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中国を読めば世界が読める! 意外に知らない大国の正体

東アジアに位置する中華人民共和国。通称・中国と呼ばれるこの国の人口は13億5千万人を越え、世界一人口の多い国として知られています。また、軍備においても経済活動においても大変な影響力を持ち、アジアの大国の名を欲しいままにしています。
歴史を紐解けば、古代中国から多くの文化が日本に持ち込まれており、わが国が中国と長く、深い文化的・経済的つながりを持っていたことが分かります。
ここ数年は領土問題による摩擦や安全保障的課題がささやかれますが、中国の軍事的・経済的影響がわが国に対してのみならず、世界規模で大きなものとなっていることは明白です。中国を知れば世界の動きが見えてくると言い換えることができるでしょう。
今回の特集では、近代化以降の中国に関する書籍を集めてみました。中国を知り、世界への扉を開いてみませんか?

2015.11.27
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中国を知ると見えてくるもの

古代中国の物語は日本でもたいへんポピュラーで、とくに魏・呉・蜀の三国時代を舞台とした三国志関連ジャンルでは、小説やコミック、映画やゲームなどで根強い人気が続いてます。しかし近代以降、とくに現代に至る中国については、まだよく知られていないことが多いようです。この章では、近代以降の中国史を紐解いてみましょう。

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『鄧小平』書影
著:エズラ F.ヴォーゲル 聞き手:橋爪大三郎

ヴォーゲルは、かつて『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という日本研究の大ベストセラー本を執筆したアメリカの社会学者です。その彼が10年の歳月をかけて書き上げたのが『鄧小平』で、英語版が2011年、中国語版が2012年、日本語版が2013年に出版され、なかでも中国語版は60万部を上回るベストセラーとなりました。彼は、日本に関する本が日本で、中国に関する本が中国でベストセラーになった唯一の学者というわけです。
本書は、ボリュームが大きくなかなか一般人には手を出しづらい学術書形式の『鄧小平』のエッセンスを、日本を代表する知性、橋爪大三郎という最良の聞き手が引き出しまとめたものです。歴史を拓いたひとりの指導者の生涯と業績を誰にでも読みやすいように凝縮しているため、現代中国の入門書として必読の一冊です。

中国経済と安全保障

中国の軍事費はアメリカ合衆国に次いで世界第2位と言われています。また、中国のGDPもやはりアメリカに次いで世界第2位。名実ともに世界の大国というわけです。強大な軍事力と経済力を持ち、領土問題や経済活動におけるさまざまなリスクを抱えたこの国に対し、周辺諸国はどのような安全保障と経済戦略を検討しているのでしょうか。

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『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』書影
布施哲

中国人民解放軍と米軍の戦力を比較・分析し、米中の武力衝突を想定することで東アジアの安全保障を解説する本書は、経済・軍事を合わせたアメリカの対東アジア政策と、集団的自衛権について学べる貴重な資料です。
第1章から第3章までは、人民解放軍と米軍の組織的背景や軍備を比較、考えられうる両軍の作戦などを丁寧に解説していますが、第4章では「戦争シミュレーション」と題し、台湾海峡危機と南シナ海危機に端を発する、日本と台湾を巻き込んだ米中の武力衝突を詳細に描いています。米国防総省・軍事系シンクタンクによる膨大な公開文書や、米軍や自衛隊の現役幹部への綿密な取材に基づいたリアルなシナリオに、読者の方々は圧倒されることでしょう。
アメリカの思惑や中国の本音、日本の安全保障と日本に課せられた役割が見えてくる一冊です。

  • 電子あり
『不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換』書影
孫崎享

現在、東アジアのパワーバランスは米中関係の変化に伴い、日本が望まない方向へと大きく変わってきています。日本が生き残るために「不愉快な現実」を直視しなければならないという著者の強いメッセージが込められた本書は、米国の対中政策を中心に、日本の中国、ロシア、北朝鮮戦略のありかたを探っており、東アジア安全保障の全体像を捉えるのに最適な一冊です。

日本と中国──アジアの未来

国際経済がめまぐるしく変わる一方で、かつての経済大国とうたわれた日本は低迷する国内経済にあえぎ、他国とのさまざまな問題を抱えたまま立ち往生しています。変質していくパワーバランスのはざまで、日本はどのような道を進むべきでしょうか。中国のみならず、アジアや世界に対する日本のあり方を説く本をご紹介します。

  • 電子あり
『変わった世界 変わらない日本』書影
野口悠紀雄

かつて日本は、自動車やエレクトロニクスなどの製造分野における輸出大国でした。しかし、輸出を前提とした製造業に偏りすぎたビジネスモデルは、金融危機や急激な円高など国際経済の変化に対応できず、大きな打撃を食らうこととなりました。
経済学の第一人者、野口悠紀雄氏の鋭い分析がふんだんに盛り込まれた本書は、1980年代にさかのぼって国際経済の流れを解説し、日本の経済政策とそれにより抱えることとなった深刻な問題をつまびらかにしていきます。アベノミクスにより株価の底上げに成功し、景気がよくなったような報道がなされていますが、国民の生活は依然として苦しいままです。他国の成功事例などを含めて日本の今後の成長に何が必要かを説く本書は、国際経済と日本の関わりの全体像を捉え、日本の進む道を考えるのに必須の一冊です。

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