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【最古の腐女子】物語で淫らな妄想に耽る平安の姫君、婚活にハマる。

平安時代にも婚活ありけり。夢子と申す姫君は草紙(本)を読んでは破廉恥な妄想にふける“平安腐女子”なるが、あるとき結婚にむけて活動することになりけり。『臨死!! 江古田ちゃん』で一世を風靡した瀧波ユカリが、知られざる“平安時代の婚活”を主題にした作品の見どころを語るなりけり~~。

2016.07.22
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瀧波ユカリ(たきなみゆかり)

漫画家。1980年北海道生まれ。2004年『臨死!! 江古田ちゃん』でアフタヌーン四季賞・大賞受賞。2005~2014年、アフタヌーンで同作を連載。週刊誌、ファッション誌でコラム等も多数執筆。

このテーマを思い付いたキッカケとは?

主人公を「結婚したがらない平安時代の女子」にしたかったのですが、なかなか話が作れなくて困っていたところ、担当さんの「腐女子キャラはどうすか」の一言で話がバーッとできていきました。腐女子だったら本をたくさん読んで妄想にのめりこんだり、お金を本代に使ってしまって親が困るだろうな、そしたら親は娘を結婚させようとするだろうな、と。また、腐女子設定にしたことで、古典文学を絡めていくスタイルに自然と仕上がっていきました。

主人公・夢子のキャラクター、造形でこだわったこととは?

「古風な顔立ちだけど目を引く造形」を突き詰めて考えたら能面顔に行き着きました。
絵に描いてみた瞬間「この造形のインパクトはまちがいない」と思いました。
古語でしゃべるところが個人的にとても好きです。本当はもっと古語っぽさを強めたいのですが、あまり変換しすぎると何を言ってるのかわからなくなるので、バランスがむずかしいです。

『あさはかな夢みし』

夢子、化粧をしてみんとす。

この作品の魅力を語ってくださいませ。

第一に、平安時代の暮らしや古典文学についての知識がちょこっと得られます。
また、古典文学を用いたBL的な妄想を楽しむためのきっかけとしてもご利用いただけます。
そして、何よりも力を入れているのはキャラクターです。欲望に素直な夢子、商売第一のくれ葉、出世を目指す小犬丸、承認欲求を抱える道長、未熟で不器用な顕信、自由恋愛に生きる実子……それぞれのキャラクターの個性を通して、何を大切にしてどう生きるのかということに思いを巡らせてもらえたら嬉しいです。自分がどのキャラに近いかを、ちょっぴり考えながら読んでみてくださいね。

婚活について何かご意見はありますか?

今も昔も、やりたい人にとってはハードな道で、どうでもいい人にとっては視界にすら入らない、それが婚活なのかもしれません。夢子には「小犬丸がなんぞちょろちょろしておるな」くらいの実感しかなさそうです。

“平安時代の婚活”という設定は斬新だと思いますが、もし、本当に行われていたらどう思いますか?

婚活、といった言葉はなかったものの、当時は「あの家の姫はたいそう美人だ」と噂を流したり、歌の上手い従者が主人の代わりに恋文を書いたりなど、貴族階級においてはおよそ婚活のようなことが行われていたらしいです。男女をとりもつのが得意な、小犬丸みたいな舎人もいたんじゃないかなと思います。

『あさはかな夢みし』

腐女子になつて、古典文学を楽しみませう。

『あさはかな夢みし』

いつの世も、変態ありけり。

お気に入りのストーリーをあげてくださいませ。

1巻だと『芋粥』が好きです。あの説話は絶対に男同士の友愛・恋愛のお話だと思って、自信を持って描きました。
2巻だと『追儺』。鬼の愛した男は鬼を追い払う人だった……という設定を思いついてキュンときて描きました。

単行本1巻を読んだ読者からの反応はどうでしたか?

「妄想にふける夢子が自分に似すぎていて怖い」という女性読者が意外と多いです。
「『芥川』に登場するおっさんが可愛い!」という声も大変多くいただきました。

『あさはかな夢みし』

この、おつさん。いとをかし。

2巻のおもしろさのアピールをお願いします。

2巻では夢子がやっと家を出て宮仕えを始め、世界が大きく広がることになるのですが、 すてきな仲間も得たおかげで広がっていつつもさらにコアになっていく様子をお楽しみいただけるかと思います。

また2巻のもうひとりの主人公と言っても過言ではないのが藤原道長です。天下人の華麗なる暴走劇をお楽しみください!

  • 電子あり
『あさはかな夢みし(2)』書影
著:瀧波ユカリ

時は千年ぐらい前、平安時代の真っ只中。夢子と申す姫が暮らしておった。
日がな腐りきった妄想に明け暮れて、婿も取らずにいた彼女だが、従者の勧めもあって徐々に男女のアレコレを学ぶことに……。良縁とかいう青い鳥みたいなヤツを追って、花の都を奔走する!!


『臨死!! 江古田ちゃん』でおなじみの瀧波ユカリが、今も昔も変わらぬ男女の「あさはかさ」を抉り描く意欲作。読むべし読むべし。

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