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【名作発見】自分の街が焼かれているのに、空襲の照明弾を美しいと思った。
(著:司 修 解説:角田 光代)
戦中戦後の少年時代と、その後の青年時代、50代にさしかかった「現在」を往来する自伝的連作小説。思い出も幻想も現在も同じ距離感で描くような、全部読み終えると1人の人物の人生のいろんな場面や想いをモザイク状にランダムに並べて見るような読後感。巻末の年譜も、ご本人が書いていて、これがまた断片を積み重ねていく大河物語のようになっていておもしろくて1篇の小説のよう。(カラスヤ)
- 電子あり
少年期の<原風景>から織りなされる珠玉の連作短篇。
空襲、焼け跡のバラック生活など、敗戦前後の厳しい状況、さらに複雑な家庭環境のなか、少年らしい健気さ、腕白さをもって過ごした前橋での日々。この少年期の<原風景>を基点に、映画館の看板書きの助手時代、画家への修業と上京、そして現在へと至る自伝的連作短篇。色、光、形、影など、画家としての本領を発揮した構成で、記憶のなかの小さな風景がドラマとして動き出し、飄逸な味わいを生む傑作集。
角田光代
たしかに私たちは、かなしんでいるときにその感情にかなしみという名をつけない。屈辱を感じているときに、踏みつけられたような胸の痛みを屈辱と名づけない。すべての言葉はあとづけなのだ。(中略)この一連の小説には、光を放つような「いのち」があり、思いを内含した「情景」があり、視点を軸にした膨大な時間の流れがある。──<「解説」より>
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
近況:久々に外出先でゲリラ豪雨にまともに遭遇しました、マジで滝のようでした。
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