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【まとめ】労働環境と仕事術の本。社畜でよい? 好きな仕事だけをやるには?

新社会人と就活生のみなさんを応援する特集、後編の今回は、ふたつのテーマに沿った本を紹介します。ひとつは、私たちが働く環境を考えること、もうひとつは、自分に合った働き方を探すということで、いずれも私たちが社会人として働くうえで、関わりを持ち、考えていかなければならないことです。
今回の特集で、職場や組織への視点を見つけ、自分なりの仕事の進め方を探ってみてください。

2017.04.13
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自分が「働く」環境について考えてみよう

最近は「ブラック企業」という、とんでもなく劣悪な労働環境・労働条件に労働者を追いこみ、過重な仕事をさせる企業の話題には事欠きません。労働は奴隷の苦役ではありませんから、適切な環境で働くことは重要な要素です。
一方で、人間はなぜか「働かない」人に対して組織的な罰を与えることを考えてしまうし、「こんなに働いているのに」といった愚痴も飲み屋ではよく聞かれる話ですよね。
このコーナーでは組織と、そこで働く自分との関わりについて記した本を紹介します。

『進め!! 東大ブラック企業探偵団』書影
著:大熊将八

ブラック企業とは、従業員に劣悪な労働環境や低い賃金で過重な、あるいは違法な労働を強いる労働形態が常態化している企業を指します。この数年でもニュースやネットでも取り沙汰されており、その壮絶な労働の実態に驚くばかりでしょう。また、大手企業であっても違法な長時間労働で精神疾患を患い、自殺者を出す事件を引きおこすなど、世間の労働環境に関する意識は強まっています。そんな中で、新入社員となったみなさんや就職活動中のみなさんは「就職した自分の企業がブラック企業だったらどうしよう」と不安に思うのはもちろんです。
しかし、一般的な企業が「ブラック化」するのはどのような理由があるのか、考える必要があります。
本書は東京大学に実在する企業研究ゼミをモデルにした「東大ブラック企業探偵団」が、さまざまな企業の現場に潜入したり取材するなどして、事業の収益構造や労働の実態を探っていくサスペンス仕立ての物語。社会の変遷とともにブラック化せざるを得ない、さまざまな業界の背景に注目してみましょう。

『働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論』書影
電子あり
著:長谷川英祐

働きアリの2割は仕事をしない。これはよく人間の社会でもよく言われることで、曰く「会社には2割ほど働かない人がいる」ということです。本書はそうした雑学知識から得られるイメージを的確に表した、とても面白いタイトルの本で、組織を極めて客観的に見ることのできる1冊。
職場と自分との関わりを考える前に、もう少し大きな視野で「組織」を見る必要があります。「なぜ人はその組織に所属しようとするのか」。古くから人間は共同体を作ってきましたが、そもそも共同体に所属するのはそこに所属することで利益があるためで、会社組織もそうした利益を求める人たちの集まった共同体と言えます。
本書はアリをはじめとする昆虫や群れを作って暮らすサルなどの動物を例に、人間とどう違うのかを生物学的に見ながら、人にとっての組織・社会、利益、組織の効率化といった、さまざまな現代社会の問題を論じていきます。

『1%の人だけがやっている 会社に「使われない人」になる30のヒント』書影
電子あり
著:渡辺雅典

新入社員のみなさんは、いまは研修で毎日忙しない時間を過ごし、あっという間に1日が過ぎてしまうことでしょう。ところが、もう少しして先輩の指導のもと、仕事を任されるようになると、「こんなに働いてるのにこんなお給料じゃやっていけない!」とか「なんだかこの仕事は自分が思っていたのと違うな」とか、だんだんと不平不満がたまってきます。
そういう気持ちになったときに読んでみたいのがこの本。つまり、そういう気持ちになっているあなたは、いまは「会社に使われてしまっている」のかもしれません。
本書はさまざまな職業を転々とした筆者が、1995年からインターネットマーケティングに身を投じてから稼げるようになるまでの間に気づき、実践してきた30の項目を丁寧に解説しています。さまざまな職を経験してきた著者だからこそ分かったことが綴られており、ほんのちょっとだけ意識を変えればすぐにできそうなことばかり。職場での立ち回り方のヒントにもなるはずです。

自分にピッタリの「仕事術」を探してみよう

新入社員の頃は、先輩や上司に言われたことをこなすだけで精一杯です。新しく覚えなければならないことも多く、毎日がめまぐるしく過ぎていきます。
しばらくは張り切って仕事をこなしていても、気づけば自分のキャパシティを大幅に超えてしまうことも。人間はひとりひとりが違う個性を持っているのと同様に、その人に合った仕事のやりかたというのがあります。 このコーナーの本を参考に、組織と自分の距離を計りながら、自分に合った仕事のしかたを見つけていきましょう。

『冬を越せるキリギリス 好きなことだけ続ける仕事術』書影
著:樹林伸/メンタリスト Daigo

人間誰しも「好きなことばかりやって暮らしたいなぁ」と思うものです。ところが、好きなことを自分の職業にできている人はほんのわずか。たいがいの人は「生きるため」に働いているのが実情です。
本書の著者のひとりである樹林伸さんの名前は、かつて週刊少年マガジンで連載していた『MMRマガジンミステリー調査班』のキバヤシとしてもあまりにも有名ですが、それ以外にも漫画原作者として数多くの人気コミックを世に送り出しています。その樹林さんは自身を「デキないヤツ」として意識してきたそうですが、そんな彼がどう仕事をこなしてきたのでしょうか。
それは本書の「冬を越せるキリギリス」というタイトルに込められています。つまり、夏の間に好きなバイオリンを弾いて過ごしてきたキリギリスの演奏の素晴らしさに惹かれた者もいるだろうし、演奏の対価を受け取って、もしかしたらアリよりもずっと楽しく暮らしていたかもしれないじゃないか!というのが本書のテーマ。
決して「気が向いたときにしか仕事をしない」ということではなく、「何時間でも好きなことをやっていられる」、そうした心構えが仕事にも必要かもしれません。

『ジェフ・ベゾス アマゾンをつくった仕事術』書影
電子あり
著:桑原晃弥

日本ではつい先日、Amazonの配送の過酷な条件に運送会社が悲鳴を上げているニュースが聞かれましたが、その流通量の多さには納得せざるを得ないものがあるでしょう。本はもちろんファッションや日用品、食料品まで揃うため、たいへん多くの人が利用しているからです。
1995年にサービススタートした当初は、ネット書店のひとつといった感じでしたが、AWSといったクラウドサービスやKindleのほか、宇宙事業やロボット事業にまで手を広げる多角化が、Amazonのひとつの特徴と言えるでしょう。また、最近まで慢性的な赤字体質だったことは意外に知られていないのでは?
こうした特徴は「顧客中心主義」「発明中心主義」「長期的視野」といった3つの経営理念によるもので、創設者ジェフ・ベゾスの行動原理に基づいています。ベゾスのような大物と自分に共通点などないと思う方も多いことでしょうが、ベゾスの考え方は実に現実的で、勉強させられるところは大いにあります。

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