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大正13年9月、奥日光湯元温泉水神祭の船競漕──カラスヤサトシの文庫で100年散歩
郷里に妻子をおいて出奔。よそに子をつくる、酒をのんで暴れる、借金を重ねる、小説は書けない、ムチャクチャなのになぜか人望はあったような葛西善蔵。死の数年前に書かれた作品ですが徹頭徹尾、陰うつで沈痛な空気感はさすが。この競漕大会、作中では第1回となってますが、今もこの湖では水神祭の際、スワンボートレースなるものが開かれてるそうです。善蔵のこと、もし今生きてて、楽しげなスワンボートを見ても、きっと力強く、陰うつなことでしょう。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。新刊の『毎日カラスヤサトシ』第1巻(講談社)、『オレは子を見て育とうと思う』(竹書房)大好評発売中です。
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