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【最新版】激増する「子どもの花粉症」年代別治療法

毎年、2月から3月にかけてピークとなるスギ花粉による花粉症で苦しむ人はかなりの数にのぼります。しかし、最近では花粉症などのアレルギー疾患は、舌下免疫療法により治る病気になってきました。
一方で、子どもの花粉症やアレルギー性鼻炎は大人と異なり、気づきにくく、自分で注意もできません。また、放置しておくことで他のアレルギー疾患を起こしたり、悪化する場合もあります。
今回は『子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本』から、子どもの花粉症を見極めるポイントについて見ていきましょう。

2016.02.27
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Q1:子どもの花粉症やアレルギー性鼻炎が増えているって本当?

グラフ画像 年齢層別有病率
年齢層別有病率(『鼻アレルギー診療ガイドライン2013年版』による)

東京都が実施した調査では、スギ花粉症をもつ子どもの割合は、この20年間で10倍以上に増えています。東京都花粉症患者実態調査によると、0~14歳のスギ花粉症有病率は、1983~1987年にはわずか2.4%だったのに対し、2006年にはなんと26.3%にも増えています。4人に1人はスギ花粉症というわけです。

花粉症は、日本では今の子どものお母さん、お父さん世代の人の多くが子どもだった昭和50年代頃から話題になりはじめた、比較的新しい病気です。子どもでも花粉症になることはありましたが、それほど多くはありませんでした。

ところが近年、花粉症を発症する子どもが目立ちます。子どもの発症が増える大きな原因となっているのが、スギやヒノキの花粉の飛散量が激増していること。幼い頃から大量の花粉を浴びることで、低年齢のうちに発症する子が増えてきていると考えられています。

一方で、季節に関係なく、一年中、花粉症と同じような症状が続く通年性アレルギー性鼻炎をもつ子どもも同じくらいいます。その多くは、どこの家庭にも必ずいるダニが原因になっています。

Q2:風邪とどう見分ければいいの?

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花粉症やアレルギー性鼻炎をもつ子どもが多いからといって、子どものつらそうな症状の原因がすべてそうとは限りません。風邪をくり返しているだけのこともあります。

鼻を中心にした症状は、花粉症やアレルギー性鼻炎だけでなく、風邪でも起こりやすい症状です。とくに花粉症の症状が出やすい2~3月は、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかることも多い時期だけに、見分けがつきにくいことがあります。しかし、発熱したから風邪ともいえません。花粉症やアレルギー性鼻炎でも微熱が続くことがあります。

症状の原因が風邪なのか、それともアレルギーによるものなのかによって、適切な対応の仕方は変わってきます。アレルギーの疑いはないか、症状をよくみておきましょう。ただし、必ずしも「どちらかだけ」というわけではなく、花粉症もあるうえに風邪をひいているということもありえます。

以下は、花粉症やアレルギー性鼻炎と風邪の症状を比較したものです。重なるところもありますが、よくよく見れば症状には少し違いがあります。かゆみ、とくに目のかゆみがあるようならアレルギー症状の疑いが濃厚です。

 花粉症・アレルギー性鼻炎風邪
さらさらとした水のような鼻水。くしゃみも増える。粘膜が炎症を起こして腫れた状態が続くため、鼻づまりがひどくなりやすい水のような鼻水は最初だけ。黄色っぽくねばついた鼻水に。くしゃみが増えたり、鼻づまりを起こすこともある
かゆみ、充血、まぶたの腫れなどなし
皮膚顔や首、ときには全身がかゆくなることもある(花粉症皮膚炎)なし
のどかゆみ、せきなどが出てくることも。痛みが出ることもあるが、それほどひどくはない痛みが出やすい。つばを飲み込むときに、とくに痛む。せきも出やすい
全身発熱することもあるが微熱。頭がスッキリせず、ぼんやりしているようすもインフルエンザの場合は高熱。ふつうの風邪でも、子どもの場合、高い熱が出ることがある
時期による症状の変化花粉症であれば、原因となる花粉の飛散量が増えると症状が悪化。ダニなどが原因の場合はとくに秋口にかけて悪化しやすい冬から春にかけて、インフルエンザも、ふつうの風邪も増えやすい
症状が続く期間シーズン中、手当てしないかぎり症状が続く。通年性のアレルギー性鼻炎なら1年中数日~1週間程度で治る
場所による症状の変化花粉にさらされやすい外出時や、ダニが繁殖しやすいほこりの多い部屋で過ごしているとひどくなりやすいとくにない

Q3:そもそもアレルギー疾患とはどういう病気?

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免疫の攻撃対象を抗原、攻撃する武器になるものを抗体といいます。アレルギー反応を起こす原因となる抗原がアレルゲン、アレルゲン専用の武器がIgE《アイジーイー》抗体です。花粉症とは、「アレルゲン」を攻撃するIgE抗体が増えてくることによって引きおこされます。

ただし、スギ花粉やダニに対するIgE抗体があれば必ず花粉症やアレルギー性鼻炎を発症するというわけでもありません。ほかの要因も重なり、許容量を超えたときに発症するのです。

親に花粉症やアレルギー性鼻炎があれば、子どももなりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。しかし、親がそうでも子どもは発症しないこともありますし、逆に子どもだけが発症することがあります。

発症するかどうかは体質だけではなく、アレルゲンの量なども関係しています。とくにスギ花粉が多い状態は、今後20~30年間は続くと予想されています。スギ花粉に対するIgE抗体をもつ人が増え、大量の花粉が飛ぶ年に多くの人が発症する傾向がしばらく続くでしょう。

また、清潔すぎる環境が、感染症を減らすかわりにアレルギー疾患を増やしているともいわれています(衛生仮説)。

Q4:どの診療科で診てもらえばいいの?

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どうも風邪とは違うようだと感じたら、アレルギー症状ではないか確かめておきましょう。症状によって、より専門的な診療科を選ぶのがおすすめです。

子どもの病気ですから、かかりつけの小児科医に相談するのでもかまいませんが、鼻の症状が強ければ、耳鼻咽喉科の診察を受けておくと安心です。

子どものうちに発症した花粉症やアレルギー性鼻炎は、多くの場合、長いつきあいになります。アレルギー症状が疑われる場合は、「花粉症・アレルギー性鼻炎治療のためのかかりつけ医」をもつと安心です。

いかがでしたか? アレルギー疾患は長く続くことが予想される病気です。体質が大きく影響することから「治らない病気」と、とらえられてきました。しかし、ここにきてアレルギー疾患は「治せる病気」に変わってきています。負担なく続けられる舌下免疫療法が実用化されたからです。

現在、舌下免疫療法は12歳以上にならないと受けられませんが、数年内に低年齢の子どもでも受けられるようになる見込みです。この治療を実施しているかどうかが、医療機関を選ぶ際のひとつの目安になるでしょう。

子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本』では、気づきにくい子どもの花粉症の症状や治療法、日常生活でつらい症状を和らげる方法など、さまざまなヒントを取り扱っています。子どもがつらいアレルギー症状に苦しむことのないように、まずはお母さん、お父さんがアレルギーについて正しい知識を持ち、いまできる最善の策を講じていきましょう。

『子どもの花粉症・アレルギー性鼻炎を治す本』書影
監修:永倉仁史

大人と違うので気づきにくい、子どもの花粉症。発症した年齢が低いほど治りにくいのが特徴です。年代別の対応法と、根本から治す最新療法について、イラストをたっぷり使ってやさしく解説しています。

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