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2016年のトレンド「ギャル系ヒロイン」にギャップ萌え

学年トップのお嬢様が1年で偏差値を40下げてギャルになっていた話
(著:あさのハジメ イラスト:〆鯖コハダ)
2015.12.28
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いまギャル系ヒロインがブレイクの兆しを見せている。アイドル育成をウリにしたあのソーシャルゲームのギャル系アイドル姉妹は大人気だし、ライトノベルでもぼっちを題材にしたあの人気作品もギャル系ヒロインだし、ギャルをタイトルに出したマンガのアニメも2016年1月から放映開始される。

下地は万全、2016年こそギャル萌えの年となるのだ。しかしギャルという言葉に、不健全や不良というイメージを連想して抵抗感を抱いてしまう人も少なくない。だが、そんな人もこの作品を読めば、たちどころにギャル萌えに目覚め、ギャル中毒になってしまうはずだ。

『学年トップのお嬢様が1年で偏差値を40下げてギャルになっていた話』は、目の前に現れたハレンチなギャルが、実は清純派お嬢様だったはずの幼なじみだったというラノベ界屈指の衝撃的な再会シーンから始まる学園ラブコメディだ。

作者のあさのハジメは、ラブコメ作品に定評のある実力派作家。前月も『さすがです勇者さま!』を刊行、二カ月連続で新シリーズをスタートさせて、いま一番波に乗っている。

本作のあらすじはこうだ。ある日、優等生である主人公の望月春兎の家を訪ねてきた一人の少女。ゆるくウェーブのかかった金髪、着崩して胸元の開いた制服、華やかなナチュラルメイク。その姿は見間違うことなき“ギャル”だった! ギャルの名前は、神楽坂双葉。春兎の同い年のいとこにして、幼い頃に一緒に暮らしていたこともある幼なじみ。1年前までは成績優秀で清楚なお嬢様だったはずの彼女が、なんとギャルになっていた! 話を聞くと、実家から家出してきたという。さらに、双葉を追いかけてきた双子の姉・神楽坂黒羽も加わり、三人での同棲生活が始まる。お嬢様だった双葉が、どうしてギャルになって家出したのか。物語はそれを軸に転がり始め、春兎は戸惑いながらもギャルになった幼なじみと再び関係を築き始める。

ギャルといってもギャル歴の浅い双葉のこと、一緒に過ごすうちにしばしばギャルらしからぬところをさらけ出してしまう。さらに、神楽坂家に特有のある体質もあいまって、双葉はぎこちなく春兎に肉体関係を迫ったり、盗撮したりといった珍騒動を連発するのだが、そんな中で、ときどき正気に戻っては自分のしでかした行為を思い出して恥ずかしさで赤面してしまう双葉の姿は実に初々しい。普段は勝ち気で凛々しいのに、不意打ちで見せるエロさと純真さは、ギャルだからこそ出せるギャップ萌えだと言える。その意味で、双葉はまさにギャルを逆手に取りつつ、ギャルの固定観念を覆すヒロインなのである。

もちろん、ギャルヒロインという一要素だけで物語を強引に引っ張っていくわけではない。

春兎は作中でひんぱんに双葉にエッチなお願いをされてしまうわけだが、そうやすやすと流されたりはせず、彼なりの葛藤を見せる。男であれば誰しも、美少女にエッチなお願いをされたら(たとえ相手がギャルでも)胸が踊ってしまうものだが、春兎には双葉の誘惑に負けられない理由があった。春兎は、クラスメイトの十六夜小夜に密かに想いを寄せていたのだ。しかし、彼のそんな抵抗もむなしく、よりにもよって学校内で双葉と抱き合っている場面を十六夜に目撃されてしまう。なんとか誤解を解こうとしても、ドSな姉・黒羽が面白半分に三人の関係を引っかき回し、ますます泥沼化――。

そんな大騒ぎの日常が読んでいてなんとも賑やかで楽しい。ラッキースケベとドタバタ騒動は学園ラブコメの華、お約束とわかっていてもこれが愉快なのである。全体として、ギャルというスパイスをうまく効かせつつも、ドタバタや痴話喧嘩を繰り広げながら幼なじみとの絆を深めていく王道的な心暖まる純愛ラブストーリーとなっている。

もしこのレビューを読んでこの作品に興味を抱いたら、ギャルへの偏見を脇においてとりあえず読んでみてほしい。読み終わったときに、「ギャルもいいものかもしれない」と思ったら、あなたはまんまと作者の術中にハマったことになる。気持ちよい“やられた感”とともに、新しい世界への扉を開いた心地よさをぜひ感じてほしい。

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レビュアー

愛咲優詩

ライトノベル感想サイト『ラノベ365日』の管理人。これまで約1000冊のライトノベルのレビューを掲載。主にラノベ・アニメ・ゲーム関連でのライター活動中。キュレーションサイト『ダ・ヴィンチニュース』でもブックレビューを連載中。宝島社『このライトノベルがすごい!』シリーズではweb情報発信者として参加。いつも若手・新人作家さんを応援しています。

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