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2015年時点で、日本で認知症と診断された人の数は520万人にも上ると言われています。さらに予備軍とされるのが400万人も。国民の10人に1人が認知症を患っている状況が目前に迫っている状態です。厚生労働省の発表によれば、2025年には65歳以上の人の3人に1人が認知症となることが予想されています。
認知症は人ごとではありません。どうしたら認知症を予防することができるのか、具体的な解決策を紹介していきます。
もはや国民病!? 日本の認知症増加率がヤバい
予備軍も含めると、もはや国民病と呼ばれる糖尿病に匹敵するほど患者がいる認知症。日本で急速に患者数が増加している理由はなんなのでしょう?
高血圧や糖尿病などの生活習慣病、労働環境からくるストレス、うつ病やアルコール依存症、これらは全て認知症増加の下地となると言われています。背景には、日本人の生活環境が大きな問題のひとつなのです。
海外に目を向けると、認知症の増加はアジアの新興国において著しいことがわかります。今後40年の認知症の数値を予想すると、先進国の増加率は約2倍、新興国では約4~5倍に及ぶと見られています。
そんななかで、イギリスは認知症の増加を防ぐことに成功している国です。日本同様、社会が高齢化している状況なのに、なぜイギリスは認知症の割合を減らすことに成功したのでしょうか?
イギリスに学ぶ認知症率を低下させる秘密
イギリスは認知症の有病率を20年間で22%下げることに成功しています。その理由は、国を挙げて行った生活習慣病対策にありました。イギリス政府は、1日の塩分摂取量を6グラム以下にするよう国民に啓蒙し、さらに食品業界に対しても、特定の食品に対する塩分含有量の数値を設定し、食塩の摂取量を大幅に下げることに成功したのです。
その他にも、生活習慣病の診察で予防的な取り組みに対する診察報酬を支払うなど(日本では薬を使用しなければ診察報酬が上がらない)、医療制度の面からも減塩生活を支える仕組みを作りました。
認知症と脳梗塞の深い関係
減塩がなぜ認知症の有病率を減らすことに繋がるのか? それを知るためには脳梗塞と認知症の関係について学ぶ必要があります。
75歳以上の後期高齢者の認知症の原因には、アルツハイマー型認知症だけで認知症を発症するのは57%。アルツハイマー型認知症と脳梗塞の2つが重なったときに発症するのは93%と、脳梗塞との合併により認知症が悪化するということが最近の研究によってわかってきたのです。つまり、脳梗塞などの生活習慣病を予防することが認知症予防には大きな効果があると言えるのです。
カギになるのは生活習慣の改善。生活を変えて認知症を防ぐ
生活習慣病を予防するために行うこと。お酒を飲みすぎない、タバコをやめる、ストレスを減らす、適度な運動をする、塩分を控える、それらはみなさんもご存知のことでしょう。さらにもうひとつ大事なことがあります。それは、しっかり眠ることです。睡眠不足のマウスは脳にアミロイドβという物質が沈着し、シミがたくさんできることがわかっています。この脳内のシミは、アルツハイマー型認知症の原因と考えられています。
ただし、徹夜をしたからといって悲観する必要はありません。眠らなかった期間のおよそ3~4倍の期間しっかり眠ることで、溜まったアミロイドβはもとに戻ると言われています。徹夜をしてしまったら、3~4日しっかり眠ればいいのです。
今回紹介させていただいたのはほんの一部。『40歳からの「認知症予防」入門 リスクを最小限に抑える考え方と実践法』には、認知症の予防法やヒントがたくさん記されています。認知症は高齢者がかかりやすい病気ではあるものの、回避のための方法は40代からはじめられるのです。最後まで認知症と無縁で生きるためにも、まずはご自身の生活を見直すきっかけをこの本から学んでみてはいかがでしょうか。(構成 Spoo! inc.)
- 電子あり
働き盛りの年代からはじめる予防策が認知症を劇的に減らす! 発症を遅らせ、重症化を防ぐための知識と実践法を専門医が徹底解説!
画像診断で萎縮が確認できる段階では、病状はすでに、深刻なレベルに到達しています。脳内の病変や異常タンパク質の蓄積は、40歳から始まるのです。働き盛り世代からの予防策だけが、認知症の発症リスクを低下させることができるのです。
食事や運動、人との交流や読書習慣など、何をどれくらい、どのように取り組めばいいのか。豊富な診察経験をもつ著者が、科学的エビデンスに基づく予防法を、やさしく詳しく解説します。
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