビュー
KAT-TUN中丸雄一「漫画家デビュー」誕生秘話!
『山田君のざわめく時間』著:中丸 雄一
-
2024.03.08 レビュー
溺愛でじれきゅんな初恋ストーリー! 気がつけばいつもそばにいた三角幼なじみ──
『ハルメイ(1)』著:雨宮 うり
-
2024.03.05 レビュー
90年代に戻ったら? 哀しき中年がタイムリープしてコギャルと恋する青春!?
『コギャルと過ごす青春(1)』著:五十嵐 健三
-
2024.03.09 試し読み
モブ男子に春到来!! イカツイ武器をブン回すJKとの超刺激的学園ラブコメ
『ヒロインは××を稼ぎたい』原作:まがり ひろあき 作画:雪あられ