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課題図書に“講談社ラノベ文庫”はいかがですか? 8月新刊紹介

講談社ラノベ文庫8月刊のラインナップを一挙ご紹介! 校了を担当する2人の秘密コメント付きをチェックしよう!!

イノヤス

講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」

大ちゃん

講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)

2017.08.30
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いっそ夏休みの課題図書に推薦してやろうか、もう遅い

『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術8』書影
著:むらさき ゆきや イラスト:鶴崎 貴大
大ちゃんコメント

いやあ笑った笑った。大ちゃんの席のそばの編集部員マッキ(仮名)がドリフのカトちゃんみてえなクシャミをするからではありません(知らんよ)。超大人気シリーズの8巻目! 校了しながら、こんなに楽しんじゃっていいのかなと思いますわ。例によって五輪四大会連続金メダリスト級のコミュ障ディアブロくん(今や国王)、民衆について丁重な相談を持ち込まれても、どうしていいかわからず、うっかり「まとめて殲滅してくれるわ」くらいのことを、ダハハハ、口走っちゃうわけですよ。でもね、最近は少しずつ本音の会話も出てくるようになって、思わず「貴様、糞ゲーではないか!?」ってガハハハハはハハ。

いかん、いちいち紹介していくとキリがない。じゃあ、あとちょっとだけ今回のディアブロくん名言集っていうか名フレーズ集を──。

──俺みたいなダンゴムシと結婚して、本当に幸せなのか? マイナス思考が吹き出した。──
──どれほど魅力的な女性が近くにいようとも“どうせ自分には無関係”と無視する習慣が身についている。──
──昔から、人の言うことをきかなかった。自分で決めたことは曲げたくない。コミュ障ではあっても、主体性はある。周りが何と言おうと貫き通す。──

貼っとけ!! 紙に書いて貼っとけ!!!  あっ、も1個ネタバレ。ネタじゃないけど。本作208ページにて間違いさがしあり。間違いではないんですが2カ所の仕掛けアリ猪木。大ちゃん、すぐにわかりました。校了者ってのはそこまで読み込むのだ。えらそうだ。クシャミ出そうだ。

ほろにがく、あたたかい、そんなおはなし。

『あのねこのまちあのねこのまち 壱』書影
著:紫野 一歩 イラスト:旅空
イノヤスコメント

実は何度読んでも、このタイトルをどう読んでいいか迷ってしまうのです。それも著者と担当の思うつぼなのでありましょう……あのね、このまち、あのねこの、まち──この区切り方でいいんですよね? ビートルズに「Nowhere Man」という曲がありますが、区切りを変えれば「Now here man」になるってのと同じなんですかね。

それはさておき、当作は猫又のヒロイン・フミと出会い、彼女の営む≪不思議解決相談屋≫を訪れて悩みを解決してもらったことから、妖しの世界に関わってしまった主人公・幸一が、いつしかフミの抱える「猫又ゆえの哀しみ」に出会ってしまう……といったお話なのです。フミさんのお店<空猫屋>と、なかなかたどり着けない町・夕霧町での暮らしぶり、なんだか遠くへ行きたい気持ちでいっぱいの自分には、そのマッタリ感がすごく魅力的に見えます……。

フミさんは猫又だからして、人間よりはるかに長く生きることができるけれど、長く生きることはそれだけ多くの哀しいことに出会うということになるわけです。日頃は飄々としている彼女の抱えたものに触れた幸一が選んだ途、それはそれで大変なんですが、彼の覚悟やら決意やらにそっと心を打たれて欲しいな、と思ってます。

こちらの作品も、ラノベ文庫の新業態≪白背≫ジャンルの作品となります。こんな味わい、こういう感動も「ライトノベル」というものの楽しみのひとつだと思っていただけると嬉しいなあ!!

「実は世界が終わるんだ」「なんだってー! それは本当かキ◯◯シ」

『ビューティフル・ソウル ――終わる世界に響く唄――』書影
著:坂上 秋成 イラスト:ニリツ
イノヤスコメント

≪世界が終わる≫──自分達の少年時代には、食糧危機と資源の奪い合いにより戦争が起きて、世界が滅ぶ、もしくは火山の大爆発とかの天変地異でどうにもならなく世界が終わる、みたいな感じだった記憶があります。その後の世代だと≪ノストラダムスの大予言≫でしょうか? ≪恐怖の大王≫がやってきて世界が終末を迎える……そんな風に言われていたはず。でも世界は、とりあえず今の今まで生きている! 今後、温暖化とか、最近言われるように氷河期の到来とかがあっても、それなりにしぶとく生き残るというか、人間は生き残らなくてはいけないように思います。

当作は、世界が謎のウイルスにやられて全滅しかけ、国やらなんやらが完全に崩壊したその後を生きる少年少女達の物語です。突然罹病したことで人間が怪物化し、それらに襲われて無力な人間がただ数を減らしていく、しかも人間はさらに致命的な問題を抱え込むことになり、その未来がもうほとんど尽きかけている……そんな世界のもとで、希望をつないでいき、強大かつ謎の敵に対して挑んでいく、人の命脈を繋げていく、名も無き人たち、あるいは特別な力を与えられた、蔵名やランジェたちの、ひたすらに明日をのぞむ、諦めの悪い、そして強靱な生き様をぜひご覧いただきたく思います。

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