今日のおすすめ

1970年代以降のニッポンが1冊に。文学・音楽・思想の3部作

今日は「文化」に敏感なあなたにぜひ読んでいただきたい、好評シリーズ3部作をご紹介しましょう。
「日本の現代文化史」というと堅苦しく、歴史の勉強に近いような印象を持たれるでしょうか。それでは手っ取り早く、1970年代以降の日本の文化を早足で覗いてみましょう。文学、映画、音楽など幅広いジャンルで批評活動を行っている批評家の佐々木敦さんが、'70年、'80年代から現在に至るまでの、文学や音楽、思想について評した「ニッポンの○○」シリーズが最適です。
最新刊『ニッポンの文学』を中心に、'70年代以降のニッポンを席巻したさまざまなトレンドを紐解いてみましょう。

2016.03.16
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本当におもしろい小説とは何か? 村上春樹、筒井康隆、保坂和志……、70年代から辿る新・現代小説史

  • 電子あり
『ニッポンの文学』書影
著:佐々木敦

本書は、1970年代後半から現在までの「ニッポンの文学」の歴史を紐解く本です。

主に'80年代、'90年代、2000年に入ってからの数年間を指す「ゼロ年代」という3つのディケイド(10年紀)と歴史にスポットを当て、独自の切り口から時代を象徴する作家について解説をしていきます。

いわゆる芥川賞作品に代表される「文学」と呼ばれている小説と、それ以外の「ミステリ」「SF」など「文学」とはみなされていない小説を同じ視点のもとで扱った、いまだかつてない「日本現代小説史」を提示しようという野心作です。

村上春樹氏に始まり、2015年に『火花』で話題となった又吉直樹氏まで、芥川賞=文学として捉えられてきたニッポンの現代文学とそのその周辺のサブカルチャーの水脈を、ときには時代を遡りつつ、紐解いていきます。

冒頭では、村上春樹氏とともに颯爽と登場した「僕」という一人称について、「僕小説」の系譜としての村上春樹を論じつつ、次章では、新しい日本語の文体の誕生として、翻訳文学との関連について論を展開していきます。

'80年代の章では、村上春樹氏、村上龍氏のW村上時代を「諦念」という共通項で括ったり、'80年代の象徴ともいうべき田中康夫氏の『なんとなく、クリスタル』と、ゼロ年代に入り発表された『33年後のなんとなく、クリスタル」』を比較し、この作品が、物質的に豊かである生活を肯定するだけではなく、文学、資本主義に対するアンチテーゼでもあったことを解説します。

1970年代後半以降のニッポンの文学やサブカルチャーの歴史を俯瞰して体系立てて学びたい方に、おすすめの1冊です。

この視点はなかった! 「ニッポンの文化」を探る好評シリーズ既刊書

  • 電子あり
『ニッポンの思想』書影
著:佐々木敦

'80年代から現代に至る「ニッポンの思想」の変遷を、独自の視点から辿り直した書です。
'80年代のニューアカブームを牽引した浅田彰氏『構造と力』、中沢新一氏『チベットのモーツァルト』を起点とし、現代のゼロアカに至るまでを、「振る舞い=パフォーマンス」等のキーワードを軸に、 10年ごとに歴史的背景を織り交ぜながら解説します。
現代を代表する思想家とその論点を学びたい方におすすめの1冊です。

  • 電子あり
『ニッポンの音楽』書影
著:佐々木敦

ニッポンの音楽を、日本と欧米という対比軸、そして「リスナー型ミュージシャン(作り手であると同時に聴き手であるミュージシャン)」という観点から論じた1冊です。
1970年代から現在に至るまでのニッポンの音楽を10年ごとに区切りながら、YMOや小室哲哉氏など、それぞれ時代を代表する1組のアーティストにフォーカスを当てて説明しています。
音楽カルチャーに興味のある方にはもちろん、J-ポップを軸とした現代日本文化論としておすすめです。

常山あかね
構成・文:常山あかね

早稲田大学卒業後、損害保険会社勤務。育児を機に退職後、SOHOでインターネット業界の仕事に携わる。1999年、メルマガやWEB等オンラインコンテンツを専門にしたライタープロダクション「企画室壱頁」を個人事業登録。2006年法人化。現在、(株)壱頁代表取締役として、Google社と共催で、リモートワークを実現するGoogle Apps for Work™ 活用術のセミナーに力を入れている。「仕事も子供もあきらめない」女性が生き生きと輝く日本を目指すソーシャルベンチャーの代表として、日経新聞をはじめ、マスコミ掲載多数。消費生活アドバイザーとして、テレビ番組のコメンテーターも務める。
http://壱頁.jp http://www.page1.ne.jp/

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