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今年のクリスマス、聖書でネイティブ風に祝おう──鯉と孔雀を食べるの!?

毎年12月になると街はクリスマス一色になります。早ければ11月にはクリスマス・ツリーが登場し、12月に入ればイルミネーションで彩られた美しい夜景が、大人気のデートスポットになります。
クリスマスがキリスト教の文化であることは知っていますが、その由来はどういったもので、どのような意味を持つのかなど、私たちは意外に知らないようです。
今回はキリスト教の文化や歳時、その根底にあるキリスト教の教典について触れてみましょう。

2016.12.16
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クリスマス? ハロウィーン……? “キリスト教の文化”を知ろう

友人や家族とのクリスマス・パーティーを予定している方も多いことでしょう。2016年は23日から土日にかけてちょうど3連休ということもあり、ゆったりとしたクリスマスを過ごせそうです。
クリスマス・ツリーを飾る家庭も多いでしょうが、これは世界共通ではないようです。また、本来は食卓に七面鳥やガチョウの丸焼きがのぼるのですが、日本では食欲をそそるCMや食文化の違いなどからチキンを食したり、ホールのクリスマスケーキを食すなど、日本独自に発展した風習も多いのです。
ちなみに、近年、日本でもハロウィーンのイベントが盛り上がってきています。本来はキリスト教由来のものではなく、ケルトのドルイド教に由来するものですが、ハロウ(hallow)は聖人を指すそうで、北米や英語圏の子どもたちに人気の記念日です。
ひと口にキリスト教のイベントといっても、その地域や伝統で大きな違いがあります。キリスト教に由来する1年の歳時をまとめたこちらの本は、あなたの知的好奇心を充足してくれることでしょう。

『キリスト教の歳時記 知っておきたい教会の文化』書影
著:八木谷涼子

日本ではキリスト教最大の祝日はクリスマスと認識する人も多いのですが、キリスト教最大の祝典は春季のイースターです。この日は、十字架に架けられたイエスが葬られて3日で復活したことを祝うものです。
多くのキリスト教会には、このクリスマスとイースターを2大起点とした1年サイクルの暦があり、それに沿ってさまざまな式典を催し、祈りを捧げます。本書では、こうしたキリスト教の主要な祝祭日や記念日を紹介しています。

聖書ってちゃんと読んだことある?

最初の人間・アダムとイブの物語やノアの箱舟の物語など、子どもの頃に読んで覚えているという方も多いことでしょう。これらはいずれも旧約聖書の『創世記』からの一節ですが、世界の成り立ちの物語に畏敬の念を抱き、ワクワクさせられたものです。
20世紀の後半には、終末思想や世界情勢における危機感からか、新約聖書の『ヨハネの黙示録』の一節が第三次世界大戦を暗示しているなどという解釈も見られました。
絵画や音楽、戯曲、映画の世界でも聖書の物語をモチーフにした世界的芸術作品が数多く誕生しています。ロックにおいては「クリスチャン・バンド」なるカテゴリーのバンドが存在するし、クリスチャン・バンドでなくとも聖書の一節や物語を引用したり、キリスト教的価値観を含ませた歌詞をもってファンを魅了しています(ライブで聖書をばらまくヘヴィメタル・バンドがいたことを覚えている方、いらっしゃるかな?)。グレゴリオ聖歌の歌声やフレーズを音源とした楽曲も数多く存在しますね。
直接聖書に触れていなくとも、私たちの生活するなかで、キリスト教的、あるいは聖書的な文化に触れることは多々あります。この機会に、「聖書ってなんだろう?」の疑問を解決する本を手にとってみてはいかがでしょうか。

『聖書入門』書影
著:フィリップ・セリエ 訳:支倉崇晴/支倉寿子

キリスト教の教典である聖書は、世界で最も多く読まれ、最も多く翻訳されている書物です。新約聖書だけに限っても、2355言語に翻訳されています。アメリカでは国民の47%が毎週聖書を読んでいるというレポートがあります。
わたしたちの生活にとても大きな文化的な影響を及ぼしているにもかかわらず、聖書の全容を把握することはとても困難です。聖書には旧約と新約のふたつがあり、それらは元は多様な古い伝承を出発点とし、時代を隔て別々の書き手によって書かれ、あるいは修正され続け、73巻もの膨大な量から成り立っているためです。しかし、その物語は胸を打つものばかりで、不思議な統一性があるのです。
本書は旧約、新約の体系立てられたすべてを明快に説明した最良の聖書入門書です。2007年10月に刊行されたものの日本語訳ですが、原著を直訳すると『まだ読んだことがない人に説明する聖書』というタイトル。重要なエピソードや預言者について個別に取り上げ、詳細に説明しているので、ぜひこの機会に聖書と、それがもたらした芸術的な影響を堪能してみてください。

『『新約聖書』の誕生』書影
電子あり
著:加藤隆

こちらは新約聖書の成り立ちについて焦点を当てた1冊。『新約聖書』が成立したのは、イエスの死後、実に300年が経過してからのことでした。なぜ300年もかかったのか、なぜ300年経って『新約聖書』が成立したのか、そして、なぜいまキリスト教において『新約聖書』が重要な権威であるのかを、キリスト教運動の歴史的な変遷を辿りながら明かしていきます。

『聖書物語 旧約編(新装版)』書影
文:香山彬子 絵:藤田香

旧約聖書の中から、「ノアの箱舟」「アダムとイブ」「モーセの十戒」「アブラハムの物語」など、特にわかりやすく有名な8つの物語を、平易な文章で記しています。すべての漢字にルビを振っている児童向けといえどもたいへん読み応えがあり、大人でも存分に旧約聖書の世界を堪能できます。ぜひお子さんとご一緒にお手にとってみてはいかがでしょうか。

『聖書物語 新約編(新装版)』書影
文:香山彬子 絵:藤田香

こちらは、イエス・キリストの誕生から始まる新約聖書の物語を記した、児童向け新約聖書入門。イエスの生涯を美しいイラストとわかりやすい文章で綴っており、イエスの誕生を祝うクリスマスの時期に読むべき1冊といえるでしょう。新約聖書には心に響く言葉が数多く綴られています。旧約編と合わせ、お子さんと一緒にキリスト教の世界を旅してみましょう。

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