今日のおすすめ
【名作発見】色と欲に翻弄される「大阪文学」の愉しみかた
(編:富岡 多惠子 著:川端 康成,折口 信夫,宇野 浩二,武田 麟太郎,小野 十三郎,織田 作之助,山崎 豊子,庄野 潤三,河野 多惠子,野坂 昭如,阪田 寛夫)
11月3日文化の日はもともと明治天皇の誕生日だったのですね。この肩すかし感あふれる情景、きっちり軍艦見るより記憶に焼きつきそうです。焼栗屋や風船屋などの屋台が出ていた、とありました。飛行機の姿が見えないのが気味悪いです。翌年の夏、盧溝橋事件が起こり、日中戦争が始まります(カラスヤ)
笑いの底に強靱な批評精神を秘め 愛しき人の世をリアルに描く名品11。
西鶴、近松から脈々と連なる大阪文学は、ユーモアの陰に鋭い批評性を秘め、色と欲に翻弄される愛しき人の世をリアルに描く。川端康成「十六歳の日記」、折口信夫「身毒丸」、宇野浩二「子の来歴」、武田麟太郎「井原西鶴」、織田作之助「木の都」、庄野潤三「相客」、河野多惠子「みち潮」、野坂昭如「浣腸とマリア」、小野十三郎「大阪」(抄)、山崎豊子「船場狂い」、阪田寛夫「わが町」(抄)の名品11。
富岡多惠子
現在までのところ、近松資料館、西鶴文学館のごときものが大阪市内にあるとは聞かない。まして近代文学に関しては推して知るべしというところで(中略)この手の大阪の「つれなさ」は冷淡とはちがって、どこか含羞とつながっていないだろうか。文芸、文学というのは「もっともらしい」ことを嫌うはずだ、それを「もっともらしい」エライものにしてしまっては──という気持があるのかもしれぬ。──<「解説」より>
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。近刊に新書館『カラスヤサトシの孫子まるわかり』、講談社『カラスヤサトシ』9巻、リイド社『カラスヤサトシの戦国散歩』があります。
関連記事
-
2017.02.26 レビュー
【名作発見】駅売店で、5個入りの柿が。どうやって喰う?
『懐中時計』著:小沼丹
-
2016.08.07 レビュー
【名作発見】終戦後、GHQが神社で奉納の謎。異国の神に何を祈願した?
『雪あかり 曽野綾子初期作品集』著:曽野綾子
-
2016.10.30 レビュー
【名作発見】人様に迷惑かけまくった作家人生、克明に書きました。
『贋物・父の葬式』著:葛西善蔵
-
2016.12.04 レビュー
【名作発見】降伏、終戦の日。なぜ日本はいつも通り平和だったのか?
『村のエトランジェ』著:小沼丹
-
2016.11.06 レビュー
【名作発見】昭和初期の流行語「いやじゃありませんか」が本当にいやだ
『百閒随筆2』著:内田百閒 編:池内紀
人気記事
-
2024.03.12 レビュー
#皮膚の変態 都心のマンションが買えるほどコスメ自腹買い。ガチで良かった270品!
『「皮膚の変態」が本気で選んだ270品 悩みに「効く」コスメ』著:大野 真理子
-
2024.03.04 レビュー
あきらめるのはまだ早い! 精神医療界のオールスターによる心の病気の治し方
『心の病気はどう治す?』著:佐藤 光展
-
2024.03.08 レビュー
たった17音で伝わる世界。「ぼっち」の中学生が俳句をとおして新しい未来を切り拓く!
『17シーズン 巡るふたりの五七五』著:百舌 涼一
-
2024.02.29 レビュー
【久遠チョコレートの挑戦】目指すは社会貢献ブランドではなく、一流ブランド
『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』著:夏目 浩次
-
2024.03.05 レビュー
毎日本当に大変とお嘆きの方に贈る笑っちゃう絵本
『ひげが ながすぎる ねこ』著:北澤 平祐