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偶然の膵がん発見「ミルテル検査」の精度は99%──高城剛『不老超寿』第2回

不老超寿
(著:高城 剛)
2017.09.30
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自分メモ
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最先端の遺伝子検査を自分の身体で試したら、がんが見つかった!

「岩盤規制」と呼ばれる日本の医療業界を飛び出し、世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を数百万円をかけて受診。そして奇遇にも、本書取材中にすい臓がんが発見されたのだった──。高城剛『不老超寿』出版記念、全3回の特別インタビュー!(初出:クーリエ・ジャポン)

著者写真

PHOTO: TATSUYA HAMAMURA / KODANSHA

高城剛 Tsuyoshi Takashiro

1964年東京都生まれ。2008 年より欧州へ拠点を移し、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に創造産業全般で活躍。著書多数。新刊『不老超寿』好評発売中。最新刊に、『21世紀の「裏」ハローワーク:人には言えないもうひとつの職業図鑑』

高城未来研究所

最先端の遺伝子検査を自分の身体で試してみたら

──最新刊『不老超寿』の冒頭にご自身の「膵がん」が見つかったという衝撃的な告白があります。その時のご心境はいかがでしたか?

2016年だけで71ヵ国もまわるほど、僕の生活は不摂生と言えば不摂生です。ただそれを補って余りあるくらい、健康には気を遣っていた自信がありました。週3回ジムやヨガに通い、食事も玄米食を欠かしませんでした。

だから膵がんが見つかったとき、初めはショックというか、なにかの間違いじゃないかなと思いましたね。同時に、テクノロジーに寄り添いながら生きてきた過程で培われた直感が「検査の精度は間違いじゃない」とも囁いていた。

最終的には、信じるしかありませんでした。そこで検査で深掘りしてみると、まだ遺伝子損傷まで行っていない段階だった。本当に奇跡ですよ。

──ステージがマイナス1だったんですよね。

そうです。僕が受けた「ミルテル検査」は、発現直前からステージ4までどんな状況でも特定のがんを発見できます。たまたま僕の場合は発現前だったから、生活を変えて問題の芽を出さずにすみました。もうラッキーとしか言いようがないですね。

もしこの書籍の発刊が1年後だったら、発病して大変なことになっていたかもしれません。膵がんは見つかってからではほぼ治らない。どんなに大金をかけても治療が不可能なことは、スティーブ・ジョブズの例でみなさんご存じだと思います。

──『不老超寿』に、次世代シーケンサーとか、ミルテル検査とか、いろいろな検査が登場して興味深かったです。これまで全部で何種類くらいの検査を受けられたんですか。

100はゆうに超えていますね。本に書けない怪しい検査もたくさん受けましたよ。というのも、僕はいわゆる現在では「非科学的」と呼ばれる検査や健康法も積極的に受けています。いま「似非」と呼ばれているものが、いつ立証されて「科学的」になるかは誰にもわかりませんし。

いつか、怪しい検査をまとめた本も出したいですね。講談社からどうでしょう? 出すわけありませんよね。それが、クーリエ・ジャポンのいまひとつ信用できないところ(笑)。清濁合わせ飲むようなリアリティがないですよね。

──そういう「怪しい検査」も気になるところではありますが……。ミルテル検査は日本でも受けられるのでしょうか。

もちろん、可能です。一般的な人間ドックには、「腫瘍マーカー」という検査がありますが、がんを発見できる確率は約5〜6割程度です。しかもステージ4でも見つからないケースがある。一方、ミルテル検査の精度は、がんによっては99%以上です。

腫瘍マーカーなどの検査が主流になっている人間ドックって、世界中を探しても日本にしかありません。実際、僕の知人はステージ4だったにもかかわらず、検出されませんでした。

──心臓、脳など梗塞系の病気予測に有効な検査「LOX-index」も気になりました。

LOX-indexは、血管のリスクを調べる検査です。これまでは「LDL=悪玉コレステロール」が問題だと言われていました。皆さんも人間ドックで「LDLが高いですね」とか言われたことがあると思います。ですが、これがほとんど病気とは関係ないことがわかってきました。LDLが高くてもLOX-indexが低かったら、そこまで心配することはないように思います。

遺伝子検査がカギだ

──高城さんオススメの「遺伝子のフルシーケンス」についても教えていただけますか。

遺伝子のフルシーケンスをすれば、どんな病気になるか予測できるケースがあります。たとえば、胃がん。胃がんになるのはピロリ菌が多いからだという人がけっこう多いんです。先進国の人々のなかで、日本人だけダントツでピロリ菌が多いんですよ。

でもこれはピロリ菌自体ではなく、日本人の遺伝子の問題なんです。「MTHFR」という遺伝子があって、その特定ナンバーに損傷があるとピロリ菌が発生しやすくなる。ピロリ菌は放っておくと胃がんのリスクになるけれど、そもそもそれ以前に遺伝子に問題があるんです。

遺伝子を調べれば、ピロリ菌に感染しやすいか否かがわかる。遺伝子はスイッチを「オン・オフ」できますから、病気の発生が危惧されるならばオフにすることも考えたほうがいいんです。

この遺伝子のオンオフは、「エピジェネティクス」と呼ばれています。IT業界でSEO対策と呼ばれる職種は20年前には存在しませんでしたよね。同じように、今後問題ある遺伝子をオフするような「遺伝子トレーナー」が普通になるかもしれません。

また、逆流性食道炎の大半は、SIBOと呼ばれる小腸細菌異常繁殖が原因のことが多々あります。でもSIBOは日本では病気として医学書に載っていませんので病気として扱われず、検査もありません。ですので、全員「逆流性食道炎」にされてしまうんです。

ちなみに、フルシーケンスの費用はいまだと1900米ドル程度ですので、日本円だと20万ちょっとでしょうか。人間ドック1回のコストを考えると、経済的だとも言えます。遺伝子は変わりませんので、検査は一回で済む。

それとマイクロRNAを調べれば、個人的にはPET検査(陽電子放射断層撮影)なんかよりも、よっぽど優れていると思いますね。ただ数億円もするPET検査用の機材を入れたところは全部つぶれちゃうから、新しい検査が広がることには反対するでしょうね。このあたりは、WindowsXPを後生大事に使い続ける日本の組織と似ています。

表紙画像

世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を数百万円をかけて受診。そして奇遇にも、本書取材中にすい臓がんが発見された。本格的な「予測医療」の時代に向けて、受診可能な最先端検査ガイドとなる1冊。

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医療業界の既得権益とメディア

──ご著書で医療業界の「岩盤規制」にも言及されていますが、もう少し詳しく教えていただけますか。

100年以上前に自動車が登場しはじめたとき、英国では「赤旗法」という法律が施行されました。その中身は、自動車が走ると危ないから、赤い旗を持った人が自動車の前に立って先導するというものでした。ばかばかしくて、とても信じられないでしょう?

でも実際にその赤旗法のせいで英国の自動車産業は没落し、ドイツと米国に差をつけられてしまった。悪法の典型例ですね。なぜそういう悪法がまかり通ったか。当時は馬車の組合が強かったからです。

政権や官僚がそのような既得権益側になびいたら、国は衰退します。これは歴史が証明しています。日本の「岩盤規制」が温存されれば、いずれ医療業界が衰退していくのは明らかです。

──日本は社会保障費や医療費もパンク寸前なのに、精度が高くて費用も安い検査が認知・普及されにくいとなると、「岩盤規制」がいよいよ深刻な問題になってくる気もしますが……。

マイクロRNAを調べるミルテル検査も、医学部で開発されたものではなく薬学部発だったから表に出られたんです。医学部で開発されたらつぶされていたかもしれません。理由は簡単で、医者がいまほど要らなくなるから。医療業界全般に関して言えば、似たような構造問題や癒着はたくさんありますよ。

今回、『不老超寿』を書くにあたって、僕は国内のいくつかのサプリメント工場を見にいきました。そこで思ったのは、日本で売られているメジャーな企業のサプリメントは、絶対買うべきではないということ。なにが入っているかわかりません。

そもそも、企業側に開示義務を定める法律がないんですよ。カリフォルニアだと“Proposition 65”という非常に厳しい州法がある。ですが、日本では政治家や官僚に手を回して、天下りを引き受けて、不利な法律は作らせない仕組みができあがってしまっている。

その結果、消費者が「健康の皮を被った毒」を率先して平気で食べている。身体にいいと勘違いしながら。モノを売る側と消費者は、フェアな関係にならないといけない。そうならない理由としては、広告で食っているメディアの在り方も大きい。

僕が見る限り、DHCの製品とか絶対に買うべきじゃないと思うけど、日本のメディアはなかなか書けないでしょう。訴えられてもいいから、書かないと。

たとえばBBCが、マクドナルドがどれほど問題ある牛を使っているのかさんざん放送したので、ファストフードによる健康被害もクローズアップされました。ですが、日本ではそんなニュースにはあまりお目にかかれません。

テレビは広告主の、NHKは政府の代弁者ですからね。メディアがスーツを着たお笑い芸人とアイドルに席巻され、どうでもいいことばかりを公共電波で話している。マスメディアが変わらない限り、日本は変わらないでしょうね。

日本の医療に未来はあるのか

──日本の医療に優れた点はないのでしょうか。

一言で言うなら、平均点が高いんです。いや、高かったというほうが正確かもしれません。車を買うときに、軽自動車でいいと考える人もいれば、スポーツカーが好きな人、または、レクサスが好きな人などさまざまです。つまり、購買層にレイヤーがある。

ですが、全員が環境にいいとマーケティングたっぷりのプリウスを選ばされて、なにも知らずに日々を送っているのが日本の医療の現状なんです。しかも、最先端だと思われていたハイブリッドが「実は古いシステムになっちゃったのも知らない」みたいな。

──発展の可能性はもうないんでしょうか。

日本の医療の岩盤規制やマスメディアが変わるのは、正直、難しいと思いますね。でも、個人はその壁を突破できます。ですので、個々が自分に適した医療の在り方を選んでいくしかないでしょう。セカンドオピニオンも日本以外の国で受けたほうがいい場合もあります。全員プリウスのように、なんでもかんでも逆流性食道炎にされてしまうように。特にがんは要注意です。

──海外の人たちは、ミルテル検査とか超最先端医療を普通に受けているんですか。

「海外の人」って、あまりに昭和的なワードでクーリエ・ジャポンらしいとは思えませんが、まあ、それがこの媒体の事実なんでしょう。自動車選びもそうですが、多くの先進国には個人に高い選択の自由度があります。いずれにせよ、医療の個人化という文脈で言えば、世界は動き出している。

一方、日本は世界じゃNGの薬が堂々と使われて、死んでいる人が大勢いるから気をつけないといけません。ワクチンや抗がん剤は最たるたるものです。

それに日本では、免疫療法みたいな謎の代替医療ビジネスがはびこっています。そんなこと言っているのは日本だけですからね、世界の先進国で。有名大学の先生が名前を貸しているので信用しているのでしょうが、このあたりに「肩書き重視」の日本が見えますね。たとえ、命がかかっていても。

僕は、世界中の最先端の試みをしている先生に会いに行き、研究所に直接出向きます。時には、覆面で忍びこみます。健康のためだけではないのですが、ネット情報をそこまで信じていない上に、社会や周囲に流されません。

そろそろ、社会に反抗する癖を直さなければいけないと思ってますが、実際は難しい。社会に反抗する癖が治れば、国立がんセンターの先生や東大の先生との共著で『免疫療法が、がんを治す!』といったタイトルの本を出せると思いますよ、講談社から(笑)。

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クーリエ・ジャポンより転載:メディア詳細・会員登録はこちら →https://courrier.jp/regist/

  • 電子あり
『不老超寿』書影
著:高城 剛

「岩盤規制」と呼ばれる日本の医療業界を飛び出し、世界中の医療機関と研究機関をまわり、最先端の検査を高城剛が数百万円をかけて受診。

その中から、日本から検体を送れば、誰でもアクセスできる「最新三つ星検査」を一覧にした。

そして奇遇にも、本書取材中に高城剛のすい臓がんが発見されたのだった……。

///////本書より///////////
新刊の打ち合わせをしていた時に、ふと「いま、人類は大きな進化の時に差しかかっているのではないか。テクノロジーの進化により、デジタル技術がいよいよ生命科学に本格的に融合し、そのため150歳まで生きられるのではないか」と考えた。

だから、テクノロジーによる医療の最前線を一冊にまとめようと思った。僕は世界最先端の研究を続ける企業や博士に会いに行こうと決意し、生命科学の可能性を探る旅に出たのだった。

まさに運命というしかない。

2016年9月、僕にすい臓がんが見つかった。
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1990年代以降のパソコンとインターネットの普及は、私たちの仕事の方法を抜本的に変えた。

2010年代のスマートフォンの登場と普及は、私たちの日々の行動を大きく変えた。

そしていま、テクノロジーの進化は、私たちの心身の健康、生命のあり方そのものを根本から変えようとしている。

今後10年間で、マイクロソフトやグーグルといったIT業界の巨人たちが、AIを駆使して最先端医療の世界に急接近し、医療・健康の世界は根本的に変わることが予測される。

人類は、死ななくなるのか?戦わずして、がんに勝つことができるのか?ボケ老人から超人へ変身できるのか?そして、誰もが今日を楽しく生きるために、脳内の「幸せ」を可視化し、幸福をデザインできるのか?

「不老超寿」。

アンチエイジングを越えたハイパーエイジングのはじまりです。

Interviewed by Jonggi Ha

河鐘基

テクノロジー専門ウェブメディア「ロボティア」を運営。著書に『AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則』『ドローンの衝撃』など。

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