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【商人・豊臣秀吉のプレゼン】ジョブズをイメージして描いた怪作!

『センゴク』シリーズ作者・宮下英樹さんのサイン会&トークイベントが「ニコニコ生放送」で生配信! 当日はスペシャルゲストも登場します。今回は宮下さんに、イベントのトークテーマである「権力者・豊臣秀吉」や、『センゴク』シリーズの魅力を2回に分けて伺いました。

2016.04.21
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宮下英樹(みやした・ひでき)
宮下英樹(みやした・ひでき)

1976年生まれ、石川県出身。2001年5月に第44回ちばてつや賞大賞を受賞。同年、「週刊ヤングマガジン」でデビュー。2004年、担当編集者と戦国時代について意気投合したことがきっかけで『センゴク』の連載を開始。『センゴク』シリーズとして『センゴク天正記』『センゴク一統記』『センゴク権兵衛』番外編『センゴク外伝 桶狭間戦記』がある。

人間ドラマを描くことでキャラクターに深みが生まれた!

──シリーズ第3部『センゴク一統記』が完結してひと区切りついたところで、これまでを振り返っていただきたいと思います。キャラクターの成長や関係性、生き方の描写が、どんどん深みを増していきましたね。

宮下英樹(以下:宮下):『センゴク』を始めた頃は、当時の担当編集者が歴史に詳しかったこともあって、主に歴史好きの読者に喜んでもらえるように新説を取り入れながら史実を描こうとしていました。しばらくして、現担当のHさんが加わったんですが 、元々それほど歴史好きではなかった彼が加わったことで、歴史以外の楽しみ方……例えば、人間ドラマや武将の生き様の部分が広がっていきました。また、僕は会社勤めの経験がないんですが、Hさんが会社組織について教えてくれるので、それも主従関係を描くときの参考にさせてもらっています。

編集H:確かに! 先生は会社における人間関係には馴染みがないですね(笑)。

宮下:「この人はもはや何の力もないだろう」って思えるような人が上司だったら、僕なら簡単にやっつけちゃって、自分がやりたいようにやるのになあって思うんですけど、なぜかそういうわけにもいかないらしいです(笑)。

編集H:組織って一筋縄ではいかないんですよ!

宮下:そういうHさんの話は、大いに作品に反映させてもらってます(笑)。

──この作品は言葉だけでなく、表情でキャラの心理を表現している作画にも引き込まれますね。

宮下:『一統記』の秀吉は、一見、綺麗ごとを言ってるようなときも、「それは本音じゃないよ」というのが表情に出ていることがありますよね。僕は、秀吉は普通の良くできた人を描いているつもりなんですけど、読者の中にはとてもずるい人だと見ている人も多いようです。いわゆる白秀吉、黒秀吉のように、確かに人間には多面性があると思います。読者によって表情やセリフに対する解釈が違うかもしれないし、それぞれの解釈で楽しんでいただければよいかと。

『センゴク一統記』

宮下先生が『一統記』15巻でお気に入りのひとコマ。普段は飄々とした表情の秀吉が、演説シーンで一気にヒートアップして読者のハートをつかむ!

──今回プレゼントされる複製原画の秀吉も、何か腹黒さを含んだような笑みを浮かべていますね。

宮下:それは『一統記』2巻のカバー用に描いたものですが、「笑顔で」というリクエストはあったんですよ。描いたときは意識していなかったと思うんですが、仕上がったイラストは、天真爛漫な笑顔ではなかったですね(笑)。

『センゴク一統記』

印象的な笑みを浮かべた秀吉。
こちらの複製原画(全体図)を、なんと宮下先生の直筆サイン入りでプレゼント!
詳しくは4月22日(金)にアップする、インタビュー記事part2をチェックしてください!

現代とリンクしたエピソードに共感!

──『一統記』15巻で、秀吉が商人にプレゼンするシーンはユニークですよね?

『センゴク一統記』
『センゴク一統記』

堺の豪商を集めて「天下惣無事」を説く秀吉。そこに武士らしさはなく、商人たちに寄った論法で、利益を明確にすることで自分の政策に巻き込んでいく。

宮下:最近、信長や秀吉が「革新的なイメージが強いが、実は保守的だった」という説があるんです。昔は誰かが何かを為せば、全部が全部、新しいことをしてきたように受けとめられてきましたけど、最近は否定的な見方も当たり前になってきた。でも、本当の新しさって、そこでもないというか。 例えば、信長に関して言えば、彼がやりたかったことは領土を拡大することだから、それ以外は政治的に何か新しいことをしないといけないわけでもなかったはずなんです。そこを見ないで、「信長は大したことない」っていうのはやっぱり違うと思う。

秀吉も、戦のない世の中をつくる第一歩として、米を「銭貨」の軸にすることを考えた。そういう中身の変革をきっかけに、流れが大きく変わることが、傍目にはわからないけど、商人たちにはわかるわけです。

──商人たちへの「天下惣無事」のプレゼンは、秀吉の芝居のような名調子が伝わって、ジャパネットの高田元社長の声を重ねて読みました(笑)。

宮下:僕はスティーブ・ジョブズをイメージして描いたんですが(笑)。僕らもiPhoneが出たとき、タッチパネルのあるおもちゃのようなものだと思っていましたが、ジョブズは技術を変えたいだけじゃなくて、生活形態を変えたいと思って世に出したんですよね。そんな中身の話をさせたかったんです。

──そういうふうに、現代社会ともリンクしているなと考えながら読むのも面白いんですよね。最近は、フィクション時代劇が多く映像化されていますが、そんな作品を描こうとは思われませんか?

宮下:そういうオファーもあるんですが、今は史実の方がおもしろいんです。歴史を掘っていくのが楽しいので、それに満足したらフィクションものもやるかもしれませんね。

テーマは「秀吉」から最終章『センゴク権兵衛』へ……。新キャラクター登場の狙いとは? 独占インタビューpart2はこちらから!

こちらの複製原画プレゼントもお楽しみに!

<インタビュー&撮影/長迫弘>

4月24日(日)15時、「ニコニコ生放送」で生配信!

4月24日(日)に開催される、宮下英樹さんのトークイベントが、「ニコニコ生放送」にて生配信!  ゲストとして、TV番組「世界一受けたい授業」でもおなじみの歴史学者・本郷和人氏も登場。天下人豊臣秀吉の実像に迫ります。
生放送の詳細ついては、下記ヤンマガHPで告知中です!

『センゴク権兵衛(1)』書影
著:宮下英樹

至高のリアル戦国合戦大河──ついに最終章へ!!

織田信長と羽柴秀吉の下で合戦に明け暮れ、淡路国を治める戦国大名へと出世した仙石権兵衛秀久。だが、天下一統を成すためには、いまだ残る数多の敵を従わせる必要があった──。乱世を真の終焉へと導くために、これより権兵衛が、歴史の表舞台へと進み出る!! “天下人”を支えた猪武者・仙石権兵衛秀久の奇跡の挽回劇、開帳!!

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