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遅刻や忘れ物が多い、片付けられない、ついついしゃべりすぎてしまう、ミスが多くていやになる……。そんな悩みを持つ人が案外多いのは、近年になってよく知られるようになったADHDと呼ばれる発達障害が原因かも知れません。
ADHDの人は周囲からだらしない人と思われたり、やる気がないとかミスが多くて仕事を任せられないといったネガティブな評価を受けるなど、仕事面でも対人関係でも損をしています。できない自分がいやになって、心を病んでしまう人も。
しかしADHDの弱点を知り、ふだんの生活でちょっとした工夫をすれば、いまよりもずっと暮らしやすくなるのです。今回は、ADHDの人でもうまく段取りをして生活できるように、仕事や生活でのさまざまな工夫とヒントを記した2冊をご紹介しましょう。
視野を広く長く持ち、道筋をつける力を養おう
ADHDは発達障害の一種で、注意欠如・多動性障害とよばれます。不注意が多く、落ち着きがないなど、日常生活でさまざまな支障が現れます。
仕事では「なんでこんなミスをするんだ!?」と周囲が思うようなミスをしたり、家事では掃除ができず、部屋の中でものをよくなくすなど、一見すると「おっちょこちょいでだらしない人」と思われがちです。
ADHDの人は、やるべきことの順番を決め、着々とこなし、時間どおりに終わらせるということが苦手なのです。
大人になってADHDであることが分かる人も少なくありません。ADHDの人は、仕事や家事の失敗が続き、周囲からはやる気がないように見えることがあります。準備や管理ができず、いつもドタバタして、ボーッとしている……。
日常生活がうまくいかないのは、やる気や性格、怠け癖のためではありません。ADHDの特性によって、段取りよくものごとを進めることが苦手なのです。
また、同じADHDでも男女で困っていることが少し異なります。
男性は衝動性と多動性の強いタイプが多く、女性は不注意が強いタイプが多いようです。
女性は仕事も家事もこなさないとならないのが現実。男性よりも負担が大きいうえに子育てが加わると、毎日大混乱で疲労困憊してしまいます。
本書は、そうしたADHDの人が「段取り力」をつけられるようにサポートする本です。「段取り力」といっても、ADHDの人の段取り力はふつうの人の段取りのように「ものごとの順序ややり方を決めること」だけではありません。「全体を見て行動する力」「ぶれずに進めていく力」を養うことが必要なのです。
5つの課題を意識すれば毎日が変わる
段取りとは、先を見ながら点と点をつなぎ、道筋をつけることです。段取り力をつけるには次の5つの課題が必要です。仕事や家事のシーンで、これらの課題があることを意識してみましょう。
課題1:時間の管理
場当たり的に気ままに生活するのではなく、時間を区切って生活する。仕事や家事だけでなく、生活するうえでの基本のスケジュールを決める。
課題2:ものの管理
ADHDでは、片付けが苦手だという人が多い。ものの量や置き場所を決める。増やさない、探さない、なくさないをめざす。
課題3:プランニング
ものごとを感情で決めてしまいがち。優先順位を考えて方法と順番を決める。いわば一般的にいう段取りの部分。簡単なやり方から始めるとよい。
課題4:記憶の補強
「忘れた!」ではすまされない。メモを活用しよう。手帳、カレンダー、パソコン、スマホ。なんでもいいので、とにかく書く。
課題5:(気持ちの)持続力
集中力、モチベーションを保つこと、心のエネルギーを切らさないこと、焦らないことなど、気持ちの持続力の意味は広い。こうした力が足りない傾向があるので、休憩をとったり、今の状況を把握したり、自分を励ましたりしよう。
ADHDの人は一生懸命で、人一倍がんばっています。長所もいっぱい! しかし、多くのADHDの方を見ている、本書の監修者である司馬クリニック院長の司馬理英子さんによれば、本人は自分をダメな人間と思い詰めてしまうのだそうです。しかし、司馬さんはこのように言います。
「長所もいっぱいあるのです。どうか自分で自分をほめてください」
この本を参考に、自分に見合った目標を立てて、何度でもチャレンジしてみましょう。ADHDが原因で困っていたことが、かなり改善するはずです。
もしかして私はそうかも……? 大人のADHDを知ろう
どうにもうまく行かない、生きづらい……そういう方はまずはこちらの本を参考にしてみてください。子どものときには「少しやんちゃな子」「少し落ち着きが足りない子」なんて思われていた人も成長し、同世代や先輩、後輩、上司など、社会的な人付きあいが広がります。仕事も家事もひとりでやらなければならなくなったときに、「なんだかちょっと生きづらい……」と感じることがあるのだそうです。
- 電子あり
大人のADHDの特徴的な性質について、丁寧に解説した一冊です。ADHDの傾向チェックがありますので、「もしかして……」と思っている人は、まずはこちらの本を参考にしてみてはいかがでしょう。
前述のように、ADHDは男性と女性とでは特徴が異なる場合があります。そうした性別の違いやライフスタイルごとに起こるADHDが原因の困りごとについて、さまざまな解説やヒントが満載です。よく似たアスペルガー症候群との違いや、ADHDが原因で併発する精神疾患などにも触れられているので、大人になってから生活がうまくいかないことが気になり、不安に感じているあなたにはピッタリの入門書となることでしょう。
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