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【完璧でなくていい】愛の国フランスで、愛のあるライフスタイルを!

40歳を過ぎて、思いがけなくフランスに移住し、シャンブルドット(民宿)を営むことになった町田陽子さん。日本での生活や仕事から離れ、パートナーと共に新しい人生をフランスで始めた町田さんが、住んで仕事をしてわかったフランス人の「完璧でなくていい生き方」。心地よく生きる幸せな生き方とは?

2017.02.15
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町田陽子(まちだ・ようこ)

愛知県生まれ。大学卒業後、東京で書籍、女性誌、旅行誌、美術誌などの編集にたずさわる。現在、南仏プロヴァンス地方リル・シュル・ラ・ソルグ在住。シャンブルドット Villa Montrose(ヴィラ・モンローズ)を営むかたわら、ライフスタイル、食、旅などのテーマを中心に取材執筆を行っている。雑誌、テレビ、イベントのコーディネイターとしても活躍中。

◆「南仏プロヴァンスの旅ア・ラ・カルト」主催。南フランスの魅力を日々発信中。
https://www.facebook.com/provence.voyage/
◆シャンブルドット「ヴィラ・モンローズ」HP
http://www.villamontrose.com/

フランスに暮らしてみて、フランスと日本の違いを感じることが多いと思います。

好きなところは、「できないこと」に寛容なこと。変に役割分業にとらわれず、妻が料理できなければ、夫がやる、誰もできないことを責めない、というところ。生きることが楽になります。

「セ・パ・グラーブ(たいしたことじゃない)」というセリフを皆よく使うのですが、これはとっても便利な言葉。もちろん、言われていらつくこともありますが(笑)、「グラーブ(重大なこと)ではない」と言われれば、たしかに、生き死ににかかわるわけでもなし、ま、いいか、という気分になるんです。私もいまでは、口癖になっています。完璧であらねばならないというのは、なかなか疲れるもの。小さな失敗は笑って許せる寛容さこそが、リラックスして生きる大切な鍵なのではないかと、南仏で暮らして感じています。

最近、パートナーのダヴィッドさんに言われて驚いたこと、感心したり、へ〜と思った言葉はありますか?

昨日は、暖炉に火をつけながら、「暖炉の火も愛と同じ。放っておいたら消えちゃうんだよね」と言いながら、火をおこしていました(汗)。そんな風に、フランス男の頭の中は愛でいっぱい(笑)。この本の刊行日には、ちゃんとシャンパンを冷やしてグラスまで用意してありました。私のほうが、なんで今日シャンパーニュ?と首をひねったくらいでしたが、本当に喜んでくれているのがわかり、そこにまた愛情を感じてしまう。もっとも彼は、日本語は話せても読めないので、「愛する妻の書いたものが読めないなんて、大いなるフラストレーションだ」と言っていました。

フランス女性と日本女性の違いについて日ごろ感じるところがありましたら教えてください。

同性として感心するのは、フランスの女性はいくつになっても女を捨てないということ。フランスは、ヨーロッパのなかでも、太った女性が最も少なく、下着の売り上げがもっとも高い国と言われています。 年相応のセクシーさと女性らしさをもっている人がとても多い。成熟した女性の美しさは最上の美という認識があるのだと思います。たしかに、ソフィー・マルソーだって、デビュー当時も可愛くてきれいでしたが、いまのほうがずっと美しい。年齢とともに、磨きがかかっていくのが女性という生き物なんですよね。だから、日本のように若さだけが重要視され、30歳でおばさん扱い、子供ができたらお母さんと呼ばれるような環境は残念すぎます。磨きをかけるのは自分の努力も必要ですが、愛という魔法の力も必要なんです。

フランスにおけるキスと握手と抱擁の違いは?

フランスでは、挨拶のときにキスをする習慣があります。恋人でなくても男同士でも、友人と出会ったらハグして頬にキスし合います。ただ、その地方によって回数が違ったり、右頬からするか左頬からするかの順番も違ったりします。フランスではキスは重要な友情(=愛情)を示す儀式。たとえばパーティーや集まりの最初と最後にはどんなに人数が多くても全員にしなければなりません。友人以上にはキスを、友人未満には握手をと使い分けます。ただ、女性の場合、たとえ初対面でも夫や恋人の友人にはキスをするので、判断がとても微妙で、私はいまだにどっちなのか迷っています。

抱擁はキスと同様に人と人との距離の近さ、親密さを感じさせるもの。久しぶりに会う友人などが、頬にキスする際にぎゅっと抱きしめて「元気だった?」「会えてうれしい」などと言ってくれたりする。そのぎゅーっという感じが何とも言えずうれしいのです。ハグはストレス解消にも効果的と聞いたことがありますが、それだけでも、心が安らぎ緊張がほぐれていく気がします。ぜひ、やってみてください。私は今では、ハグも「ジュ・テーム」の言葉もない日本にもどかしさを感じるくらいです。

新しい街でシャンブルドットを再開された町田さんの近況をお聞かせください。

東京、マルセイユ、エクス、リル・シュル・ラ・ソルグとだんだん小さな町に移動してきたことになりますが、住んでみてわかったことは、ここは村!だということ。リル・シュル・ラ・ソルグは「ソルグ川に浮かぶ島」という意味で、数キロ先のフォンテーヌ・ド・ヴォークリューズから湧き出る清流ソルグ川がぐるりと取り囲む中に島のように町があり、その歴史地区にやってきたというわけです。生まれてこのかたずっとこの中に住んでいる人たちと、パリや外国から移り住んだ人たちが混ざり合っている不思議な場所です。最初、村人たちは、よそからやってきた私たち(とくにアジア人の私)をじっと観察していました。たとえば、私が玄関の鍵がうまく閉められずガチャガチャやっていると、どこからともなく、「どれどれ」とやってくる。どこから見てたの?という感じです。また、「花がお好きなんでしょう? これ、プレゼント」といって、ガレージにころがっていたという古いジョウロを持ってきてくれたり(窓辺の花を見て、だと思います)。少しずつ、焦らず、村人たちとの関係を作っていけたらいいかなというところでしょうか。

シャンブルドットにも、楽しみにしてくださっていた常連のお客様や、FBやHPの引越し案内をご覧になったお客様が、さっそく来てくださったりしています。

豪邸ではありません。お客様の部屋もスイート仕様の1室だけ。フランスの家にはシャンブル・ダミ(友達の部屋)といって、いつでも友達が泊まれる部屋が用意されていますが、うちのシャンブルドットはまさに、そんな部屋なんです。私たちの小さな巣に、よかったら泊まりに来てください、といったイメージで営んでいます。

最近のお気に入りのレシピを教えてください。

今年は寒波のせいか、ここプロヴァンスもかなり寒いです。そんなときは、やはり、暖かいものが食べたくなります。定番のポトフはもちろん、キノコやカリフラワーのブロテ(スープ)をよく食べています。

最近、日本でもオリーブオイルが人気ですが、オリーブオイルについて、また、オリーブオイルを使った簡単な料理を教えてください。

サンレミ・ド・プロヴァンスのオリーブ農家からオリーブのベネディクション(祝福式)に招かれたことがあります。オリーブがたくさんとれたことを神に感謝する儀式です。オリーブの枝を持った神父さんが絞り機やタンクに聖水をかけ祈りを捧げます。オリーブ農家に残る秋の大切な行事なのです。

オリーブの種類は世界で1200種以上もあるとのこと。現在プロヴァンスで栽培されているのは数種類。通はワイン同様、好みの品種で選びます。私は喉がひりっとするようなタイプ、とくに、アルガンドという品種がお気に入りです。

夏の完熟トマトにこのオリーブオイルをたっぷりかけ、バジルの葉とカマルグの塩(プロヴァンス地方の高級自然海塩)をかけるだけで飛び切りの一品ができます。

◆作り方◆
食べる1時間前にスライスしたトマトに塩とオリーブオイルを振りかけておく。塩の効果で出てくるトマトの果汁とオイルが混ざり合い、絶妙な味に。それに、パンを浸して食べるのもおすすめです。

プロヴァンスはフランスの中でも、とくに野菜や果物がおいしく、オリーブオイルをベースに、素材を生かし、シンプルに料理するのがプロヴァンス流。イタリア、スペイン料理と共通しています。また、毎朝スプーン1杯のオリーブオイルを飲む健康法もあり、ギリシャでも聞いたことがありますが、抗酸化作用のあるオリーブオイルは身体によく、心臓病にもいいとか。

シャンブルドットでは「トリュフ狩り」をするそうですが、トリュフの簡単で美味しい食べ方を教えてください。

「トリュフ狩り」は冬の人気イベントです。フランス産トリュフの6〜8割はプロヴァンスで採れるといわれるように、プロヴァンスはトリュフの有名な産地です。シーズンは11月末から3月くらい。クリスマスの時期が価格のピークです。東京につく頃はいくらになっているか見当もつかないというトリュフ(価格に反して香りはどんどん落ちる)。東京にいたころはペラペラで匂いもわからず値段ばかり高くてちっともおいしいと感じなかったトリュフですが、採りたて、掘りたてを食べてみるとさすが世界の三大珍味、黒いダイアモンドと呼ばれる黒トリュフ様の独特の香気が楽しめます。

そして専門家の誰もが一番楽しめる料理法としてあげるのが、「ブリュイヤード」。とろとろの半熟スクランブルエッグです。火加減がなかなかむずかしいのですが、たまごと塩とトリュフだけの簡単な料理です。ざくざくとみじん切りにしたトリュフの歯ごたえ、たまごの甘み、トリュフの香りとが一体となった、単純、ストレート、直球のおいしさです。

ちなみに夏のトリュフは5月〜8月がシーズン。見た目は同じですが、カットすると中が薄茶色で香りも冬の黒トリュフにくらべると劣ります。でもその分、値段も安いので、気軽に食べられます。

『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』を書こうと思ったきっかけを教えてください。

シャンブルドットにいらした日本のお客様といろいろお話する機会があるのですが、私がプロヴァンスで感じていること、私自身にとってはもうあたりまえになっているようなことも、みなさん、とても新鮮な思いで聞いてくださいます。ときには人生観が変わったとおっしゃるかたもいらっしゃいます。それと同時に、私自身も、南フランスで暮らすようになってから性格も変わり(笑)、生きるのがとても楽になったと感じていたので、その理由を具体的に書くことで、何か大切なことが伝えられるかもしれない、共有できるかもしれない、と思い、刊行しました。感想をお聞かせいただけたら嬉しいです。

『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』書影
著:町田陽子

南仏のシャンブルドット(民宿)で触れ合うフランス人たちは自分の幸せポイントをよく知っている。意外と簡単な幸せのカギとは。

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