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【名作発見】色と欲に翻弄される「大阪文学」の愉しみかた

大阪文学名作選
(編:富岡 多惠子 著:川端 康成,折口 信夫,宇野 浩二,武田 麟太郎,小野 十三郎,織田 作之助,山崎 豊子,庄野 潤三,河野 多惠子,野坂 昭如,阪田 寛夫)
2017.07.16
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11月3日文化の日はもともと明治天皇の誕生日だったのですね。この肩すかし感あふれる情景、きっちり軍艦見るより記憶に焼きつきそうです。焼栗屋や風船屋などの屋台が出ていた、とありました。飛行機の姿が見えないのが気味悪いです。翌年の夏、盧溝橋事件が起こり、日中戦争が始まります(カラスヤ)

『大阪文学名作選』書影
編:富岡 多惠子 著:川端 康成,折口 信夫,宇野 浩二,武田 麟太郎,小野 十三郎,織田 作之助,山崎 豊子,庄野 潤三,河野 多惠子,野坂 昭如,阪田 寛夫

笑いの底に強靱な批評精神を秘め 愛しき人の世をリアルに描く名品11。
西鶴、近松から脈々と連なる大阪文学は、ユーモアの陰に鋭い批評性を秘め、色と欲に翻弄される愛しき人の世をリアルに描く。川端康成「十六歳の日記」、折口信夫「身毒丸」、宇野浩二「子の来歴」、武田麟太郎「井原西鶴」、織田作之助「木の都」、庄野潤三「相客」、河野多惠子「みち潮」、野坂昭如「浣腸とマリア」、小野十三郎「大阪」(抄)、山崎豊子「船場狂い」、阪田寛夫「わが町」(抄)の名品11。

富岡多惠子
現在までのところ、近松資料館、西鶴文学館のごときものが大阪市内にあるとは聞かない。まして近代文学に関しては推して知るべしというところで(中略)この手の大阪の「つれなさ」は冷淡とはちがって、どこか含羞とつながっていないだろうか。文芸、文学というのは「もっともらしい」ことを嫌うはずだ、それを「もっともらしい」エライものにしてしまっては──という気持があるのかもしれぬ。──<「解説」より>

レビュアー

カラスヤサトシ イメージ
カラスヤサトシ

1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。