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生き方を考える前に、自分の「遺伝子」を調べよう──高城剛『不老超寿』第3回

不老超寿
(著:高城 剛)
2017.10.01
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乱世を生き抜くのは「不老超寿」で「ハイブリッド」な個人!

「岩盤規制」と呼ばれる日本の医療業界を飛び出し、世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を数百万円をかけて受診。そして奇遇にも、本書取材中にすい臓がんが発見されたのだった──。高城剛『不老超寿』出版記念、全3回の特別インタビュー!(初出:クーリエ・ジャポン)

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PHOTO: TATSUYA HAMAMURA / KODANSHA

高城剛 Tsuyoshi Takashiro

1964年東京都生まれ。2008 年より欧州へ拠点を移し、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に創造産業全般で活躍。著書多数。新刊『不老超寿』好評発売中。最新刊に、『21世紀の「裏」ハローワーク:人には言えないもうひとつの職業図鑑』

高城未来研究所

幸せは数値化できる?

──『不老超寿』のなかでとくに興味深かったのが、これから「幸せも数値化できる時代になる」というご指摘です。この点についてもっとうかがいたいです。

これまで「幸せ」という感覚はひとそれぞれで、測る基準がないものでした。しかし、ここ1~2年で数値として可視化されはじめている。いわゆる「ハッピーホルモン」、具体的にはセロトニンという神経伝達物質が「幸せ」だと明らかになってきたんです。これからは注射や投薬で、だれでも「ハッピー感」を上げられる時代が来るかもしれません。

──注射でハッピーになれちゃう時代って、幸せなんでしょうか?

もちろん覚せい剤とかエクスタシーとかじゃないですよ(笑)。最先端のサプリメントでみんなハッピーになれる。スマートガジェットとの連動も現実的ですよね。Apple Watchに「幸せ度」とか出てくる。「現在61点、ちょっとアンハッピーかも」みたいな。ユーザーも「月曜の朝だから28点でもしょうがない」とか言い出したりするかもしれません。もう、幸せもデザインする時代なんですよ。オーダーメイドでね。

──「遺伝子トレーナー」もありなら「幸せトレーナー」も登場するかもしれませんね!

すでにストレス耐性のつけ方も科学的に確立されつつあります。専用の機械で心拍変動を増やすんです。そういうトレーニングがあるくらいだから、幸せを指導する人たちも遅かれ早かれ出てくるでしょう。ちなみに、うつ病も数値化され、発病の原因も明らかになりつつあるので「不幸感」の改善とセットになるかもしれませんね。

──個々人の主観のはずだった「幸せ」や「苦悩」が科学的に解明されるって、かなり社会的に大きなインパクトがあるのでは?

これまで「幸せ」や「苦悩」を請け負っていたのは宗教でした。伝統的な宗教のなかには権威のもとに、子供にコカイン売りつつ「俺はなんて悪いやつなんだ!」と神に祈って懺悔(ざんげ)すればチャラみたいなのがたくさんある。メチャクチャですよね。そんな宗教への「お布施」がテクノロジーに移っていくはずです。

その中間にある様々なものに大きな変化が訪れるでしょう。医者もそうです。今後、どんどんAIやクラウドなどテクノロジーに代替されていく。権威に寄り添った「先生」ビジネスが崩壊するんです。テクノロジーによる下剋上は、急速に進むでしょう。

既存勢力が言う「改革」は、言葉だけだと考えた方がいいでしょうね。メルマガでもずっと言ってますが「特区」などは、典型例ですよ。

今後、社会システムの根本となっていたいろいろなものが急激に変化する可能性があります。人々が信じていた国とか、民族とか、地域社会とか「共同体幻想」も崩れ去るもののひとつでしょう。

一方で、その変化についていけなくなる人もたくさん出てくるはずです。ギリシャみたいに、日本でも「明日から全員年金打ち切り」みたいな発表がいつあるかわかりません。その隙間で、「幸福の科学」みたいな新興宗教も増えるでしょうね、きっと。

僕はスタートアップとしての新興宗教があってもよいと思っているんですよ。いまのスタートアップは「サービス」とか「テクノロジー」とかそれ風なこと言っていますけど、それはもう古いですよね。

これからは宗教の時代です。死を超越しようとする人が、あちこちから登場するから。はじめは、コミュニティの仮面を被って。「ポジティブの科学」ってのは、どうですかね?(笑)。お布施はビットコインで。

ゆくゆく、教祖はボカロとかアニメになるでしょうね。コンピューター・ジェネレートされた教祖に、物語を付加することが大切です。

──ご自身でスタートアップとして新興宗教を運営されるおつもりは?

僕はやりませんよ、面倒くさいから(笑)。でも、投資はそんなに要らないでしょう。マーケティングコストだけですよね。「幸福の科学」みたいに、大手事務所から芸能人をひとり引き抜ければ成功するというモデルがもうあるわけだから。

クーリエ・ジャポンも夢見がちな記事で課金するのやめて、これからは「ポジティブの科学」じゃない?(笑)そうしないと、収益立たずに廃刊になっちゃいますよ、高給取り多いでしょうから。

個人のサバイバルをかけた乱世がやってくる

──テクノロジーの発展が人間の生き方を根本的に変えてしまう転換点が身近に迫っているということなんですかね。現代社会を生きる人はどういう生き方をしていけばよいでしょうか?

「生き方」という言葉が、僕にはいまひとつわからない。別になんでもいいじゃないすか、好きに生きれば。一方で、自由を「面倒臭いものから離れて楽になる」ことと、混同している人も多いとは思います。

いずれにせよ、これから訪れるのは「乱世」です。そんな時代の入り口で、「良い人と認められたい」と生き方を模索したり、世ために善行しようと言ったりしている人は、早々に淘汰されてしまうでしょうね。当然ですが、みんな善行したいわけですよ、自分のために。

ですが、サバイバルが第一条件の時代に「生き方」を真面目に考えている限り、どんどん生きにくくなるだけです。

──それでも、高城さんのような「生き方」から学びたいという人は多いと思うんですが……。

また生き方って言った(笑)。そんなものを真面目に考えても無駄ですよ。その間に人も社会もどんどん変化していく。それなのに自分を詭弁で装っている限り、苦しいだけ。そこに気づくべきです。

とはいえ、新しい時代の入り口で、いわゆる生き方という言葉に縛られている人は意外と多いのかもしれませんね。皆さんが想像している以上に僕は「悪人」だから、話が参考になるかわからないけど。

世の中、善人と悪人の2種だったら、僕は間違いなく後者。法律も公平性より正当性が求められることと似ています。たとえば、いまご覧になっている記事を、皆さんは読んでるつもりですよね。でも、実際はクーリエ・ジャポンのサーバーが、皆さんの特性を読んで、換金を企んでるんです。悪人だよねえ(笑)。善人の話を読ませて、情報を抜き取る。

もう、ただの良い人では通じない時代に突入してるんです。そのためには、時には清濁併せのむ「ハイブリッドな善人&悪人」になる必要もあるでしょう。善人風の社会貢献は薄っぺらく感じますが、悪人の社会貢献は、リアリティありますからね。

──高城さんにとって魅力的な悪人っていますか?

スティーブ・ジョブズは真の悪人だったでしょうね。彼が世に知らしめたのは、iPhoneなんかじゃなくて、「復活のために命を賭けた『悪魔との契約』は存在する」ということでしょうね。

僕は、まだまだ悪魔と契約できるほど、悪人になっていません。どこかで公平性を求めている。いつ、魂売ろうかなあ(笑)。今後の自分が楽しみです。

表紙画像

世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を数百万円をかけて受診。そして奇遇にも、本書取材中にすい臓がんが発見された。本格的な「予測医療」の時代に向けて、受診可能な最先端検査ガイドとなる1冊。

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選択肢は多いほうがいい

最近日本に帰ってくると、本当に感じることが多いですよ。新宿駅って、利用者数が世界最大なんですよね。一日乗降客数350万人います。その人たちがほぼ全員イライラしている印象で、本当に景気よくないんだなって。

楽しそうなのは、アジアからの観光客だけです。京都でも同じ。

その理由は明確で、社会の風通しが悪いからです。バレたらやばいことは、密室で決めて、非公開にして、表沙汰になったら「記憶にありません」と言えばOKなんですよ、この国。そりゃ、景気悪くなりますよね。改革を旗印に、実は既得権を保護。

結果、多くの国民は芸能人の不倫ニュースに気を取られ、日々せっせと既得権者のために死ぬほど働いて、自分の時間がなくなっていく。それが、21世紀初頭の日本です。

SMAPの件でも「メリー、ふざけんな」とか、その辺の高校生が言っているわけですよ。しかし、状況をちゃんと報道するテレビは一局もない。メディアが現状の問題すら報じられないわけだから、今後迫り来る巨大な「乱世」をアナウンスできるわけないですよね。

──もう日本を脱出すべきですかね?

脱出って、どこへ? コンパクトシティとか評価されてるオレゴンのポートランドなんて、人口の1%がホームレスなんです。ティーンエイジャーの女の子のホームレスまでいて、ちょっと衝撃です。ポートランドっぽく言えば、「サードウェーブ・ホームレス」でしょうか。

この光景は、2020年代後半の東京北東部でしょうね。池袋を要する豊島区なんて、あと10年少しで財政再建団体か破綻です。区民も都民も、このような事実をあまり知らないでしょうね。

いますぐ脱出する必要はないと思うけど、選択肢としてもうひとつぐらい仕事はあったほうがいいんじゃないですかね。「ネットせどり」や「UberEATSの運転手」でも構いません。

10年前に東芝やシャープの惨劇を誰が予測したでしょう? 「失われた25年」ではなく、「既得権益がやりたい放題やった25年」なんです、実際は。大波は、これからです。

今後、個々にはあらゆる選択肢があったほうがいいと思います。いまネット上で違う人格つくって使い分けてる人もいっぱいいますが、リアルな社会でもそうしたほうが絶対いい。もうひとつの自分を作るんです、時間をかけてこっそり合法的にね。

常々お話してますが、ネットのなかで起きたことは現実社会で起きるんですよ。だから、今後はふたつ以上の人格というかアイデンティテイを持った人がリアルでも増えると思いますよ。ひとりは、日本社会にどっぷり浸かって、人目を気にしながら同調する自分。もうひとりは、日本社会とは関係なく、自分のことは自分で守る自分。しかも、こっそりと。

──そのうち「人格ひとつしかないの? 珍しい人だね」みたいなことになるんでしょうか?

いまはなかなかご理解できない話だと思いますが、そんなことすら、いずれ言わなくなるんじゃないかな。だってそれが「普通」になるから。コンピューターもいま全部マルチチタスキングになっていて、同時にいくつもの機能をこなすのは当たり前ですよね。ショッピングしながらメール読んだり、原稿書きながらブラウザ見たりとか。でもそれを特別なことだと考える人はいません。人間も、時代とともにそうなるはずです。デュアルブートOS的にね。

──「ヒューマン3.0」ってそういうことなんでしょうか?

これは、ヒューマン3.0とは関係ありません。もっと直近の2020年代の話。毎日、新宿駅でイライラしている350万人が、我慢の臨界点を超える日が来るでしょう。「既得権益がやりたい放題やった25年」の真実を知るんです。

いまから7年後には、四国の1.5倍の人口が日本から消滅するんです。その時、「みんな」のことを考えている余裕や、社会貢献を口にすることが、どんなに薄っぺらいことか。「生き方」ではなく、「生き抜く」んです、乱世を。その準備を、個々がこっそり始める必要があるんです。まずは、健康からでしょうね。医療費が破綻するから。

──超最先端医療の話から、「乱世」で生き残る処世術まで幅広い話題を語っていただきありがとうございます。最後はなんだか、個人的な人生相談みたいになってしまい恐縮です。

あ、また最後までキレイにまとめようとしている! 真面目だね~(笑)。

「生き方」を考える前に、自分を知りましょうよ。遺伝子フルシーケンスや神経伝達物質を調べて。そこに「生き方」が書きこまれてますよ。遅筋(ちきん)ばかりの人が、短距離走に向いてないのと同じです。自分の「生き方」は、自分に刻まれてる。それがテクノロジーで解読可能になったんですから使わない手はない。

それと、無理にまとめようとしない(笑)。カオスでいいじゃないですか。明日はどうなるか、まったくわからない時代なんだし、人間て、そんなもんでしょ。

──今日は本当にありがとうございました。

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  • 電子あり
『不老超寿』書影
著:高城 剛

「岩盤規制」と呼ばれる日本の医療業界を飛び出し、世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を高城剛が数百万円をかけて受診。

その中から、日本から検体を送れば、誰でもアクセスできる「最新三つ星検査」を一覧にした。

そして奇遇にも、本書取材中に高城剛のすい臓がんが発見されたのだった……。

///////本書より///////////
新刊の打ち合わせをしていた時に、ふと「いま、人類は大きな進化の時に差しかかっているのではないか。テクノロジーの進化により、デジタル技術がいよいよ生命科学に本格的に融合し、そのため150歳まで生きられるのではないか」と考えた。

だから、テクノロジーによる医療の最前線を一冊にまとめようと思った。僕は世界最先端の研究を続ける企業や博士に会いに行こうと決意し、生命科学の可能性を探る旅に出たのだった。

まさに運命というしかない。

2016年9月、僕にすい臓がんが見つかった。
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1990年代以降のパソコンとインターネットの普及は、私たちの仕事の方法を抜本的に変えた。

2010年代のスマートフォンの登場と普及は、私たちの日々の行動を大きく変えた。

そしていま、テクノロジーの進化は、私たちの心身の健康、生命のあり方そのものを根本から変えようとしている。

今後10年間で、マイクロソフトやグーグルといったIT業界の巨人たちが、AIを駆使して最先端医療の世界に急接近し、医療・健康の世界は根本的に変わることが予測される。

人類は、死ななくなるのか?戦わずして、がんに勝つことができるのか?ボケ老人から超人へ変身できるのか?そして、誰もが今日を楽しく生きるために、脳内の「幸せ」を可視化し、幸福をデザインできるのか?

「不老超寿」。

アンチエイジングを越えたハイパーエイジングのはじまりです。

Interviewed by Jonggi Ha

河鐘基

テクノロジー専門ウェブメディア「ロボティア」を運営。著書に『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』『ドローンの衝撃』など。

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