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「プロを頼ったら、最後は損する?」マネー運用の法典

2016.01.05
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12月16日、ついに米国が利上げに踏み切ったことをご存じの方も多いだろう。9年半ぶりの利上げとなり、量的金融緩和から金利正常化へと大きな転換となる。

2015年の日経平均株価の推移を振り返ると、年初の1月5日に17,408円から始まり、今日現在(12月22日)、18,886円と約8 %ほど上回って推移している。米国の利上げ政策により、日本経済へは何がどの程度影響するのかについて興味を持っている方も多いに違いない。さて、そこで本書である。

書名から推測するに、銀行員を信用してはならなそうな記述があると思われる向きがあるかも知れないが、結論から言うと、本書は、優れた個人金融資産の運用指南書である。

なお、筆者は12年前からファンド運営によるベンチャー投資および事業会社における投資・買収業務に従事してきており、金融知識は多少なりとも持っていると自負している。著者の山崎氏とは、面識はない。その前提での感想であることをご了承いただきたい。

本書が信頼できる理由は、内容もさることながら、著者である山崎氏が、以下のように言い切っている点を見ると裏づけられる。以下、本文を引用する。

「投資に関する情報を、分析し、まとめて、これにコメントする仕事には今後もニーズがあるだろうが、アナリストに対して、投資のリターンを改善する上で役に立つ専門家として期待するのは止めた方がいい。現時点では、このことを正しく知られて不都合なのは、銀行よりも証券会社の方だろうが、何れの顧客であっても個人の側で、正しい認識を持っておくことが重要だ。ここまで言うと、読者は問いかけたいかも知れない。『アナリストの言うことを頼っていけないなら、経済を分析するエコノミストの言うこともそうなのではないか?』あるいは、『たとえば、山崎さんのような経済評論家も信用してはいけないということですよね?』。何れのご質問にも、百パーセントの自信を持って『その通りです!』とお答えする。他人を、ましてプロを『頼る』『信じる』『あてにする』のは全てダメだ。」

筆者が知る限り、ここまで言い切っている著者はそう多くないと思う。金融リテラシーを高めてマネーの運用力を高めるためには、証券マンや銀行員が勧めてくる商品を何の吟味もせずに鵜呑みにして投資するのではなく、投資可能金額をどの商品に、どういう配分で投資するのかを自分で考えて決めるというプロセスが必要となる。著者の指摘のとおり、本書の内容も単に「信じる」のではなく、批判的に吟味し、あくまで自己の判断の参考として運用に臨む、というメンタリティが必要なのである。

そして、そのことを正直に伝えているがゆえに、本書の内容は信頼しても良いということが言えるのである。

本書は、資産運用中のすべての人、これから資産運用を検討している人、金融リテラシーを確実に身につけたい学生やビジネスパーソンにとって、必読の書である。

レビュアー

望月晋作 イメージ
望月晋作

30代。某インターネット企業に勤務。年間、150冊ほどを読んでいる。
特に、歴史、経済、哲学、宗教、ノンフィクションジャンルが好物。その中でも特に、裏社会、投資、インテリジェンス関連は大好物。

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