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【バイオハザード・ミステリ】生き物好きは、冒頭で感電します。

「生物好き」なあなたに 篠田節子、待望の新刊!
太平洋に浮かぶ美しい島、ミクロ・タタに、泉の守り神といわれる愛くるしい両生類が棲んでいる。ふっくりとしたピンクの腹、真っ黒なつぶらな瞳。ジョージは、泉の中でその生き物と戯れた瞬間に虜となった。ところが、インフラ整備のため、泉がつぶされることに。その両生類は隣の島に移され、夥しい数の死体となって水面に浮き上がる。
同じ頃、父や同僚たちが真っ黒で俊敏なトカゲのようなものに立て続けに襲われ、噛まれてショック状態に陥る。口中に細菌を持っているのだ。広がり続ける被害。しかしこれは始まりに過ぎなかった……。

2016.05.27
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著者メッセージ

著者写真
©ホンゴユウジ

幼い頃から生き物が大好きだった。

洗面器でイモリを飼った。黒い背と赤い腹のコントラストが楽しく飽かずに眺めていた。金魚鉢で飼った食用蛙のオタマジャクシのつるんとした肌や小さな口はたまらなくチャーミングで、学校から帰って餌をやれる時間がただただ待ち遠しかった。だからそれらの具合が悪くなって、弱り、死んでいくときの辛さと悲しみは忘れられない。

友達などいない。ゲームもスポーツもテレビも嫌い。一人遊びの好きな鍵っ子だったが、淋しいと感じたことはない。

少女期を過ぎて、興味が生き物から人間の牡に移っていったとき、そんなものたちへ思いは次第に冷めていったのだが、もしあのまま少女の心を持ち続けていたら、どうなっただろう。「竜と流木」はそんなことから出発した物語だ。

篠田節子

篠田節子(しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。1990年「絹の変容」で小説すばる新人賞受賞。1997年『ゴサインタン』で山本周五郎賞受賞、『女たちのジハード』で直木賞受賞。2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞を、2015年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞を受賞。『弥勒』『聖域』『夏の災厄』『長女たち』『となりのセレブたち』『冬の光』など著書多数。広範なテーマを鮮やかに描き出す手腕は評価が高く、ファンも多い。

太平洋に浮かぶ美しい島、ミクロ・タタの世界── パラオ取材記

2015年新年から新聞連載が決まり、急遽パラオに取材に。11月29日、20時半成田出発。のはずが、出発遅延のため機内で待つこと3時間。スナックが配られました。

翌朝、取材開始。まずはパラオの玄関ともいえる船着き場へ。いたってのんびりとした佇まいです。漁港でもあり、グアムなど近隣の島にここから魚を出荷します。

写真1

作品冒頭にも登場する「バイ」と呼ばれる集会所

写真2

屋根にはびっしりとパラオの歴史や神話に関する絵が描かれています。

写真3

パラオの中心地、コロールタウンには、病院や裁判所、警察署などが集まっています。写真は陽気なポリスマン。ポロシャツが制服です。

写真4

小説内に登場する水産試験場。ウミガメやシャコガイを飼育しています。

写真5

汽水域のマングローブ林。独特の生態系を持っているそうです。

写真6

取材を終えて部屋に戻ると、ヤモリたちが迎えてくれました。ケケケケ……という声を聞きながら眠りにつきました。

写真7

担当者メッセージ

この物語の冒頭、それはそれは可愛らしい両生類が登場します。篠田さんの想像の産物ですが、生き物への愛がしたたるよう。そのシーンを読んだ瞬間、この小説に「感電」しました。決して「できるやつ」ではない主人公のジョージが愛するもののために奔走する姿に胸を衝かれます。

(文芸第二出版部・奥村)

『竜と流木』書影
著:篠田節子

この島には守り神がいた。どこで逆鱗に触れたのか?

美しい島を、バイオハザードが襲う――。太平洋に浮かぶ美しい島、ミクロ・タタを舞台にくり広げられる、人間と自然の壮絶なドラマ。次々と襲いかかる災厄に、ひとりの青年が立ち向かう。

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