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戦争の記憶を語り継ぐ〈3〉史料で読み解く『昭和の戦争 日記で読む戦前日本』ほか

1945年8月15日――多くの尊い命が犠牲になった第二次大戦の終結から70余年が経ちました。悲惨な戦争の歴史を振り返るとともに、あの悲劇を二度と繰り返さないよう、私たちはいま一度考えたいものです。
ノンフィクションから学術書、小説まで各カテゴリに分類しながら、講談社の「戦争を読み解く」書籍をご紹介します。
第3回目の今回は、文書や当事者への取材などの膨大な史料をもとに戦争を検証する本に触れてみましょう。残された遺書・日記から、あるいは元兵士へのインタビューから、新聞から……。永い時を経てようやく事実に基づく冷静かつ実証的な研究がなされるようになりました。なぜ日本は戦争に突入し、多くの犠牲を生まなければならなかったのかを検証します。

2018.08.14
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遺書や日記、証言をもとに戦争を検証・研究する

『昭和の戦争 日記で読む戦前日本』書影
著:井上 寿一

人は自己批判、あるいは自己正当化のために過去のできごとを振り返り、日記を書きます。歴史的な研究においては、著名人の手記が後世に大いに役立つことも頻繁にありますが、当事者の人となりや歴史的史実の際、どのような考えに基づいてそれを行ったかが分かる、貴重な一次資料となるためです。現代のSNSやブログへの共感を目的とした書き込みとは異なり、自分の考えを誰の目にも触れぬところでまとめあげ、整理するのに、日記は重要な思考実験でもあったのでしょう。
本書は、当時の日記を通して昭和の戦争を再現する1冊です。昭和は張作霖爆殺事件から始まり、次ぐ日中戦争、太平洋戦争と戦争の歴史として語られますが、こうした戦争への道を進む日本の世相が、さまざまな立場にある人物の日記から読み取れるのはとても有意義なことです。彼らがその当時「どう考えていたか」を、昭和の風俗を交えて垣間見るのに最適な書となることでしょう。

『戦争の日本近現代史』書影
電子あり
著:加藤 陽子

為政者はどんな理屈で戦争への道筋をつくり、国民はどんな感覚で参戦を支持したのか。日清戦争以降の「戦争の論理」を解明した画期的日本論。

『東京裁判』書影
電子あり
著:日暮 吉延

第30回サントリー学芸賞〈思想・歴史部門〉受賞。国際法上の刑事責任を追及する前例のないこの裁判を「国際政治」の場と位置づけ、徹底的に実証する。

『「特攻」と日本人』書影
電子あり
著:保阪 正康

太平洋戦争の末期、日本の敗北が目に見えていた昭和19年10月から始まった特攻作戦。人間兵器として体当たり攻撃を行った特攻隊員の真意に迫る。

『参謀本部と陸軍大学校』書影
電子あり
著:黒野 耐

組織と人材育成の問題に焦点を当て、日本軍の絶望的な内実を克明に追った1冊。戦争指導能力のないまま太平洋戦争へと突き進んだ日本軍の失敗を読み解く。

『〈玉砕〉の軍隊、〈生還〉の軍隊――日米兵士が見た太平洋戦争』書影
電子あり
著:河野 仁

自殺を宗教的な罪と考える米兵と、捕虜になるのは不名誉であり自決は名誉ある死であると考える日本兵の違いとは。戦地の兵士を探究した戦闘の社会学。

『太平洋戦争と新聞』書影
電子あり
著:前坂 俊之

新聞はなぜ戦争への道を阻止できなかったのか。権力のチェック機構であるべき新聞が、批判から迎合的煽動的論調への道筋を辿った経緯を検証する。

『第二次世界大戦の起源』書影
著:アラン・ジョン・パーシベール・テイラー 訳:吉田 輝夫

第二次世界大戦の起源はなんだったのか。ヒトラーがいなければこの大戦は避けられたのか。第二次大戦の起源の定説に挑戦し大論争を呼んだ名著。

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