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年間100万円でフェラーリが持てる理由──2000台を再生した職人が語る

2017.07.29
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フェラーリのイメージが変わる1冊

フェラーリ、と聞くと、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。
「F1」「赤」「シューマッハ」「スーパーカー」「高い」「すぐ壊れる」……?

──耳に入ってくるのは怖そうな噂話ばかり。曰く、こするだけで百万円単位の金がかかる。タイミングベルトが切れると、エンジン本体も壊れて数百万円の修理代になる。雨漏りがする。電装系がすぐ駄目になる。原因不明のトラブルが起こる、などなど。いくらでも例を挙げることができる。フェラーリは、その圧倒的な存在感と価格から、霞がかった山の頂に存在するがごとく、神秘のヴェールに覆われてきた──

誰もがその名前を知っているのに、実際に乗っている人に会ったことすらない。そんな特殊な存在感を放つのがフェラーリという車。本書はスーパーカー専門店「アリアガレージ」の工場長の方がメカニック歴29年、2000台以上の異なる個体を修理してきた経験をもとに「フェラーリの実態」に深く切り込んだ1冊です。

実は私、こちらに出てくるアリアガレージの工場にもイタリアのフェラーリ本社の工場にも行ったことがあるくらいのフェラーリファンでして……。この本がいかに「フェラーリとはどんな車か」を分かりやすく解説してくれているかを見ていきたいと思います。


あらゆる立場のフェラーリ好きに役立つ

1)フェラーリファン、いつかフェラーリが欲しい
2)フェラーリ購入で失敗したくない(特に中古車の選び方)
3)フェラーリの内部、仕組みを知りたい
4)フェラーリに乗っているけれど、もっと情報が欲しい

どれかに当てはまる人は、必読です。というのも、フェラーリは車の絶対数が少ないので自分の知りたい情報を入手するのはそう簡単なことではありません。

「このフェラーリ安いけど、買って平気かな?」
「なんか調子悪い気がするけど、これって個体差?故障?」

そう感じたときに、どうするか?

これまでは車のコミュニティサイト「みんカラ」等で一所懸命情報収集をするか、あるいはディーラーの担当者の言葉を信じるしかなく、その疑問を解消する場がほとんどありませんでした。

本書はフェラーリの長所だけではなく「個体差」では片付けられない具体的な「弱点」にも切り込んであり、「俺のフェラーリ大丈夫?」と思ったときにいつでも読み返せる心強い一冊となっています。

【内容紹介】
・フェラーリの5つの魅力
・エンジンの構造、搭載方法、モデル別の違い
・旧車の長所と短所
・旧モデルと最近の電子制御モデルの乗りこなし方の違い
・1980年台以前/F355以前のモデルに故障が多い理由
・2004年のF430と612登場以降変わった価格設定とその理由
・設計の詰めの甘いところ、デザインを最重視した結果後回しにされた箇所
・日本車、ドイツ車のスポーツカーと比べたときの運転時の違い、低回転域でのサウンドの魅力
・ハンドメイドのデメリット
・モデル別の故障ケース、エンジン、テールランプの割れ、熱変形など
・たったの50000キロでエンジンメンテナンスが必要になる理由
・マフラー交換を勧めない理由
・長期放置の危険性について
・タイヤ周りの注意点/銘柄による違い(ピレリ/ブリヂストン/ミシュラン)

などなど中古フェラーリ購入を検討している人にとっては喉から手が出るほど知りたい内容でありつつも、そこまで切り込んでいいのか!?と思うほどの本音トークの連続で構成されています。

特に、中古フェラーリの故障については中立の立場で非常に細かく書かれているのですが、

──本来は旧車扱いされるべきモデルが、現在の車と同じ感覚で扱われるため、壊れるイメージになっている例が多いのが、フェラーリならではの現象である──

この一節を読んだとき、「確かに……」とハッとさせられました。日本車と同じレベルでの耐久性を期待したら壊れやすいと言えるのかもしれませんが、何十年経っても修理してもらえる場所がある、というのは凄いことなのではないかと思います。

イタリア・マラネロのフェラーリ本社を見学したさいに「発売から20年が旧車と分類される目安だ」と聞いたことがあります。『クラシケ』と呼ばれる旧車専門の修理ゾーンがあり、そこには平均14?16ヵ月もの年月をかけてレストアされるという昔のフェラーリ達が並んでいました。

驚いたことに、この工場で修理された1台1台の修理の記録が全て手書きのファイルで数十年前のものまで残されているのです。最近では電子化も進んでいるそうですが、メカニックの方たちが古い修理記録を覗き込みながら修理方法を考えている姿はまさに「職人」。相当なカッコよさでした。

アリアガレージの工場には、200坪の体育館のような広い敷地に納車前の整備中のもの、レストア中のものなど、沢山のフェラーリが所狭しと置かれています。街中ではまずお目にかかれないようなF50なども普通に置かれており「修理に失敗したので同じものを弁償します」とは言えない重圧のなかで働くのはどれほど大変なのかと思ったのでした。

資産としてのフェラーリ購入を考えたときに

全く手の届かないように思えるフェラーリですが、車離れが進んでいる結果「残価設定ローン」という買い方が人気になってきています。購入時の60?75%程度の残価が保証されるため、例えば1000万円で買ったフェラーリを3年後に売却した場合に700万円で買い取ってもらえる契約で購入できるのです。

維持費はともかくとして、1年あたり100万円でフェラーリオーナーになれると思うと物凄いお得感があるのではないでしょうか。これほどの高い残価がつくのは、フェラーリならではです。

フェラーリオーナーに、お金にまつわる話を聞いてみると「1年後に売ったら買った値段と全く同じ値段で売れた」「数年前に1000万円で買ったフェラーリが、昨年売ったら1500万円で売れた」などの話がポンポン飛び出してきて、車そのものに高い資産価値があるということに驚かされます。

マンションを買うのと変わらないような値段がつくこともあるフェラーリ。中古フェラーリであっても決して安くはない買い物ですから、絶対に失敗したくないと考えるのが私たち一般人です。本書には、相場より安い車の危険性、個人売買の落とし穴、維持やメンテンナンスの仕方中古車の選び方によって、売却時に数百万円の査定の差がつくという突っ込んだ話題まで書かれています。

本来なら素人には絶対に分からなかった「プロとしての目利き」視点を手にいれることができる1冊。ハッキリ言って相当マニアックな内容です。でも、フェラーリ好きな人なら読んでおいて損はないでしょう。

──格好よさを極めた車の、格好よさ以外のデメリットを許容できるか──

そんな世界を覗いてみませんか?

『跳ね馬を2000台直したメカによる フェラーリ・メカニカル・バイブル』書影
著:平澤 雅信

F1直系をうたうスポーツカーの最高峰に立つフェラーリは、その圧倒的な存在感と値段から、神秘のヴェールに覆われています。曰く。ぶつけると100万円単位の金がかかる。曰く。タイミングベルト切れて、エンジン交換で、数万円。曰く。雨漏りがする。雨中を走ると電装系がだめになる……。

実際のところはどうなのか?
最近のフェラーリは多くの顧客を獲得するために、故障はほとんどしなくなっています。一方で、F1と呼ばれるパドルシフトや電子制御の部分が増えています。  

本書は、現在でも入手可能な1980年代以来のモデルごとの特徴や出やすいトラブル 珍しいトラブル 対処法、F1トランスミッション、デフ、エンジンの概説メンテナンスの方法、タイヤ、サスペンション、カーボンブレーキや、鉄、アルミ、FRP、カーボンなどのボディの特徴、コンピュータ制御など、オーナー、オーナー予備軍、あこがれている人々が抱くであろう疑問に対して、経験豊富なメカニックが丁寧な解説と対応を惜しみなく教示します。

レビュアー

上岡史奈 イメージ
上岡史奈

20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。

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