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【年代別まとめ】一冊あると安心! 6歳までに罹る「危険な病気」のサイン

急な発熱、おむつもお腹の減り具合も問題ないはずなのに泣き止まない、なんだかぐったりしていて元気がない──。小さな赤ちゃんはもちろん、小学校にあがるくらいまでの年齢のお子さんがいらっしゃる家庭では、よくある光景です。
初めての子どもの場合、お父さんもお母さんもびっくりして右往左往してしまうことが多いようですが、実は、子どもの命にかかわるような病気というのは意外に少ないのです。
しかし、子どもの病気はある「サイン」を見逃すことで重篤化する場合が多いので、それを見極めることがとても重要なのです。

2016.12.13
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「重篤なサインを見逃さない」「自然治癒力を引き出す」

「重篤なサインを見逃さない」「自然治癒力を引き出す」

子どもがかかる危険な病気には、大きく分けて次の3つのパターンがあります。

1.月齢が低く子どもの免疫力・抵抗力が弱いためにかかる感染症。

2.免疫力とは関係なく、生後に時間が経ってから発症する先天異常の病気。

3.免疫力が完成していても症状が現れる後天的な疾患。

子どもの命にかかわる病気はそう多くはありません。しかし、子どもの病気の進行はきわめて速いため、危険なサインを見逃すと病気がとても重い状態に陥ることがあります。

子どもの危険な病気のサインがわかる本』の著者であり松永クリニック小児科・小児外科の院長である松永正訓氏によれば、氏のクリニックを訪れるのべ2万人弱の受診者のうち、1~2年に1人くらいは、「発見があと1日遅れていたら、命がどうなっていたか」と思えるお子さんがいるのだそうです。保護者が危険なサインに気づくケースもありますが、まったく危機感もなく念のために受診したら重症だったというケースもあるようです。

いっぽうで、開業医を「薬屋さん」と思っているように見受けられる人もいるそうです。薬をもらえばとりあえず安心という気持ちはもちろんあるでしょう。しかし、松永氏は以下のように人間の自然治癒力を引き出すことにも言及しています。

いわく、「人間には、自分の病気を自ら治そうとする自然治癒力があります。その力を引き出すためには、不要な薬を可能な限り使わないことと、病気が治りやすい環境を保護者が作ってやることが重要です」とのこと。

危険な病気と、医者に頼らなくても治る病気を知ることが重要なのです。

年齢と免疫力から見た危険な病気

年齢と免疫力から見た危険な病気

年齢別に、危険とされる病気の傾向を見ていきましょう。

生後0~2ヵ月までの赤ちゃんに多い危険な病気

生後0ヵ月から2ヵ月までの赤ちゃんは、免疫力・抵抗力がきわめて乏しい状態にあります。細菌が血液や髄膜の中に侵入・感染して重篤な病気にかかるのはこの月齢です。

細菌性髄膜炎とか敗血症といった、ふだんみなさんが意識しない病気が赤ちゃんの命を脅かすことがあります。新生児単純ヘルペス脳炎も発見が遅れると命にかかわる病気です。さらに、化膿性股関節炎にかかることがあり、またそれが重症化する月齢です。

生後3~11ヵ月までの赤ちゃんに多い危険な病気

生後3ヵ月から11ヵ月までは、赤ちゃんの免疫力・抵抗力は依然としてあまり強くありません。風邪がこじれて気管支炎や肺炎になりやすいのはこの月齢です。

そして「肺炎」の中でも危険度の高い重症肺炎になる可能性が高いのも11ヵ月までのお子さんです。RSウイルスによって細気管支炎にかかり入院になることもあります、尿路感染症も0歳児に最も多く見られます。

また、免疫力とは関係なく腸閉塞(ちょうへいそく)や腸捻転(ちょうねんてん)、あるいは膵・胆管合流異常(すい・たんかんごうりゅういじょう)といった先天異常に基づく病気が突然姿を現すかもしれません。

1~3歳くらいまでの子どもに多い危険な病気

1歳を過ぎて3歳くらいまでは、免疫力・抵抗力が徐々に向上してくる時期です。一方で、生後6ヵ月までに胎盤経由の母親からの移行抗体は完全になくなりますので、0歳児とは異なった感染症にかかります。

トータルで見れば、0歳児に比べて体力がついてくると言えますが、その免疫力は依然として強いとは言えません。

さらに、保育所(園)などに通うようになると生活環境が大きく変化します。そのため、くり返し風邪をひくなど病気の数はむしろ増えます。

インフルエンザにかかるのはほとんどが1歳以降です。したがって、これに伴う脳症は1歳以降から見られるようになります。

脳炎も0歳児に引き続いて見られます。ウイルス性胃腸炎をきっかけに腸重積(ちょうじゅうせき)を発症するのもこの年齢です。何らかの感染が関与しているとされる川崎病もこの年齢に多く見られます。

まれな病気ですが急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)は窒息の危険があります。

3~6歳くらいまでの子どもに多い危険な病気

3歳を過ぎると免疫力・抵抗力は徐々に強くなっていきます。

しかしながら、本人の免疫力の強さと関係のない病気はむしろ増えていきます。虫垂炎とか小児がんとか若年性特発性関節炎などです。食生活の変化によって食物アレルギーによるアナフィラキシーも起こり得ます。先天異常に基づく病気も依然として診られます。

命にかかわる病気を見逃さないために親ができること

命にかかわる病気を見逃さないために親ができること

子どもがかかる病気の種類は数え切れないほどあります。これまで見てきたように、年齢によって多くかかる病気がありますので、年齢と病気の相関関係を把握しておくのは重要でしょう。しかし、人間の身体には必ず例外があり、「よく見られる年齢」に当てはまらないからといってその病気ではないとは限りませんから、注意が必要です。

子どもの危険な病気のサインがわかる本』は、0~6歳までの子どもがよくかかる病気のうち、命にかかわる病気のサインを見逃さないことに重点を置いています。多くの類書で、子どもの病気すべてを網羅したものが見られますが、実は子どもの病気で命にかかわるものはそう多くはありません。しかし、子どもの病気は進行が早いため、そのサインを見逃した場合に病状が重くなる場合もあるのです。

本書は「命にかかわる」ケースに絞り込み、危険なサインに気づいたらどのように対応すべきか、つまり、いますぐ救急車を呼んだほうがいいのか、夜間でも受診すべきか、翌朝一番に受診すればいいのかの判断基準を具体的に記しています。子どもの年齢と病気の症状から考えられる病気の種類を割り出し、どのように対応すべきかがすぐに分かるので、慌てず、適切に対処することができるでしょう。

6歳以下のお子さんをお持ちの家庭に、ぜひ1冊、置いておきましょう。

『子どもの危険な病気のサインがわかる本』書影
著:松永正訓

本書は、おもに0~6歳児を対象として、子どもの危険な病気のサインを見逃さないための本です。
子どもの命にかかわる病気というものはそう多くはありません。しかし、子どもの病気は進行が極めて速いため、危険なサインを見逃すと病気がとても重い状態に陥ることがあります。
年間のべ2万人を診察する著者のクリニックでも、毎月数人は入院を要する患者さんが出ます。保護者が危険なサインに気付くケースもありますが、まったく危機感もなく念のために受診したら重症だったということもあります。
子どもは大人のミニチュアではありません。大人と同じ感覚で見ていると、危険なサインを見逃してしまいます。あとになって悔いることのないように、0~6歳のお子さんをお持ちの保護者には、上手に本書を利用していただきたいと思います。

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